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2025.04.15 10:45

【ゴール裏応援体験記・前編】勝っても負けても…高知ユナイテッド愛を叫ぶ! サポーターはなぜ立ち続けるのか

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 高知ユナイテッドのJ参入を機にサッカー報道に「ひがち」になりだした高知新聞PLUS編集チームの面々。まだまだ知らないことが多いが、ゴール裏の応援風景もその一つ。なぜあそこまで一生懸命になれるのか? もっとにぎわう可能性はあるのか? 好奇心一つで4月13日、ホームの春野陸上競技場で行われた栃木シティ戦のゴール裏に突入してみた。0-5とまさかの大敗を喫したものの、そこには高知Uへの「愛」があふれていた。
ゴール裏で声援を送る高知ユナイテッドのサポーター(春野陸上競技場)

ゴール裏で声援を送る高知ユナイテッドのサポーター(春野陸上競技場)





観客席もいろいろ
 春野陸上競技場の観客席はメーンスタンド中央部にS指定席がある。それを挟む形でA指定席がある。A指定席の端からバックスタンドに向かって大部分がホーム自由席であり、残りがアウェーチーム向けの自由席だ(詳しくは関連記事【座席の写真多数】見た目はこれ!高知ユナイテッド本拠地・春野陸上競技場へようこそをご覧ください)。

バックスタンドからメーンスタンド(左奥)やホームのゴール裏(右奥)を望む=春野陸上競技場

バックスタンドからメーンスタンド(左奥)やホームのゴール裏(右奥)を望む=春野陸上競技場


ひたすら応援し続ける
 「ゴール裏」は文字通り両チームのゴール裏だ。体を揺らす、拳を突き上げる、チャント(応援歌)を歌うなど特に熱く応援するサポーターたちが集う。プロ野球で言えば熱烈なファンが、外野スタンドでラッパを吹いたり旗をなびかせたり、応援歌を歌ったりするようなものだ。野球と大きく違うのは攻守交代に決まった時間帯がない。前後半45分ずつ、ひたすら歌ったりかけ声を発したりし続ける。

応援する気持ちさえあれば
 え? そんなに熱心には応援できないよ。そう思うだろう。筆者もそうだった。二十年以上前、上司に言われた。「おまえ、大きな声出したことあるか?」。まあそういうキャラでやってきた。人前に出ることを好まない。ただ誰かを応援する気持ちで記事は書いてきた。結論から言えば、そういう人でも高知Uのゴール裏は歓迎された。

鹿児島戦では悔しい思い
 筆者がミーハー心全開で春野で初観戦したのは、この3月の鹿児島ユナイテッド戦。試合終了直前に同点ゴールを喫して引き分けたため非常に悔しい思いで帰宅した(詳しくは【観戦体験記】春野で高知ユナイテッド体感! 雨天の鹿児島ユナイテッド戦はまさかの幕切れを参照)。

【高知-鹿児島】後半、追加タイムに声援を送るサポーター(春野陸上競技場)

【高知-鹿児島】後半、追加タイムに声援を送るサポーター(春野陸上競技場)


応援したい人はいるんじゃない?
 「また来ますか?」と同行した同僚Rに問われたものの、ドラマチックな同点劇に動揺したこともあり即答できず。ただこみ上げる悔しさと宇佐美貴史&大群のサポーター見たさのミーハー心全開で直後のルヴァンカップ・ガンバ大阪戦を抜け駆け同然で見に行った。モクモク入道雲のように盛り上がるガンバサポと対照的にこぢんまりとした高知Uのゴール裏応援団。その差にぼうぜんとしつつ、ホーム自由席で拍手や鳴子で音を出す人の多さがうれしくもあった。これ、ゴール裏に集えばそれなりに盛り上がれるんじゃないの?
鳴子は応援グッズにもなっている

鳴子は応援グッズにもなっている




SNSから取っかかり
 百聞は一見にしかずという。ゴール裏に行けばそこに集う人たちや、逆に人が来られそうで来られていない理由も見えるかも。まずはゴール裏を盛り上げようとSNSで呼びかけている「八百正」さんとコンタクトを取ることにした。やはり何かしら取っかかりがないとゴール裏には行きにくい。

