ダンジョンに鬼の跡目がいるのは間違っているだろうか


メニュー

お気に入り

しおり
作:頑張る丸
▼ページ最下部へ


2/3 

湧き立つ市街地①


──ヘスティア・ファミリアが本拠(ホーム)・『竈火の館』

 

 

「親愛なる冒険者同志ご一同。仲の良し悪し入り乱れ酒を酌みかわすのもまた一興。来るもの拒まず、去るもの追わず、この世界一の大宴会、英雄万博にぜひ参加されたし。ガイア・ファミリア団長、ブエナ・フェスタ。」

 

 

届いた一枚の招待状を前に呆然としているのはファミリア団長ベル・クラネル。

『剣姫』の記録を遥かに上回る速度でのランクアップに加え、ヒュアキントスとミノタウロス(格上)狩り、黒き暴牛アステリオスとの決戦など数々の偉業を果たし、一世を風靡した世界最速兎(レコード・ホルダー)である。

直近では、フレイヤ・ファミリアとの戦争遊戯(ウォーゲーム)にて、仲間と協力しながらレベル6の最上位冒険者たちと猛者(おうじゃ)の撃破という偉業を成し遂げた。

 

 

「おー!やったな!ベル君!遂にボクたちにも、いろんなファミリアから招待が来るようになったんだぜ!」

 

「はい。よかったですね。ところで『英雄万博』…って?」

 

 

だが、何やら訳知りのような言動を見せたヘスティアも揃って首を傾げる始末。

そんな様子を見ていた小人族(パルゥム)の少女リリルカ・アーデがへっぽこな主神の代わりにその疑問に答えた。

 

 

「英雄万博は何年かに一度、不定期で開催される巨大な冒険者のためのお祭りで、魔道具や食べ物、武器に情報など、世界中から珍しいものが集まるのです。」

 

 

「ほぇー。なんか凄いんだね。」

 

「へー。リリはいろんなことに詳しいね。」

 

 

「これくらいはサポーターとして当たり前です!というか開催地は毎回オラリオなのでここに生きてる人なら誰でも知ってます。」

 

 

純粋な眼差しと称賛にまんざらでもないような、むず痒いような態度を見せるリリルカ。

だが、そこで「ただ…」と不可解な点でもあるかのように語り始めた。

 

 

「英雄万博って基本的には『飲んで食べて騒ぎましょう』っていう形で行われるので、主神であるヘスティア様に招待が届くのならまだ分かるんですけど、何故わざわざ特定のファミリアに招待状を届けるのかわからないと言いますか…少なくともリリがソーマ・ファミリアにいた時はこんなことありませんでした。」

 

「ソーマ・ファミリアにいた時は…ってことはリリは見たことがあるの?」

 

「はい。記憶に残っているのは2回です。1度はリリがまだ子供のとき。2度目は5年前です。まぁ、リリはあんまり参加できたことはないんですけど…」

 

 

ソーマ・ファミリアでの出来事はリリルカ・アーデにとってまさしく思い出したくもない地獄の記憶であったという表現が一番正しい。

食べることに困り、強くもなれず、搾取され、差別され、己の全てを否定され続けた最悪の歴史。

ベルが彼女に手を差し伸べるまで、盗賊紛いのことを続けなければ生きることも困難であった彼女にお祭りを楽しんでいる暇はなかったのだ。

 

 

「「リリ/サポーターくん」」

 

 

少し俯く彼女にベルとヘスティアが真剣な眼差しを向けた。

 

リリルカの手を握りベルが言う。

得意げな様子を醸し出し、主神が語る。

 

 

「なら楽しもう!今回は!みんなで。」

 

「みんなで今度は楽しもうじゃないか。ボクの奢りでお祭り特製じゃが丸をご馳走してあげるぜー。」

 

 

優しい少年と愉快な主神。

リリルカは改めて自分は心も身も2人に救われたのだと認識して、笑みをこぼす。その様子に2人も満足したのか笑みを浮かべる。

 

 

その時、ちょうどノック音が響き、赤毛の男と黒髪の女剣士、金髪の女獣人が部屋に入ってきた。

 

 

「おうおう。なんだ?そりゃあ。招待状か?」

 

「ヴェルフ、命さんに春姫も。」

 

 

ベルは豪奢な装飾を付けられた招待状をヴェルフに渡す。

ヴェルフは当初は顰めっ面を浮かべていたが、すぐに何かに納得したような表情をした。

 

 

「なるほど、英雄万博か。確かに毎回5、6年周期くらいだからそろそろか。」

 

「ですね。最近の街々はどこか活気だっているような印象です。」

 

 

元々へファイストス・ファミリアあるいはタケミカヅチ・ファミリアの一員として数年前からオラリオにいた2人である。加えて、前回の英雄万博は5年前…暗黒期終焉の年に怪物祭(モンスター・フィリア)と同時に開催され、寂れた町を活気付けた。2人が知っているのも当然だ。

