とりあえず困ったらクソ強必殺技でゴリ押すのはまちがっていても興味無いね…


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作:じょーじぃ
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プロローグ


「哀れだな、アンタは何も分かっていない…」

 

あぁ…夢を見ている、何となくそう自覚することが出来た。目の前に映し出されるのは何度も再生した動画のクライマックスのシーン。セフィロスに追い詰められたクラウドが自身の大切なもののため、そして今は亡き旧友のため限界を超える…最高のシーンだ。

 

大切じゃないものなんかない!!

 

クラウドのもつバスターソードが蒼白い光を放つ。一瞬の鍔迫り合いの後繰り出されるのは、あのセフィロスでさえ防御できなかった絶技超究武神覇斬だ。

 

そうして繰り出された技に為す術なくやられるセフィロス。そしてセフィロスに勝利したクラウドが紡ぐはFFの歴史の中でも屈指の有名セリフ

 

思い出の中で…じっとしていてくれ

 

ワタシは…思い出にはならないさ

 

戦いが終わる

 

あぁ、なんて…なんてカッコイイんだ!手に汗握るとはまさにこの事、できることなら自分も…自分もああなりたい!

 

-汝、それが望みか?-

 

そうだ!僕もクラウドみたいに!

超究武神覇斬打ってみたい!かっこよくてモテても興味無いね…なんてちょっとスカした態度とってみたりしたい!

 

-汝…今の光景を見ておいて望みがそれかえ…?-

 

もしかして呆れてる?悪いけど男の子なんてそんなもんだよ。

強くてカッコイイ()()()()()()()()()()()()

 

-ふむ…良い。ならば汝よ「英雄を求める世界」にてその望み叶えてみせよ-

 

ん?無理だよ?一般人のボクにそんな期待されても困る。

というか当たり前に会話してたけどキミはだれ?そしてここはどこ?

 

-我は全であり一であるものここは無の世界…じゃがそんなことはどうでもよかろう。転生じゃ転生、汝の好きな異世界転生ぞ-

 

どうでも良くはないんだけど…キャラぶれてるし。でも、異世界転生かー特典とか貰えるならしてみたいな。

 

-ふむ、特典か…では先の汝の望み叶えてやろうぞ-

 

 

すると何かがボクに()()()目も見えないし手足の感覚もないはずなのに、何故かそれはわかった。

 

-汝の魂に特典を授けたではゆけ!そうして「観測者」たる我を楽しませてくれ-

 

そう告げられると同時に意識が下へと落ちる感覚がするとすぐに気を失ってしまった。

 

「ほーん、なら自分はその何かにここに連れてこられて転生した異世界人ってことなんか?」

 

「そんなんです!」

 

目の前の()()()()()()()ちょっと痛い赤いポニテの女性に事実であると告げる。もっともこれで信用されると思ってはいな…

 

「なるほどな…とりあえず嘘は言ってないみたいやし信じるわ!

これも下界の未知っちゅーやつなんやろな!わはは!」

 

信じるんだ…えぇ…。なんというチョロさ、心配になる。

これは守護らねばならぬ…。などとふざけてる場合では無い。

 

「嘘をついてないってどうして分かるんですか?」

 

「簡単や、ウチら神は子どもたちの嘘がわかるからや」

 

先程から親身に話を聞いてくれて、ボクの言うことを信じてくれたのはとても嬉しいが自分を神と自称するのはまさか

()()()()()()なのか…?

 

「あの…神って言うのは、もしかしてホントに…?」

 

恐る恐る聞いてみる、そんなわけないと以前の常識が訴えてくるが理性ではもしやという可能性を思い浮かべている。

 

「おう!正真正銘神さまやで!ウチの名前はロキ、ロキ・ファミリアの主神やっとるからよろしゅうな!」

 

そう言うとほんの少しだけ"神威"を解放するロキ。

 

あぁ…拝啓お父さんお母さん…あなた方が大切に育ててくれた息子は、元気いっぱいに異世界転生して初めての声掛けで神様に拝謁賜りましたよ。

 

「ももも申し訳ございません!ここがどこか聞こうと思ってたのですがまさか神様と思わず!」

 

土下座、それは日本人にできる最高の謝罪の体制である。尚、ハラキリは殿堂入り()なので除外とする。

 

「わはは!えーってそんぐらい、ちなみにここは"オラリオ"冒険者の街で世界の中心なんてよばれとるとこや」

 

「なるほど、冒険者!」

 

異世界転生お馴染みの単語を聞いてワクワクが溢れてくる!

 

「冒険者なりとうてしゃーないって顔やなー憧れとったん?」

 

「それはもう!冒険者になって()()()()()()()()()()()()!」

 

「…!ほーそれはまた…えらい大きな目標やね。うーんよしそれならウチらのファミリアに入るか?」

 

「ファミリア…ですか?そういえばさっきロキ・ファミリアの主神だって仰ってましたね」

 

先程聞いたばかりの言葉に首を傾げる。冒険者とファミリアがどう関わるのだろうか?

 

「冒険者っちゅーのはな、ファミリアで主神に"恩恵"を貰わんとなれへんのよ。恩恵無しやとモンスターに勝つのはほぼ無理やと思ってええ。」

 

「なるほど。」

 

「つまり、その恩恵をウチのファミリアで貰わへん?ってことやね」

 

 

まさに今必要なことで大変ありがたい…のだが、流石にロキ様にメリットが薄く。そんな風に思いたくないと考えつつも少し怪しい…。

 

「あの…それはそちらにどんなメリットが…?」

 

「話が美味すぎて怪しい?」

 

「うっ…そうですね…。」

 

すぐに見抜かれてしまった、流石は神。

 

「それはな…めっっちゃくちゃ面白そうやからや!」

 

「えっ?」

 

「神が下界におりてきた理由はな?暇つぶしなんや、神界は暇で暇でしょうがなくてそれが嫌で降りてきたんよ。そこで異世界転生したアンタを見つけたならそりゃ囲いたくなるやろ!」

 

「な、なるほど」

 

ものすごい剣幕でそう語るロキ様に押され若干たじろぐ。神様って意外と俗物的なんだな…。

 

「ちゅーわけで、ウチは面白いからアンタが欲しい。アンタは異世界で身寄りが欲しい。互いにwin-winの関係や!どや?ウチのファミリアはいってくれる?」

 

一瞬の戸惑い、しかしここまで親身に話を聞いてくれたロキ様のことを思い出す。異世界転生して周りは知らない人ばかり、右も左も分からず戸惑っていた時藁にもすがる思いで話しかけたボクの話を沢山聞いてくれた彼女なら身を任せられる。

 

「ロキ様!不束者ですがよろしくお願いします!」

 

「うんうん!決まりや!よろしゅうなズイウン!」

 

これから先の未来に期待を込めて、両者は笑顔でホームへと歩き出した。

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