ウエルカムボードが目印
 SNSでのやりとりを経て13日の栃木シティ戦直前、お店にうかがった。高知市のひろめ市場横にある八百屋さん。高知Uに関する情報が記されたウエルカムボードが目印だ。元々は春野で使われていたが「使うよね?」と応援団から託され主戦場がおまちになった。
ウエルカムボードと「八百正」さん(高知市帯屋町2丁目)

ウエルカムボードと「八百正」さん(高知市帯屋町2丁目)


春野に現るスーパーサイヤ人
 八百正さんは春野でドラゴンボールのスーパーサイヤ人風ウイッグを装着している。ただでさえゴール裏行きの心理的ハードルがあるのにコスプレかぁとさらにハードルが上がったがさすがに店では黒髪だった。サイヤ人ではなく野菜人の状態だったので話ができた。
スーパーサイヤ人になった八百正さん(春野陸上競技場前)

スーパーサイヤ人になった八百正さん(春野陸上競技場前)


あえて目立たせてます
 「目立ちたがりだと思うでしょ? これ、目立たせてるんです」。ゴール裏のスタンドではなく芝生席で遊ぶ子どもたちが気になっていた。自由に過ごすのはいいけれどゆくゆくは一緒に応援したいな。そう考え、親しく接することができるようにかぶり物をするようになった。

きっかけは天皇杯・川崎戦
 そもそも熱が入り出したのは高知UのJFL時代。2023年天皇杯で川崎フロンターレ相手に善戦(結果は0-1)したのを見て心が動かされた。だがJ3・JFL入れ替え戦でお借りしたPikaraスタジアムでの開催やルヴァンカップを含め実にホーム戦は12試合続けて勝てていない。それなのになぜ応援し続けられるのか?
天皇杯で高知ユナイテッドは川崎フロンターレ相手に善戦した(2023年8月、春野陸上競技場)

天皇杯で高知ユナイテッドは川崎フロンターレ相手に善戦した(2023年8月、春野陸上競技場)


勝たしちゃらないかん
 鹿児島戦で「悔しいな」となった。ヴァンラーレ八戸戦では後半に3点奪われ2-3の大逆転負けとなり「初めてあれだけの高知UサポーターがXで荒れた」。オレたちが声を出して勝たしちゃらないかんとなったんです、と八百正さんが過程を解説してくれた。

応援するなら声に出そうよ
 ガンバ戦もきっかけの一つととらえている。青と黒の軍団の統率が取れた応援、声量、はためく旗。「憧れですね」。一方でガンバサポに言われたという。「小林心が点を取った時に高知の応援席沸いたよね? それってガンバを見に来たんじゃなくて高知を応援しに来たってことよね? じゃあ声に出そうよ」。そう、高知にも応援したい人はいっぱいいるのよ!
ガンバの大応援団がいる中で戦う高知ユナイテッドの選手ら(春野陸上競技場)

ガンバの大応援団がいる中で戦う高知ユナイテッドの選手ら(春野陸上競技場)




私設応援団の代表に出会う
 13日は春野も大荒れの天気。陸上競技場外ののぼり旗もバタバタ倒れ、スタジアムグルメのテントも飛ばされそうな勢いだった。そんな中で高知ユナイテッドの私設応援団「Ultras Bonito(ウルトラス ボニート)」代表、西森太介さん(41)に出会った。
「Ultras Bonito(ウルトラス ボニート)」代表、西森太介さん=中央。険しい顔に見えるが話してみるとニコニコ(春野陸上競技場前)

「Ultras Bonito(ウルトラス ボニート)」代表、西森太介さん=中央。険しい顔に見えるが話してみるとニコニコ(春野陸上競技場前)


きっかけは徳島の応援
 サッカーを熱く見だしたきっかけは2014年、徳島ヴォルティスの観戦なのだが最初は一般席で見ていた。それが応援の楽しさに目覚めて応援団に混ざったり、降格のドラマを間近で見たりして、やがて応援の対象が高知のチームになったという。

