ようには見えないぜ。
   だから、ここでお前さんの肩から手を離すことはしない」

純一「梅原……っ!」

梅原「行くな橘。言ってどうする、なにを言うつもりだ?なにを聞くつもりだ?」

純一「それはっ……!」

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 16:39:15.93 ID:okz7iWoAO
 

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 16:39:21.05 ID:If8wb+Z80
梅原「なりそめを聞くのか? どうやって付き合ったのか聞くのか?
   あの二人の前に言って、お前はなにをするつもりなんだよ」

純一「……………」

梅原「──もう諦めろよ、橘。もうお前さんが森島先輩の前に行くのは、見てるこっちも辛い。
   ダチとして、同じ男として──やめてくれ、そういうのは」

純一「……梅原──」

梅原「……なんだ、大将」

純一「…………」

梅原「…………」

純一「──一回、僕を思いっきり殴ってくれないか……」

梅原「…………」

梅原「……はぁ、わかったよ。それで大将が気が済むなら……いくらでも殴ってやる」

純一「一回でいいからな……でも、手加減なしだ」

梅原「おう、気合入れろよ」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 16:40:32.12 ID:okz7iWoAO
 

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 16:40:37.12 ID:If8wb+Z80
がつん!

純一「っつ……!!」

梅原「……いやなに、初めて人を殴ったけどよ。いてーのな、こっちも」

純一「たぶん、殴られた方が一番痛いと思う……」

梅原「ちげーねぇや。それで大将、気が済んだか?」

純一「……ああ、これが夢じゃないって事がやっとわかった」

梅原「そうか……気をしっかり持ってくれ大将。
   俺はもうあの時の大将は観たくないからな」

純一「ああ、わかった梅原……」

梅原「……本当に大丈夫か?顔色が悪いぞ、保健室行くか?」

純一「いや、大丈夫だよ……はやく登校しよう」すたすた……

梅原「大将……」

教室

純一「…………」

純一(先輩に──彼氏……)

純一(あんなに楽しそうに笑って、僕とは違う人と会話して……)

純一(僕だって──あんなに笑った先輩の顔、見たことなかったな……)

純一「ずず……っ!?」

純一(や、やばい……教室で泣きそうだ……!!
   クラスのみんながいるのに、泣いたら変に思われる……っ)がたっ

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 16:42:00.01 ID:okz7iWoAO
 

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 16:42:05.05 ID:If8wb+Z80
純一(トイレに行くか……周りにばれないうちに、特に梅原とか──)

純一(──薫とかに、見つかったら……!!)

純一「……ってあれ…? 薫……?」

純一「そういえば、まだ薫の姿を見てない──」

がらり

高橋「ほらー。朝のhrはじまるわよー」

純一「あ、もうそんな時間か……」

高橋「こら、橘君。なにぼーっとつったってるの!
   もうチャイムが鳴ってますよ」

純一「あ、はい……あの先生!かお……棚町さんがまだきてませんけど…!」

高橋「……。そうね、それは後で私から説明するわ──今は、とにかく座りなさい」

純一「は、はい……」がたん

純一(説明……?いったいなんのだろう……?)

高橋「それではhrを始めたいところですけど──今日は皆さんに報告があります」

高橋「──本日をもって、棚町 薫さんは転校することになりました」

純一「え……?」

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 16:42:39.42 ID:okz7iWoAO
 

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 16:43:03.86 ID:If8wb+Z80
高橋「突然の話──ということでは、ないようだけど。皆さん知ってると思いますが、
   棚町さんは油絵の出品会で特賞を取ったことで、とある外国の学校に行くことが決まってました」

高橋「まさか突然、今日転校となるとは私も予想だにしなかったから……このような急な報告となってしまったわ」

純一「っ……!!!」がたん!

高橋「きゃ……た、橘君っ? 急に立ち上がってどうしたの?」

純一「た、高橋先生……っ!? そ、それは本当のことなんですか……っ!?」

高橋「え、ええ……そうよ──でも、君は前もって棚町さんから言われてたはずじゃなかったの?」

純一「え……」

高橋「そもそも私も貴方から聞いて──橘くん? 顔色が悪いわよ──」

純一(なん、だっていうんだこれは……薫が転校…? 外国へ行く…? 絵が受賞した…?)

