取り締まりや高齢化で初の2万人割れも… 暴力団、「トクリュウ」関与で潜在化懸念

暴力団の構成員・準構成員が昨年末、初めて2万人を下回り、平成4年の暴力団対策法施行以来、最少となったことが警察庁の調査で明らかになった。背景には取り締まりの強化に加え、若手の「暴力団離れ」も背景にあるとみられる。一方で、より実態のつかみにくいトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)などの犯罪組織に組関係者が紛れるなどの潜在化も警戒されている。(海野慎介)

減少傾向続き過去最少に

「全盛期は何百人もいた参加者が、今年は20人ほどだった」。今年に入り、関東地方で開かれた暴力団関係者の会合。組関係者は、声を潜めてその窮状を明かす。

「警察当局の締め付けが大きく影響しているのは間違いないが、高齢化も原因の一つ。組織の大小もあるが、金銭的に小さい組は、上部団体からの(上納金の)『吸い上げ』に耐えられない」

警察庁のまとめによると、暴力団の構成員・準構成員数は令和6年度末時点で約1万8800人。平成17年以降減少が続いており、構成員は9900人、準構成員は8900人で、いずれも過去最少を記録した。

主要団体別の構成員・準構成員数は、最大の六代目山口組(本部・神戸市)が6900人、住吉会(同・東京都新宿区)が3200人、稲川会(同・東京都港区)が2800人となっている。

規制強化、若年層に抵抗感

減少の背景には、平成4年に施行され、改正が繰り返されている暴対法をはじめとする規制強化がある。

暴力団に対する風当たりは年々厳しさを増し、23年10月までには全都道府県で暴力団排除条例が施行。市民や企業が暴力団に利益供与することは禁止され、「会社や店が付き合いを拒むようになっていった」(組関係者)。覚醒剤の密売や恐喝、賭博、店などへの用心棒代(みかじめ料)の要求など、暴力団の従来のシノギ(資金獲得活動)は縮小していった。

また、行動規範などを定めた「綱領」や身分関係を固める「盃事(さかずきごと)」といった厳格な儀礼や風習が残る暴力団組織への、若者の忌避感も指摘されている。

「若い人は事務所の電話番や、厳しい上下関係などを好まない面がある」(捜査関係者)といい、暴力団に所属せずに犯罪行為を行う「半グレ」や、暴走族の元メンバーらでつくる「準暴力団」など、より関係性があいまいな組織に流れる者もいるとみられる。

トクリュウの獲得資金、上納か

こうした中で近年台頭してきたのが、流動的なメンバーで構成される新たな犯罪組織「トクリュウ」だ。昨年、過去最悪の被害額を記録した特殊詐欺をはじめ、闇バイト強盗やヤミ金、悪質ホストクラブなど、あらゆる手段で資金獲得活動を活発化させている。

捜査関係者が注視するのが、こうしたトクリュウと暴力団との関係だ。「どの組も、表向きは特殊詐欺は『ご法度』としているが、蓋を開けると組員が絡んでいるケースが多い」(捜査幹部)。今年2月、トクリュウが関与し静岡県の60代女性から約1600万円を詐取した特殊詐欺事件では、「指示役」とみられる住吉会系組員の男が摘発された。トクリュウが犯罪で得た資金の一部が、「上納金」として暴力団に流れている可能性があるという。

暴力団を巡っては、その「拠点」にも変化が生じている。

東京都内では昨年3月、指定暴力団住吉会が新宿区に構える本部事務所に対し、近隣住民が使用を差し止める仮処分を東京地裁に申請。地裁は同年6月、仮処分を決定した。今年3月には、住吉会の傘下組織が足立区に置く組事務所にも、使用差し止めの仮処分決定が出ている。

拠点施設への監視が厳しくなっている状況を受け、捜査幹部は「組員の出入りを避けるなど、組事務所と認識させないように拠点を構える可能性はある。組員に加え、事務所自体も水面下にもぐり、『秘密のアジト』ができることはあるのかもしれない」と警戒を強めている。

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