精神的障壁がある
 ゴール裏で第一声を発するまでにハードルを感じちゃうのですが…。「分かります、分かります」。全体の人数が少なかったら、応援しない姿が目立ってしまい一緒に応援せざるを得ない。一緒にやっていいですかという声かけも勇気が要る。「精神的障壁がある」と西森さんもそこは分かっている。
筆者はタオルマフラーを使うのさえ最初は照れがあった

筆者はタオルマフラーを使うのさえ最初は照れがあった


そんなことはありません!
 「僕らもそれは分かっているんですけれど、初めて来る側が遠慮するみたいな。勝手にやったら怒られるがやないろうか?とか。そんなことはないと強調して書いておいてほしい」

声は「出ちゃう」
 では、ゴール裏に来たい人はどうすれば? 「来てくれさえすればいい。団体のみんなはそういう気持ち」「あそこにいたら勝手に足とか声が出るんですよ。出ちゃう。それを止めることはできない。その雰囲気はオレらが作るから、できたらみんなでやりませんか」。西森さんはそう呼びかけた。県民がこぞって観戦に行ったり、勝った負けたで一喜一憂したり。それがサッカー文化の定着であり、ゴール裏の盛り上がりにつながるのだ、と。
【後編に続く】

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2025.04.15 10:44

【ゴール裏応援体験記・後編】勝っても負けても…高知ユナイテッド愛を叫ぶ! サポーターはなぜ立ち続けるのか

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 高知ユナイテッドのJ参入を機にサッカー報道に「ひがち」になりだした高知新聞PLUS編集チームの面々。まだまだ知らないことが多いが、ゴール裏の応援風景もその一つ。なぜあそこまで一生懸命になれるのか? もっとにぎわう可能性はあるのか? 好奇心一つで4月13日、ホームの春野陸上競技場で行われた栃木シティ戦のゴール裏に突入してみた。0-5とまさかの大敗を喫したものの、そこには高知Uへの「愛」があふれていた。
【この記事の前編はこちら】記者はゴール裏の予備知識を得た上で春野に向かいました

ゴール裏で声援を送る高知ユナイテッドのサポーター(春野陸上競技場)

ゴール裏で声援を送る高知ユナイテッドのサポーター(春野陸上競技場)





夫婦でゴール裏に
 来ている人は実際どうなのか? ホームのゴール裏に駆けつけている南国市の中沢真理さんは50代で、ご夫婦での観戦や応援を満喫中。「推し」はMF上月翔聖で、入れ替え戦で決めたゴールが心に残っている。レプリカユニホームの背番号はもちろん上月の「16」だ。
サポーターの中沢さん夫妻(春野陸上競技場前)

サポーターの中沢さん夫妻(春野陸上競技場前)


楽しかったのは「一体感」
 最初にゴール裏に来たのは第3節のFC大阪戦。さらに中心部の「バンデーラ」と呼ばれる帯状の幕を持って応援し始めたのがこの一つ前のホーム戦、第7節のFC琉球戦だ。当初、応援スタイルはうろ覚え、何となく耳には入っていたのだがYouTubeで予習し、後は自然と覚えたという。「コールリーダーさんがおるので、それに合わせて(応援した)」。楽しかったのは「一体感」と即答した。

意外と大丈夫
 「最初、自分らも『(ゴール裏に)行っていいんかな?』やったんです。だから、ちょっと離れた所におって。あ、誰でもいいんだっていうので(ゴール裏中央部の)隣におったら横にどうぞと(コアメンバーが)言ってくださったので、全然大丈夫なんやと。意外と大丈夫、うふふふ」

自由なスタイルで
 意外と、というと不安要素が? 「団体的なものがあって、勝手に行って大丈夫なのかな? 入会せんといかんのかなという感覚ですね。そんなこと全然なくて」。プレーを見ながら声を出すのは難しくないですか? 「難しくない。もう全部(みんなに)合わせているので。応援無視して『(小林)心!心!』『翔聖!』と声が出ることもあります。自然と声が出ますね」。さっき西森さんが言った通りだった。

