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「…」
目が覚めた。何故か分からないけど懐かしい
俺の名前は藤丸立香。何故か「セイヴァー」のクラスで現界したサーヴァント。
ベルとヘスティア様にはリツカって呼ばれている。呼びやすいからとのこと。
さて、起きたわけだけど俺には悩みの種があった。マスターの不在。これははぐれサーヴァントか?とも思ったけど違うと俺は思っている。…俺が、
俺がサーヴァントとなってからたまに
『おそらくまぁ…オレっちのサーヴァントはお前さんだと思ってるぜ。リツカ』
と言われたことがある。真相は分からないがあの時とはクラスは違えど本当にサーヴァントになった。元気にしているかな…金時。
と、少し物思いにふけっていると…
「おはようリツカ!」
気付けば少しの間共にしている少年が俺に声をかけてきていた。
少年の名はベル・クラネル。俺が召喚されたときに一番近くにいたただの少年…いや、今となっては弟みたいなもんかな。
「おはよう、ベル。よく眠れた?」
「勿論!色々思うことはあれど気になってたリツカの話を聞けると思うとそわそわしちゃってさ。」
「まぁあまりいい話ではないからね…それはおいおいじっくり話すよ。と、そういえばヘスティア様は?」
「神様は昨日神の恩恵を僕たちに授けたりと色々と疲れていただろうからまだ起きてきてないよ。」
「そうか…そういえば今日の朝飯って何かあったりするのかな?」
「いや、僕も分からないんだ。どうしようかな…僕が持ってる食材で何か作れないかな…」
「いいレシピがあるから俺が作るよ。顔洗ってくるから少し待ってて。」
そう言うと俺は洗面所に向かい顔を洗い、目を覚ましに外で太陽の陽を浴びると廃協会に戻りどこかからエプロンやキッチン用品などを取り出した。
いつかの日、とある赤い外套の弓兵…エミヤからバレンタインのお返しとして貰った「今から間に合う家事セット」である。これらを用いてベルと共にオラリオに向かうまでは俺が調理をしていた。これをもらった時は…
『マスターも人の身だ。時には自分一人で何かを為さなければならない時もあるだろう。だからこそ、生きるためにも料理は学んでおけ。調理器具なら私の贈り物を使うといい。それにな、自分の作った料理で誰かを笑顔にするというのは…存外悪くないものだぞ、マスター。』
何て言われたっけ。エミヤも誰かに料理を振舞うときはこんな感じだったのかな…
それから1時間ほどベルからもらった食材で調理をしていると…ヘスティア様が目覚めたようだ。
「ううん…おはよう二人とも…ふぁあ」
「あ、おはようございます。神様!」
「おはようございます、ヘスティア様。」
「目が覚めたらなんかいい匂いがするからどうしたんだろうかと思ったんだけど…リツカ君が調理しているのかい?」
「はい、まだまだ未熟ですけどね。」
「そんなことないよ。神様、リツカが作る料理はとても美味しいんですよ。」
「そんなことはないさ、でもある程度お金ができたらもう少し色々食材を買いたいね。そうしたらもっといろんな料理ができるからさ。というわけでお待ちどうさま!」
俺は自身と2人分のスープと見たことのない料理を出してきた。
「ん?このスープは見たことはあるけど…これはなんだい?」
「相変わらずおいしそうだなぁ…僕も気になったんだけど、これはなんていう料理なの?」
そういうと少し笑顔になりながら
「これはね、”ナンとひよこ豆のペースト”だよ。昔とある人に作り方を教わったことがあるんだ。」
「へぇ…そんな料理が…」
これもとある東方の大英雄からバレンタインのお返しに貰い、レシピを教わったもの。
『これがなかなかに美味いんだ。仲間と食べたらもっとおいしくなると俺は思うぞ。』
アーラシュは元々俺によく話しかけてくれていた。彼は生前他の者とあまりわかり合うことができず、独り身であることが多かったため、俺にはそんな思いをしてほしくなかったんだと思う。そんなことを俺にも気兼ねなく話してくれたし、何気にエミヤ(弓)と共に最初期から共にいたサーヴァントだしとても感謝してるんだ。