純一「あっ……田中さんっ!!」

田中「へっ!? あ、なにっ? 橘くん……?」

純一「田中さんは薫が転校するの知ってたの!?」

田中「えっ……何を、言ってるの橘くん……?」

田中「そもそも──薫が転校するって事は、橘君が言ってくれたことじゃない」

純一「な、んで……そん、な……僕は……」

田中「そ、それに……つい一昨日ぐらいに、梅原君とか伊藤さんとかで一緒に祝った……と思うんだけど」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 16:44:07.63 ID:okz7iWoAO
 

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 16:44:13.27 ID:If8wb+Z80
純一「……………………」

田中「え、私間違ってるかな……? あ、あと……橘君は薫から別れのプレゼントって絵をもらってるはずだし……」

梅原「──ああ、あってるよ田中さん。俺もそこにいたしな」

純一「う、梅原……」

梅原「大将……いや、橘。今日はどうしたんだ、とりあえず落ち着けって」

純一「で、でもこれって……っ!!僕は何も知らなくて……!!」

梅原「……今朝からどうも様子がおかしいと思ってたんだが、ここまでとは……橘。
   とりあえず保健室に行くぞ。少しそこで寝て休め」がた…

純一「う、梅原……!!僕はおかしくなってないっ!ちゃんと正気だよ!?」

梅原「何処がだよ。俺にはお前がおかしくなったとしか見えないぞ、ほら行くぞ……」

純一「や、やめろ……っ!!僕は……っ!!」

梅原「な、抵抗するなって……!!なにやってんだよ本当に……!」

「──今は、hr中よ。二人とも」

絢辻「騒ぐのやめてちょうだい。梅原君も、橘君も」

純一「っ……あ、絢辻さん…!」

絢辻「先生、私が橘君を保健室に連れて行きます。後は引き続き、hrを続けてください」

高橋「え? ええ、わかったわ……後はよろしくお願いします、絢辻さん。
   ……あと橘君も、ちょっと落ち着いてから終業式にでなさい」

純一「…………はい…」

絢辻「──ほら、行くわよ橘君。ちゃんと前を向きなさい」

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 16:45:01.52 ID:okz7iWoAO
 

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 16:45:41.87 ID:If8wb+Z80
純一「………」すたすた…

がらり ぴしゃ

絢辻「…………」

純一「…………」

絢辻「なに、めそめそと泣いているの橘君」

純一「え……?」

絢辻「──良いわね、そんな風に感情を外に出せて。羨ましい限り」

純一「あ、絢辻さん……?」

絢辻「──私は、あの時は何も吐き出せれなかったのに……」

純一「さっきから、なにをいって……」

絢辻「─────。さて橘君、さっそく保健室に行きましょう。
   だめよー、ちゃんと寝なきゃ! そうしないと直ぐに気疲れしちゃうんだから!」

純一「え、あ、うん……」

絢辻「大丈夫、そこまでたいしたことじゃないわ。私だって、全然寝なくて変なテンションに
   なっちゃって……深夜の寒い中、野生の鹿と小一時間戯れたこともあるわ」

純一「あ、あはは……それは流石に冗談だよね……?」

絢辻「冗談よ。……んじゃ元気出たみたいだし、保健室行くわよ。それでとりあえず、
   後で高橋先生と、梅原君……それと田中さんに謝っときなさい」

純一「……うん、わかった……ありがとう、絢辻さん」

絢辻「ううん、別にいいのよ。これが私だもの」

純一「え、うん……そうだね。それが絢辻さんだよ」

絢辻「……。それじゃ行きましょう」

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 16:46:36.60 ID:okz7iWoAO
 

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 16:46:40.66 ID:If8wb+Z80
保健室前

絢辻「それじゃあ、私は先に戻っておくわね。ちゃんと寝る様に!」

純一「……うん、わかったよ」

絢辻「一時間ぐらいしたら梅原君に、貴方を起こしに来るよう伝えておくわ」

純一「うん、ありがとう……色々としてくれて」

絢辻「いいのよ。だってクラスの委員長だもの」

純一「あはは……それも最後だけどね」

絢辻「そうね、それじゃ」すたすた…

純一「また、後で」

純一「………。なんだろう、絢辻さん……僕が思ってた印象と大分変わったような…」

純一「昔はもっとこう、ちゃんと人を見てたような気がする……」

純一「……」

純一「……本当に、なんだっていうんだ……僕、本当にどうにかなってしまいそうだ…」

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 16:47:28.82 ID:okz7iWoAO
 

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 16:47:35.72 ID:If8wb+Z80
昼休み

純一「はぁ~……」

純一「……梅原や田中さん、高橋先生は謝ったら許してくれた……でも」

純一「……僕は、確かに正気なんだ……」

純一「ちゃんと昨日までの記憶だってある。みんなと仲良く会話して、放課後会ったり、
   お昼ご飯食べた時のメニューだって覚えてる……」

純一「──なのに、僕が記憶しているのは……去年の十二月中旬まで」

純一「どうなってるんだ……本当に、僕が一体なにをしたっていうんだよ………」

純一「周りも変わってしまってるし、薫も……そして、森島先輩、も