しょうか」
八幡「……」
雪乃「……」
八幡「なあ、こんな話知ってるか?ディスティニーランドでデートしたカップルは別れるとかなんとかいう都市伝説」
雪乃「今まさにデートしている最中でそれを言うのはどうかと思うのだけれど……ええ、聞いたことがあるわ」
雪乃「長時間アトラクションの時間待ちで会話が続かなくなり、気まずくなって、相手のことが好きじゃないと感じてしまうというアレでしょう」
雪乃「でも、それは私たちには当てはまらないでしょう。私たちは二人とも無言が苦にならない性格だし、それに……」
八幡「ん?」
雪乃「こうして二人で列に並んでいるこの瞬間も、私はとても楽しいもの」ニコ
八幡「……!ああ、そうだな」
八幡(さて、このアトラクションにはちょっとした仕掛けがある)
八幡(ここでは暗闇のボートで施設内を巡っていくわけだが、序盤にちょっと急な降下がある)
八幡(カリブの海賊王はジェットコースタではないので大したスピードは出ないが、視界が悪いうえに、降下の直前、ゲストは上方の喋る骸骨に意識が集中している)
八幡(雪ノ下にしてみれば、心の準備もなくいきなり急降下に遭遇してしまったというわけだ)
八幡(びっくりして俺にしがみつくその姿は、普段のクールな様とのギャップで実に可愛らしかった。あと、ささやかな胸部の脂肪が俺の腕に当たっていた)
雪乃「驚いたわ……まさか急に落ちるなんて、人が悪いアトラクションね」
八幡「まぁ、あれは初見だとびっくりするよな。でもこのランドの3つのジェットコースターと比べたら全然スピードも出てないし」
雪乃「けれど、教えてくれてもよかったじゃない……意地悪ね、比企谷くん」プイ
八幡「悪かったって。ほら次行こうぜ。機嫌直してくれよ」
八幡(その後、ジャングルクルーザーで精巧なライオン(ネコ科)のロボットを見た雪ノ下は機嫌を直し、一緒に昼飯をとったあとも次々とアトラクションに挑んでいった)
八幡(3つのジェットコースターを制覇した後、ちょうど始まったパレードを眺め、雪ノ下待望のパンさんのアトラクションから出た時には、すっかり日が沈み、閉館時間が近づいていた)
八幡「ふう、いろいろ回ったな。一日人ごみにいてクタクタだ」
雪乃「そうね……私も少し疲れたわ。でも、とても楽しかった。今日のことは一生忘れないと思う」
八幡「大げさな奴……。さて、帰りの電車も混むし、体力が尽きるまえに帰ろうぜ」
雪乃「……あの、そのことなんだけど……」
八幡「あ?」
雪乃「実は、その、デスティニーランドホテルに部屋を取ってあるの……。それで、そのもしよかったら、泊まっていくのはどうかしら……?」
八幡「え、え?えとそれってその……」
雪乃「今夜は、一緒に居たいの……」///
エロシーン飛ばしていいよね
翌朝 ホテル
八幡(やっちまった……)
八幡(昨晩、雪ノ下にホテルに誘われ、そのままなし崩しで事に至ってしまった。フロントで『ゆうべはおたのしみでしたね』って言われたらどうしよう)
八幡(まだ何者の侵入も許したことのない雪ノ下の秘所は、想像を絶する締め付け具合で、俺はパンパンパンと三回腰を打ち付けたらもう果ててしまった。たった三回って、何オロさんだよ俺は……)
八幡(もっとも、すぐに回復して、行為は日付が変わっても継続したわけだが……)
雪乃「……八幡、おはよう」
八幡「ああ、おはよう雪ノ下。身体はもう平気か?」
雪乃「ええ、平気よ。昨日の5回戦目ごろにはもう痛みは引いていたし。もっとも今は筋肉痛の方が少しね……」
八幡「はは……俺もだよ」
雪乃「それよりも、八幡、ゆうべのように雪乃とは呼んでくれないのかしら」
八幡「そうだったな……。おはよう雪乃。…………愛してるぞ」
雪乃「ええ、私もよ」ニコ
第二話「初体験はパンパンパン」終了
八幡(その後、ルームサービスで朝食を済ませ、時間ぎりぎりまで、その、なんだ致した後、IKSPIARIで土産を買って帰宅した)
月曜日 奉仕部部室
結衣「やっはろー!」
八幡「よう、由比ヶ浜」
雪乃「こんにちは、由比ヶ浜さん」ニコ
結衣「あはは、二人とも微妙にはもってるよ!」(最近のゆきのんなんだか穏やかだなあ。笑うことも増えたし。いいことだね!)