仲間…家族ともいえるかな。こんな怪しい男をベルは疑うことなく受け入れようとしている。ヘスティア様も…だからそれをヘスティア様とベルに振舞おうと思ったんだ。
「それじゃ…」
「二人とも、食べる前に少しだけいいかな。」
「「?」」
二人は首をかしげているが
「これらを食す前に俺なりの作法を一緒にやりたくてさ。…ダメ、かな?」
「いや、そんなことはないよ。少しびっくりしただけだとも。ベル君も大丈夫かい?」
「勿論です、もっとリツカのことを知りたいですから。」
「ありがとう。じゃあ…俺と同じようにやってくれるかな。ベルは前にやったことあったよね。」
そういうと二人は両手を合わせ、それを見たヘスティアも手を合わせて…
「「いただきます。」」
「い、いただきます。」
「はい、もう食べて大丈夫ですよ。」
「今のは一体…?」
「俺の国で食べる前に言う言葉です。これらの食材を作ってくれた人や植物に感謝の気持ちを込めています。」
「感謝か…」
「よし、冷めてもまずいし早く食べよう!」
そう言うと3人はリツカが作った料理を食していく。とても美味しくてヘスティアに限っては涙を流すほどだったとのこと。彼女曰く最近は「じゃがまるくん」というものをバイト先からもらっていたらしい。というかヘスティア様バイトしてたのか…
「ベル、食事が終わったら何て言うんだっけ?」
「ごちそうさま、だね!」
「そうそう、美味しかったことへの感謝を込めて言うのさ!」
「食材に感謝なんてあまりしてこなかったな僕…確かにこれらがあってこそ僕たちは…まぁ僕ら神たちは少し違うけど生きているって感じがするからね。ふう、美味しかった。」
「二人とも食べ終わったね…それじゃ手を合わせて」
「「「ごちそうさまでした!」」」
3人で笑い合った。リツカにとってはとても懐かしい風景でもあった。こうやって楽しく人と食卓を囲む、何気ない日常の一部分だがそれがたまらなくうれしかったのだ…
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〈ベル・ヘスティアSide〉
「さて、リツカ君…君のことについて話してもらってもいいかな?」
リツカの振舞った料理を堪能した僕たちは小さな小部屋にいた。できる限り他の人に聞かせたくないからというリツカ本人の思いをくみ取っている。神様からしても僕にとってもそちらの方がいいと思った。
「分かりました。」
そう言うとどこからか眼鏡を出し、掛けてから自身のことについて話し始めた。
「改めて俺の名前は藤丸立香と言います。ベルは知ってると思うけど”セイヴァー”のサーヴァントです。」
「ふむ、サーヴァントってのは一体何なのかな?後、セイヴァーというのも気になるかな。」
「その前に…先ほど神様は俺たちに死なないでくれと言いました。それに対し俺は沈黙を貫きましたよね。」
「そうだね、でもそれと何の関係が?」
「約束できないってことです。
「…なるほどね、そういうことだったのか。」
「驚かないんですか?」
「そりゃ驚いてるさ!でもね、リツカ君…たとえ君が既に死んでいたとしても僕の思うことは変わらない。なぜなら君は《そこにいるから》だ。単純かもしれないが僕にとっては大切なファミリアの一員なんだ。そう簡単に手放したくないんだよ。」
(…俺は何を自嘲気味になってたんだ。そうだ、俺を受け入れてくれたのは…この二人だったじゃないか。)
そうだ、生前数多のサーヴァントと縁を結んだけど、皆力を貸してくれた…俺にとっては仲間だった…ベルや、ヘスティア様だってそうだ。信頼してくれる。それに応えずして何がサーヴァントだ…。
リツカは自身への情けなさとベル・ヘスティアに対しての感謝の思いでいっぱいになった。