 

 

「そう言えば、ベル殿は初めてでしたか?」

 

「はい。僕もヘスティア様もまだここにきてから1年経ってないので。」

 

 

『1年経っていない』

この事実に改めてヴェルフと命は若干引きながらも、苦笑いする。

この兎(ベル)はオラリオに来るまで世間にも疎かったことは周知の事実であり、オラリオに来たのも数ヶ月前なのだからまだまだ初心者であることに変わりはないのだが、いかんせん規格外が過ぎる。ベルが思っている以上に、1年満たずによるレベル5到達とは偉業中の偉業なのだ。

 

 

「俺ぁ、一回だけしか行ったこと無いが、あの頃はガキだったから椿に無理矢理連れてかれたな。」

 

「私はアイシャ様が連れ出してくださり、少しだけ楽しみました。冒険者の皆様も住民の方々もみんな笑っていて楽しそうでした。」

 

「私はファミリアの皆と遊びに出かけました。特に前回は暗黒期明けだったので人の活気とはこうも素晴らしいものなのかと改めて感心しました。」

 

 

それぞれなかなか癖の強い思い出ではあるが、皆の意見は共通して『楽しかった』である。ベルやヘスティアは実に初参加となる大祭り。皆で『楽しむ』…そんな優しげな雰囲気の漂うヘスティア・ファミリアにやはり自分はここにきて正解であったとベルは再認識する。

 

 

「なんだったら案内でもしてやろうか?まだ始まっちゃいないが、今回の英雄万博は今までに類を見ない文字通りオラリオ全域を使った超大規模らしくてな。主催のガイア・ファミリアが空き地や売地やらをとんでもない勢いで買い占めたり、賃借りしていってるんだ。ベルは最近バタバタして自由に身動き出来なかったから知らねぇかもしれないが、もう街は祭りの前触れで大騒ぎしてるぜ。」

 

「ほんとう?じゃあぜひお願いしたいな。」

 

「任せとけ!」

 

 

盛り上がる男2人にヘスティアが身を乗り出して言う。

 

 

「そうとなれば、もちろんボクも行くよー!」

 

 

「あなたはじゃが丸君のバイトがあるでしょうが。」

 

 

リリルカにそう言われて落ち込むヘスティアではあったが…

 

バイト休止というわけにもいかなかった。

ベルのためとは言え2億の借金を後先考えずに請けたのだ、当然過ぎる結果である。

 

こうして、ヘスティア・ファミリア(主神除く)によるオラリオ一日ぶらり観光が決定したのであった。

 

 

 

 

──とあるじゃが丸君の屋台

 

 

「じゃが丸君、3つお願いします。」

 

 

「どう”じで”だよ“お”お“お!!!」

 

 

周囲の視線を気にすることもなく叫ぶ、バイト女神の姿を見たとか見てないとか。

 

 

 

 

── 2時間後

 

 

「さっすが!アルゴノゥト君!やっぱり凄いね!」

 

大切断(アマゾン)

 

 

「ベル様に近付きすぎです!離れてくださいー!」

 

サポーターが。

 

 

「これ…すごく美味しい。ベルも食べる…?」

 

剣姫が。

 

 

「アイズさんから離れなさい!ベル・クラネル!」

「アイズから離れろ!兎野郎!」

 

凶狼(ヴァナルガンド)千の妖精(サウザンド・エルフ)が。

 

 

「どうした?ヴェル吉。5年前と全く変わってないではないか!弾が景品に全く当たってないぞ?」

 

単眼の巨師(キュクロプス)が。

 

 

「うるせぇ!あと5発ある…すぐに落としてやるよ!」

 

不冷(イグニス)が。

 

 

愚兎(ぐさぎ)、やかましいだけの雑多の連中と遊び回るならシル様をエスコートしろ!」

 

白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)が。

 

 

「兄様ー!一緒に遊ぶにゃ〜!」

 

戦車の片割れ(ヴァナ・アルフィ)が。

 

 

「仕事あんだろ!離れろやッ!!」

 

女神の戦車(ヴァナ・フレイヤ)が。

 

 

「中々美味いな…これが東洋の拉麺という食べ物か。」

 

猛者(おうじゃ)が。

 

 

 

 

ベルは思った。

 

 

どうしてこうなった…?

 

 

 

 




時系列的には派閥大戦後でいきます。
ただ映画ONE PIECEみたいなパラレルワールド方式でいくので、本編もある程度進んでいるのですが強さの時系列が派閥大戦後くらいの気持ちで行きます。全部が全部原作準拠で行く訳ではありませんのでそこはご理解お願いします。
明らかな間違いありましたらご指摘いただけると嬉しいです。
2/3 



メニュー

お気に入り

しおり

▲ページ最上部へ
Xで読了報告
この作品に感想を書く
この作品を評価する