いきなりバンデーラ
 体験取材なので若干ためらいながらも(ここまで来ているのにいい加減往生際が悪い!)赤、緑、赤のバンデーラの端っこを右手で持つ。バンデーラはスタンドの傾斜に沿って斜めに垂らされており、ざっくり一列あたり10人ぐらいが両端から持つ。筆者は前から3人目。中沢さんと違って予習もほぼしておらず心許ないことこの上ない。
赤と緑、帯状の幕がバンデーラ(春野陸上競技場)

赤と緑、帯状の幕がバンデーラ(春野陸上競技場)


初心者マークさん現る!?
 バンデーラをペアで持つ位置に、チャントの歌詞カードを食い入るように見つめる男性を発見! 見るからに初心者マークさんではないか。心をときめかせながら自己紹介をしつつ取材に来たことを告げると「ゴール裏は、ホームではきょう初めてです」。キターッ!

60クラブ制覇の野望
 急きょ取材対象としてマークされた山中浩史さん(39)=高知市=のゴール裏デビューは第4節のツエーゲン金沢戦。「(Jリーグ)初勝利に立ち会えたんで、あ、ゴール裏いいなと」。当初はJ1からJ3の全60クラブ本拠地制覇をもくろんでいたという。金沢戦は前日に大阪のヨドコウ桜スタジアムでセレッソ大阪戦を観戦し、そのまま足を伸ばしたのだった。
J3のクラブだけでもこんなに…全部で20チーム

J3のクラブだけでもこんなに…全部で20チーム


ノリで応援する
 高知市在住なので「今までもあのへんで見てたんですけど」と春野陸上競技場のメーンスタンド方向を指し示した。「応援自体は素人ですし、全然分からんので、ノリで応援するだけ」と楽しそうに笑った。筆者と違って何とすがすがしいことか。「選手の名前も全員は知らないです。推しの人からとりあえず覚えていったら…」。ちなみに山中さんの推しも上月だったので中沢さんと一緒だった。

吹っ切れました
 60チーム制覇ってすごい目標ですね…。「金沢戦からは、もうユナイテッドに全振り(全集中)でいいかなと。その上であちこち行ければ。交通費を試算してみたらエグいんで。こだわっていくほどのもんじゃないよな~と葛藤してたんで。吹っ切れました。もうユナイテッドオンリーで」。そうこうしているうちに大型ビジョンで選手紹介が始まった。



《選手紹介》
 ここからは若干実用編。選手紹介は「ディフェンダー、38番」「不屈の精神、振り抜けレフィティー! 鈴木俊也!」と一人一人をスタジアムDJが紹介。ドン、ドン、とドラムの音がしたら拳や手を前方に突き出して「オイ!」と声を出す。スタメンだけじゃなくベンチ入り選手も同様だ。
DF鈴木俊也(すずき・しゅんや)

DF鈴木俊也(すずき・しゅんや)


《試合前にちょっと練習》
 この日は14時キックオフだったが13時18分ごろからぼちぼち応援の練習が始まった。歌詞カードは前半に出てきた八百正さんがコピーを配ってくれた。分からない人はこれを見れば何とかなる!

《選手と対面》
 13時20分ごろ、高知Uイレブンがゴール裏のサポーター近くに整列した。選手は一礼。サポーターは手をひらひら。

《コールリーダーあいさつ》
 拡声器を持ったコールリーダー、岩崎諒太さん(22)が今日の試合の意味づけをしつつあいさつ。「(対戦相手・栃木シティはJFLの)同期とかいろいろあるかもしれないですけども、絶対に倒さなきゃならない相手だと思っていますんで、一緒に今まで以上に戦って、絶対に勝ちましょう、お願いします!」。サポーターたちは拍手でこれを盛り上げた。絶対勝つぞー!
試合前、チャントの説明をするコールリーダーの岩崎諒太さん(春野陸上競技場前)

試合前、チャントの説明をするコールリーダーの岩崎諒太さん(春野陸上競技場前)