「ヘスティア様の思いは伝わりました。大丈夫です。そう簡単に死ぬつもりはありませんよ。…話がそれましたね。”サーヴァント”とは英雄が死後、祀り上げられ精霊化した存在です。セイヴァーというのはサーヴァントに振り分けられるクラス名のことを指します。」
「英雄…リツカ君は英雄なのかい?でも君には申し訳ないけど僕は君のような英雄は聞いたことはないよ。」
「そうですね…薄々俺も思っていたことがあるのですが…ここは俺が生きた世界じゃないのかもしれません。俺は生前に”迷宮都市オラリオ”なんて聞いたことはなかったので…」
「異世界…なるほどね、道理で知らないわけだ…しかし大変なことになるぞこれは。」
「…やはり何かあるんですかね?」
「当然さ!僕たち…神々はこの地上に娯楽を求めてやってきた。天界は思った以上に退屈だからね。アイツらが君たちのことを知ったらどうなるか…」
「あはは…なんかすみません。俺のことで悩ませることを増やしてしまって。」
「いいよ、大事な僕の家族なんだ。これくらいどうってことないさ!ベル君は今のところ気になっていることはあるかい?」
「正直異世界という存在に驚いていますし興味はあるにはありますが、僕はそれよりもリツカに聞きたいことがあるんです。」
「俺の答えられる範囲なら答えるよ。」
「…リツカ、僕と出会ったあの日の夜の事。覚えてる?あの時、君は僕に”英雄”としてではなく、”同じ立場”で接してほしいといったよね。そして…
「…」
リツカは黙りながらもコクリと頷いた。
「あの時は
リツカは僕にまっすぐと向かい合いながら
「そんなことはない。あの時はさすがに出会って初日だったからね。俺も君もまだ互いを信じ切れてなかった。
だが…今なら話せる気がする。全て…とはいかなくてもね。というのも
「英雄の話を直接聞くことができるんだ。僕も何か感じるものがあるかもしれないし。飯を共にして旅をした仲だからね。疑うようなことはしたくない。」
僕はリツカの想いを受け止めたい。それがどんなものだとしてもそれを聞けば成長できるかもしれない…僕が望む英雄に。
「僕達神様はね、下界にいる子供達の嘘を見抜くことができるんだ。君に嘘をついている素振りや言動は見られなかった。だから信じるさ。」
僕は…正直怖い。「神を撃ち落とした者A+」…これは僕たち神にとっても影響があるスキルだ。現に僕は君と出会ったときに殺されると感じた。こんな思いをしたのは初めてだ。幾ら英雄であるとしてもこんなものを持っているなんて…どんな道を歩んだらこんなことになるのか…向き合いたい。それが僕…ヘスティアの務めだ。
二人はそれぞれの想いを胸にしながら彼の言葉に頷いた。
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(FGO bgmより ”記憶の回廊”推奨)
俺は平凡であった。何かとびぬけて出来たというわけでもなく、優れていたわけでもない。どこにでもいるただの一般人であった。そう、俺が”とある物事”に巻き込まれるまではーー。
高校生の時、何故か俺は見知らぬ廊下で寝ていた。そこから目を覚ますと、そこには見知らぬ少女ーーマシュ・キリエライトがいた。フォウくんという小動物も共におり、俺にもなついていた。
(どこかの世界、どこかの聖杯戦争においてとある騎士王と運命的な出会いをしたように…彼にとっては彼女との出会いが運命的な出会いだったのかもしれないーー。)
彼女が言うにはここは”人理継続保障機関 フィニス・カルデア”。俺は人理を継続させるためにとある任務の一般枠として選出されていた。その名も「グランド・オーダー」ーー
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「俺の住んでいた世界はそもそもこのままだと滅んでしまうところだったんです。」
「そうなのかい?」
