「万博に職人取られている」能登半島の被災地に通う建設業者が痛感した人手不足 問われるのは「プロ集団が非常時にどれだけ動けるか」
石川県能登地方を震源とする能登半島地震の発生から1年が過ぎた。長野県信濃町のログハウス建築・設計「ログラフ」の社長松田重信さん(67)はこれまで被災地に通い、仮設住宅を造って復興を支援してきた。現地で感じたのが建設業の関係者の人手不足。災害後、迅速な地域の復興につなげるためには平時から、「必要な人員を集められるようにしておかないといけない」と訴えている。 【写真】松田さんらが建設に関わった仮設住宅
松田さんは地震発生から約1週間後、所属する日本ログハウス協会(東京)の支援策を探るために4日間、石川県輪島市と珠洲市を回った。あらわになった山肌や、道路に転がる大きな石、つぶれた家…。被害の様子を見て、協会は現地で仮設住宅を建設することを決めた。
「万博の方が住環境も食環境も圧倒的に良い」
ログラフからは春以降、10人が本格的に現地入り。他の会社と協力し、珠洲市折戸町で42戸分、輪島市山岸町で46戸分の仮設住宅を造った。地元業者は懸命に作業に当たっていたが、石川県外の職人は来年の大阪・関西万博の会場建設など、他の現場に取られていることもあって復旧の遅れは明らかだった。「万博の方が住環境も食環境も圧倒的に良いからね」と松田さんは言う。
完成したばかりの仮設住宅が豪雨災害に
山岸町の仮設住宅は、完成したばかりの9月に豪雨災害に見舞われた。建物は床下浸水し、すぐに復旧に駆けつけて床下にたまった泥をかき出した。松田さんは「地域が勢いを取り戻せていない中、豪雨が追い打ちをかけ、被災者のメンタルはすり減っていた」と振り返る。
プロ集団がどれだけ動けるか
能登半島での支援活動を踏まえ、松田さんは建設業の関係者の人手不足を改善する必要があると強調。災害直後には道路の復旧作業なども担うため、「プロ集団が非常時にどれだけ動けるかが問われる」と指摘する。
昨年12月上旬、日本ログハウス協会は山岸町の仮設住宅にログハウス1棟を贈った。寄贈時に、松田さんは住民から「仮設住宅が快適」と言われてほっとしたという。松田さんは「被災した人たちがコミュニティーを作り、地域との関わりを持って、楽しいと思える空間になってほしい」と願っている。