《選手入場》
 よさこい節の「土佐ーのー」を「ララーラー」という感じでララ化させて選手たちをお出迎え。よさこい節なら県民は歌えるね。何回か繰り返すとテンポアップしてノリノリになる。そして汎用性のある「高知SC!(ドドンド、ドンドン)」を連呼しながら両腕を右前方に伸ばす。このあたりでも鳴子の音がよく聞こえたので、上手に使って盛り上げているようだ。
栃木シティ戦、高知ユナイテッドのスターティングメンバー(春野陸上競技場)

栃木シティ戦、高知ユナイテッドのスターティングメンバー(春野陸上競技場)


《選手の名前を呼ぶ》
 試合開始の直前、再度スタジアムDJが高知Uの先発メンバーの名前を呼ぶ。DJが「高野!」と若干あおり気味に投げかけるので「裕維!」などと名前を呼んで応える。これが初心者にはまだ難しいかも。というわけで選手の名前と顔、背番号とエピソードは高知新聞PLUSの選手紹介記事をご覧ください。知っておくとより楽しいです。
MF高野裕維(たかの・ゆうい)

MF高野裕維(たかの・ゆうい)


《イエローサブマリン》
 他クラブでも同様のものがあるが、高知Uの場合はこう。
アレアレ アレアレ We are 高知 アレアレ
アレアレ アレアレ We are 高知 アレアレ
We are 高知! アレアレアレ×3

《Capital》
 コールリーダーの岩崎さんが拡声器で口火を切った。「叩き込ーめ、ヤツらのゴール…」。「オオオオオオオ オオオオオオオ オオオオオオオ高知!」とサポーターが呼応した。その後は以下の通り。
オレオレ オレ高知
オレオレ オレオレ高知
叩き込め ヤツらのゴール
オオオオオオオ オオオオオオオ オオオオオオオ高知!

《ゴールキック》
 GKが蹴り出す準備をしたら、オイ!オイ!オイ!オイ!オイ!と声を出す。GKが蹴るのに合わせてオーーーーーーと手をひらひらさせながら声出しの助走を付けて、蹴ったらオイ!と一発景気づけ。手も「飛んでけ!」とさらに一押し。1試合に何度もあるのですぐ覚えられる。

《GKへの声援》
 ナイスセーブした場合、コールリーダーが「大杉!」などとGKをたたえるきっかけをくれるので「サトシ! サトシ!」と名前を呼んでゴールの安泰を祝う。
栃木SC戦、パンチングでクリアする高知ユナイテッド大杉(21)=カンセキスタジアムとちぎ

栃木SC戦、パンチングでクリアする高知ユナイテッド大杉(21)=カンセキスタジアムとちぎ


《ピンチの時》
高知、高知、高知!(ドドドン)を繰り返す。相手のコーナーキックなどの場合、サポーターはどうすることもできないが、声を出すことでちょっとでも圧を形成できるかも。

《C.P》
We love you×3 Oh Oh
United×3 Oh Oh
※2回繰り返し
Oh Oh Oh…
 ラブなんて言うと最初恥ずかしい気もするが、これを歌っているうちにきっとユナイテッド愛が芽生えているはずだ。
高知ユナイテッドのチャントを説明した紙

高知ユナイテッドのチャントを説明した紙


 なお、歌っている間に失点することもある。が、ゴール裏の面々はリズムが途切れるどころかさらに音量を上げて歌いだした。下降気味の飛行機の操縦かんがこれ以上下がらないように。いや、再び上昇させるのだとチームを鼓舞するように!