「人理というものがさっき出てきましたよね?それは人類を永く強く繫栄させるための理のこと。これが継続できないと俺たち人類は滅んでしまう。それがこの機関の調べ…によって継続できないと判明した。故に俺はこの任務に参加した。ただの一般枠のマスターとして。マスターはサーヴァント…今の俺のような存在を使役する人の事です。本来ならAチーム……Bチームのマスターが主に活動する…はずでした。」
「はずでした?そうはならなかったのかい?」
「はい、なりませんでした。任務が開始する直前に突如爆発が起きたんです。俺はその前のレクリエーションでうっかり寝てしまい追い出されて自身に振り分けられた部屋にいたため無事でしたがーー」
(そうか、あの時が最初の出会いだったなーー俺の部屋のベットの上でショートケーキ食べてたっけ。)
ドクター・ロマン。その者は医師であった。そしてーー、大事な俺の大切な存在でもあったーー。
「マスターとして残ったのは48人目のマスターであった俺だけ。カルデアのスタッフ含む他の47人やは重傷を負っておりとても任務を遂行できる状態じゃなかったんです。外部との通信を試みようともカルデア以外の人類は既に滅んでおり救援物資などの支援は皆無。この任務は人理を継続できないと判明した原因である”特異点”を攻略していくものだったんですがこれらすべて過去に遡ります。過去に行く際に戦力として通用するのはサーヴァントのみ。生身の人間では勝ち目はありませんでした。」
「え、ちょちょっと待ってくれ。じゃあ残った君がいなくなったらーー世界は滅んでいたっていうのかい!?」
絶句。2人は同じ反応であった。だってそうだろう。急に任務を自分一人で全うしなければならなくなった挙句、自身が死んでしまったら全てが終わりという過酷な場に彼はかつていたのだ。
「はい。俺がこの任務の途中で死んでいたら…間違いなく世界は滅んでいたでしょう。」
「あはは…想像以上の話で頭がついていかないや…」
「はい…僕の読んだ英雄譚の中でもここまでスケールの大きいものはありませんでした。」
2人はそれぞれ思ったことを言った。そして思ったことだろう。目の前にいる青年は”神でもなく、戦士でもないただの人の身でありながら世界を救った英雄”であると。
「といっても2人とも忘れているかもしれないけどこれはまだ
「「あ。」」
そう2人は…あまりにもリツカの英雄譚”序章”の過酷さに驚愕してしまい、スキルや
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その後は一旦生前の話は後回しにして、自身の分かる範囲内でスキルや宝具について説明した。ベルもそうだったけどヘスティア様は特にすごかった。特に無辜の怪物について話したときは泣き始めてしまった。頑張った、そして偉いよ君はと言われたのはとてもうれしかった。体の傷跡についてだけど知り合いの神にそれらの傷がどうにかできないか相談してみるよと言われてありがとうございますとお礼を言った。いい神様だなぁとつくづく俺は思うよ、ヘスティア様は。まぁベルは授かりし英雄の武具C++についての詳細を聞いた時興奮してたっけ。いやぁなんか嬉しいような…俺なんかが使って大丈夫なんだろうか…。
「ーーとまぁこれが俺のスキルについてと宝具とはなにかについてです。あと気になるところってのはありますか?」
「一ついいかな?」
「ヘスティア様、なんでしょう?」
「ベル君とリツカ君の
「俺のいた世界では魔術と魔法が存在するんです。」
「魔術と魔法が存在するのか…それらの違いってなんなんだい?」
「”その時代の文明の力で再現できる奇跡かどうか”です。魔法はその時代においては奇跡と呼ばれるものを指します。魔術は普遍的なものなんです。この世界の魔法は俺の世界の魔術と同じだととらえてくれると助かります。他に聞きたいことはありますか?」
「いや、特にないよ。それじゃあ君の生前の話の続きをお願いしようかな、ベル君もそれでいいかい?」
「はい!大丈夫です神様。」
「よし、じゃあ続きから話すとしようかなーー」
リツカの英雄譚、これがベルにとって「正史」とは少し違う思いを抱かせるのだが…それはまだ先の未来のお話であるーー