京都大霊長類研究所(愛知県犬山市、2021年度末で組織改編)などの研究資金を不正支出したとされる問題で、京大が元所長の松沢哲郎・元特別教授=懲戒解雇=に約2億円の損害賠償を求めた訴訟で、松沢氏の本人尋問が15日、京都地裁(菊井一夫裁判長)で実施された。入札に不適格の業者を参加させたとする京大側の主張に対し、松沢氏は「業者の関与を知らなかった」と反論した。
訴状によると、松沢氏を代表者とする研究は10~12年度、日本学術振興会の補助事業の対象となり、チンパンジー用飼育施設ケージの一般競争入札を実施。ケージの仕様策定に関わった業者が入札手続きに参加したため、同会は「入札妨害に当たる」と判断し、補助金交付を一部取り消した。
松沢氏側は、業者を排除する権限は大学事務職員にあり、松沢氏は責任を負わないと主張。この日の本人尋問で松沢氏は、仕様策定は他の研究者らに任せていたとし、問題となった業者が策定に関与したことや、入札に参加したことを「知らなかった」と述べた。「事務職員から適切な指示があれば入札手続きはつつがなく進むと思っていた。当時は問題があると認識できなかった」と説明した。
京大は、日本学術振興会に返還した3億6100万円のうち、2億円の支払いを松沢氏に求めている。