一体、どうしてこうなった?
◇
『まだお祭り始まってないのに、もう屋台とか店とかいっぱい出てる…』
『言ったろ?今回は過去最大規模の英雄万博だって。皆待ちきれねぇんだろ。』
2時間前、久しぶりの全員行動で散策を始めた。
『やっほ〜ぅ!アルゴノゥト君!ヘスティア・ファミリアの人たちも!』
『あら、偶然ね。というか今日は全員揃ってるのね。』
『おはよう…ベル。ベルたちも、お祭りの準備見に来たの…?』
『けっ…朝っぱらから兎野郎の面を見るとはな…。』
『ベル・クラネル…アイズさんは渡しませんからね!』
30分後…時を同じくして、街で散策に赴いていたロキ・ファミリア幹部の面々と出会い、ティオナと流されたアイズの勢いに負け、なけ崩しに共に街を回ることとなり…
『おお〜ヘスティア・ファミリアに…ロキ・ファミリアとは。中々不思議な組み合わせだな!』
再び30分後…剣の試し撃ちでもしていたのか。1人で街を歩いていた椿が何故か集団に加わった。
『朝から集団で騒々しい。何をしている
さらにその30分後、見覚えのある騒がしい集団を見つけたヘディンにより弟子への説教が始まった。
その間にヴェルフと椿は何故か射的勝負を始め、ロキ・ファミリア勢の一部はアイズに付き添い付近の屋台へふらふらと出向く。
ティオナやティオネらはヘスティア・ファミリアの女子勢と何やら歓談をはじめた。
そして、
『大将、この拉麺とやらを一つ。』
『オッタルさん!?』
後退るベルが入り込んでしまった暖簾のある屋台には何故かオッタルが食事を楽しんでいた。
『待つニャ〜!兄様〜!』
『離れやがれ〜ッ!』
その他、2人の
◇
まさしく宇宙猫に近い状態になったベル。
そんな彼に対して、
「ところで愚兎、
豪奢な装飾の付いた手紙。
それは今朝ベルたちが見たものと全く同じものであった。
「はい。今朝、
ベルの楽観的な様子にヘディンは示しつけるように手に持つ紙面を持って、言う。
「バカが。これは単なる招待状ではない、英雄万博で行われるレースの参加券だ。」
「レース…?」
メガネを整えて、ヘディンはベルの手に握られている紙を凝視しながら、こくりと頷いた。
「昨日
リリルカが感じていた違和感をヘディンもまた感じていたのだ。
「ん〜?じゃあ
どうやらロキ・ファミリアにも同じものが届いていたらしい。
こちらはまだヘディンのように確認を取った訳ではないようだが、彼女らに関しては言ってしまえば嫌でもファミリアに帰れば、団長であるフィン・ディムナが似たようなことを伝えてくることだろう。
「なるほど。手前のところに来た物も同じ物だな。レースとは…一体何を競うのだ?」
「なんだ?
「仔細は知らん、知りたいのなら自分で聞きに行け。」
ヘディンの性格からして、然程関わりのない他ファミリアのアマゾネスや鍛冶師に逐一説明する義理はない。……たとえ関わりがあっても彼はかなり選り好みするが。
「ちぇ〜、感じ悪ぅ。」
行き詰まる議論。
元々仲良しこよしの集まりではないのだ。
運が良かったのか、悪かったのか。本当にたまたま集まっただけのメンツである。
そこで口を開いたのはティオネ。
「ねぇ、そろそろ時間じゃない。会議があるから、お昼過ぎくらいには『帰ってきてくれ』って団長が言ってたわ。」
「ほんとだ。じゃあね、みんな!」
「ばいばい…ベル。」
「ふん!」「へっ!」
2名ほど不機嫌な者たちもいたが、こうしてロキ・ファミリアの面々は帰って行った。
◇
「それでは手前も帰るとしよう!午後から商談があってな!楽しかったぞ!」
ヴェルフとの射的勝負で手に入れたいくつかの景品を抱えて走り去る椿。
ヴェルフは見事に大敗したのだろう。
地面に座り込み、すっかり落ち込んでしまっている。
アーニャは途中でどこからともなくやってきたリュー・リオンに連れて行かれた。
今頃、ミアの怒りを一身に受け止めているはず。
やっとのことで静寂が訪れようとしていた。
「私たちもやることがある。それではな。」
ヘディンが背中を見せ、ベルもまた仲間の元に加わる。
その時、
「愚兎。」
呼び止められたベルはファミリアの皆に「先に行っておいて」と伝えた後、ヘディンの方に向き直る。
「はい!なんでしょうか!
「私がガイア・ファミリアに赴いた際…構成員たちが
時刻はちょうど昼あたり。
まだ空は全然明るい。先程まで大人数で騒ぎ立てていたというのに穏やかな雰囲気から一転。ベルは心なしか不吉を孕んだ風のようなものに吹かれた気がした。
「妙って…?」
「件のことについてガイア・ファミリアの誰に問いただしても用意されたセリフのような同じことをずっと宣っていた、『詳細については後日伝えるつもりだった。』とな。いや、それ以前にまるで奴らも参加券の詳細については知らされていないようなそぶりがあった。」
「幹部やガイア・ファミリアの団長さんたちとは話せたんですか?」
「『所用で不在』の一点張りだ。とりつく島もない。多少脅しを仕掛けても焦るだけでそれ以上はなかった。」
『脅し』という言葉に若干の恐怖を抱き、苦笑いするベル。
「そもそも…だ。この招待状自体がクサい。何かの寓意を含んでいるようにしか思えない回りくどい立ち回りだ。」
「寓意……。」
師であるヘディンの真剣な様子にベルも警戒を抱く。
「無論『何か意図がある』などと断言はできんが…ゆめ警戒を怠るな。」
「はい!」
再度頷いた彼は右手の人差し指を突き出して、「後もう一つ。」と提言する。
「おそらくあのお方はお前をお誘いになるはずだ。気を抜かず、気持ちを張り上げ、全身全霊で、万事いかなる時も安全にシル様を楽しませろ。」
「は、はい…。」
「声が小さい!」
「はい!!!」
◇
◇
◇
2日後。
ご招待させていただきました方々につきましては連絡の遅れを謝罪いたします。
英雄万博最終日にて、また後日指定させていただくオラリオ郊外の地で行う催し事にぜひ協力していただきたい。
お題目は『
団体戦でチームごとに宝の獲得を競い合っていただきます。
景品は──