八幡「なんだか由比ヶ浜にすっげー久しぶりに会った気がするな」
雪乃「奇遇ね。私もそう感じていたところよ」
結衣「たった二日間が空いただけで大げさだよー」
雪乃「そうかもしれないわね。さて、三人そろったしお茶にしましょうか。今日はお茶うけにクッキーを持ってきたのよ」
結衣「あ!ネズミ―マウス!ねえねえゆきのん!これどうしたの?」
雪乃「週末にデスティニーに行ってきたの。お土産として買ってきたのだけれど、よかったら食べてくれないかしら」
結衣「わー!私のためにお土産買ってきてくれたの?ありがとーゆきのん!」
雪乃「別に気にしなくていいわ。どうせ同じものをもう一つ八幡も買ったのだし」
結衣「……え?えっとゆきのんそれってどういうこと?なんでヒッキ―の名前、ていうか八幡って……」
雪乃「そういえば言ってなかったかしら。先週から私たち付き合うことになったのよ。デスティニーには初デートとして行ってきたの」
結衣「え……、あ、そ、そうなんだ……え?ヒッキ―とゆきのん付き合ってたんだぁ」
八幡「えっと、由比ヶ浜」
結衣「わ、わー全然気が付かなかったよー!えーなにそれ凄ーい!」
八幡「おい、」
結衣「あ、そうだ、ごめん今日優美子たちと約束があったの忘れてた!もう行かなきゃ!ごめんね!」ダッ!
八幡「ちょ、由比ヶ浜!……言っちまった……」
雪乃「由比ヶ浜さん、どうしたのかしら急に出て行ってしまったけれど」
八幡「そりゃ、おまえ急に私たち付き合ってますなんて言われたら誰だってそうなるだろ。ましてやここは三人しかいないんだぜ?気まずさ半端ないだろ」
雪乃「別に私は気まずくないわよ?」
八幡「由比ヶ浜は俺らと違って空気に敏感だからなおさらアレだろ……。大体何で急にあんなこと言ったんだよ。先週はそんなそぶり全く見せなかったじゃねえか」
雪乃「別に私は由比ヶ浜さんに隠すつもりはなかったのだけれど。八幡も秘密にしようなんて言ってなかったじゃない」
八幡「そりゃそうだけど……」
雪乃「既成事実があれば諦めもつくだろうし」ボソ
八幡「あ?何か言ったか?」
雪乃「いいえ何でもないわよ。八幡」ニッコリ
八幡(由比ヶ浜が部室に顔を見せなくなって3週間が過ぎた)
雪乃「今日も依頼人来ないわね。まあ、その方が貴方と二人きりでいられてここちよいのだけれど」///
八幡(雪乃はまるで由比ヶ浜なんて初めからいなかったように振る舞っている)
雪乃「ねえ、八幡、来週はどこに行きたい?私はマザー牧場なんてどうかしらって思っているのだけど。あそこ、キャンプ場もあるじゃない?だから、その、良かったらまた一泊……なんて」///
八幡(雪乃とは毎週末デートを重ねている。そのたびに「ああ、俺はこいつを愛しているのだな」と実感する)
八幡(ひょんなことから始まった交際だが、今のこの気持ちに偽りはない。ひねくれモノの俺がこんな気持ちを持っているなんて思わなかった)
八幡(けれど何故だろう。こうして部室で過ごしていると、あの日の由比ヶ浜の泣き出しそうな顔が幾度となくフラッシュバックしてくる……)
雪乃「八幡、ねえ八幡?聞いているのかしら」
八幡「え、ああマザー牧場だっけ。いいじゃないか」
雪乃「じゃあ決まりね。楽しみだわ」
同週金曜日 昼休み
雪乃「どう八幡、おいしいかしら?」
八幡「ああ、凄く美味いよ」
八幡「そういって貰えると作った甲斐があったわ。誰かに料理を食べてもらうのがこんなに幸せなことだとは思わなかったわ」
八幡(最近、雪乃は俺に弁当を作ってくるようになった。専業主夫を目指す俺としてはむしろ作ってあげるべきなのではと思うが、雪乃には到底かなわないのでされるがままにしている)
八幡(ここまで尽くされると流石に居心地が悪いのだが、恋人の善意を無下にはできない。俺も甘くなったものだ。これでは主夫というよりヒモだ)
雪乃「ああ、八幡、言い忘れていたけど、今日の放課後、奉仕部はお休みにするわ。実家の方でどうしても出なければならないパーティがあって……だからその帰りも一緒に帰れないのだけれど……」
八幡「ああ、わかった。頑張ってこいよ」
雪乃「ふふ、ありがとう。明日のデート、楽しみにしているわ」
八幡「……俺もだよ、雪乃」
八幡(今日は久々に早く帰って小町の相手でもしてやるかな)
平塚「ここで李徴は……、むっ時間だな。今日の授業はここまでとする」
八幡(六時間目の現国が終わり、みなめいめいに帰る準備を始めた)
八幡(そういや、最近平塚先生も最近全然部室に来てないな。色々気付かれてんのか?早く誰か貰ってください。俺はもう無理だけど)
葉山「ヒキタニくん、ちょっといいかな?」
八幡「葉山?なんだよ今日は奉仕部は休業だ。相談は受け付けてない。悪いが日を改めてくれ」
葉山「いや、そっちの方が都合がいい。ちょっと来てくれないか?」
八幡「あぁ?何だよ」テクテク
葉山「この辺でいいか。ヒキタニくん、今日は君個人に頼みがあるんだ。君の気が付いているかも知れないが、最近結衣が落ち込んでいるようでね。僕や優美子もいろいろ慰めはいるんだがどうも効果が薄くてね。そこで、同じ部活に所属している君に慰めてやってほしいんだ」
八幡「慰めるっていっても、俺最近由比ヶ浜に避けられてるし、正直お前らにできなかったことが俺にできるとは思えん」
葉山「避けられてる?そんなことはないと思うけどな。最近の結衣は授業中もずっと君の方を見ていたけれど、気が付かなかったのかい?」
八幡「由比ヶ浜が、俺を」
葉山「ああ。……ヒキタニくん、もしかして結衣と何かあったのか?」
八幡「いや、別に……」
葉山「頼む!正直他に手がないんだ。結衣は皆でカラオケに行こうってことで裏の自転車置き場を集合場所に指定して呼び出してある。良かったら行ってやってくれ」
八幡「……分かったよ」
自転車置き場
結衣「隼人君も優美子も姫奈も遅いなあ。大体私だけ先に待っててって意味わかんないんだけど」ブツブツ
八幡「……由比ヶ浜」
結衣「え、ひ、ヒッキ―!?なんでこんなところにいるの!?ストーカー!?」
八幡「アホか。なんで俺がお前をストーキングせにゃならんのだ」
結衣「そ、そうだよね。ヒッキ―彼女いるもんね……」ズーン
八幡「あー俺は葉山達に伝言を頼まれたんだよ。部活関係で緊急の用事が出来たからいけなくなったゴメン、だとよ」
結衣「え?でもみんな違う部活」
八幡「俺が知るかよ。あいつらは別に友達でも何でもないんだし。どうせ今日は奉仕部も休みで帰る途中だったから引き受けただけだ。事実かどうかは知らん。お前があの三人にハブられてるのだとしても知らん」
結衣「何それ酷い!って、ヒッキ―今日部活無いの?」
2/6
- カテゴリ
あやめ速報-SSまとめ-
まとめ(R-18)カテゴリ
過去記事の閲覧ができます
1. おいちゃん
グバア!!
2. 名無しさん
この店員直接脳内に