 栃木シティ戦は前半に先制点を許し、追加点も奪われてしまった。0-2。前節、松本山雅に大勝した勢いはどこへ行ったの?と誰もが聞きたくなったに違いない。が、サポーターはひたすら歌い、体を上下させ、拳や手を振り上げ、声を出し続けた。バンデーラを持たないゴール裏の人の一部も、立ち上がって応援していた。熱は確実に伝わっている。

《魂》
戦え(ドドドン ドン ドン ドドン)
俺たちとともに(ドドドン ドン ドン ドドン)
気持ち見せてみろ(ドドドン ドン ドン ドドン)
土佐の男なら(ドドドン ドン ドン ドドン)
Oh…

俺たちとともに
 この日は結局5失点だったのだが、この歌が試合を最も象徴していた。ただ重要なのはこの2番目のフレーズ「俺たちとともに」ではなかろうか。これがなかったらただの言いっぱなし。そこに愛はないのだ。
栃木シティ選手と競り合う高知ユナイテッドの選手(春野陸上競技場)

栃木シティ選手と競り合う高知ユナイテッドの選手(春野陸上競技場)


コールリーダーが着火
 2失点目の直後も「まだ行けるぞ」「取り返せ」とサポーターはイレブンにげきを飛ばした。「叩きこーめ、ヤツらのゴール!」と再びコールリーダーが着火すると、「オオオオオオオ オオオオオオオ オオオオオオオ高知!」と再び盛り上げ始めた。

後半の盛り返しに期待
 残念ながらそのまま前半終了。高知SC!(ドドンド、ドンドン)高知SC!(ドドンド、ドンドン)と選手をねぎらいつつも後半の盛り返しに期待するサポーター。愛を感じたのは、選手がピッチを出た後もしばらくかけ声を続けたことだ。劣勢だし手を抜きそうなところではあるが、きっちり応援をし続けるところが素晴らしい。



少年がげきを飛ばす
 ハーフタイムに少年がコールリーダー体験に現れた。高知SC!(ドドンド、ドンドン)高知SC!(ドドンド、ドンドン)。かわいらしくも気合の入った声にサポーターも勇気づけられる。「後半に5点取って、大勝ちして帰りましょう!」との呼びかけに集団は「ウェーイ!」と気勢を上げた。そうよ、あと45分あるじゃないか。
ボールを追う高知ユナイテッドの選手

ボールを追う高知ユナイテッドの選手


《突き抜けろ》
オオオオオオ ラララ フォルツァレ高知 ×2
ゴール奪え 突き抜けろ 今
ラララ フォルツァレ高知
 後半がスタート。これは日本代表の試合中継でもよく耳にするやつなので歌いやすかった。

《リスボン》
(Oh lala 高知)つかみとるぞ 勝利
臙脂と緑の戦士 Oh lala
熱くさせてくれ Lalala… 南国土佐を
 後半開始時の歌のようだ。ただ、やはり初心者には新しい歌が出るとお手上げなのは否めない。ま、そういう時は手拍子なりバンデーラを上げ下げするのでもいっか! おいおい覚えていこう。
高知ユナイテッドのチャントを説明した紙

高知ユナイテッドのチャントを説明した紙


 後半も厳しい戦いが続く。1点を返すどころか後半11分に3点目を奪われてしまった。

《オキザリス》
(この手に勝利を)du du du・・・
高知ユナイテッド やってやろう
どこよりも だれよりも
高知ユナイテッド 強くあれ
どこよりも だれよりも
ラララ声上げ歌うのさ
さあ この手に勝利を du du du・・・
 まだまだ新参者には愛が足りないので、これだけ歌っていたら対価として勝利を欲してしまう。あきらめるわけではないが、ここから4点取るのはさすがにきついなと正直なところ思ってしまう。だが「強くあれ」は本当にその通りだ。この日の高知Uイレブン、ちょっと覇気がないように見えたのが心配で、残念だった。

初のセットプレー
 ようやくチャンス到来。「きょう初のセットプレー。ここ絶対決めてもらいましょう!」とコールリーダーがかけ声。そうだそうだ!きっと行けるぞ。セットプレー時のチャントは「決めろ」だ。

《決めろ》
(Lalala・・・) C’mon×3 高知
さあ決めろ 高知(ハイハイハイハイ)
さあ決めろ 高知(ハイハイハイハイ)
Lalala・・・
C’mon×3 高知
 盛り上がるゴール裏。さあ決めろ高知、ハイハイハイハイ! さあ決めろ高知、ハイハイハイハイ! 残念ながら得点はできなかったが久々に活力が湧いてきた。

「リンダリンダ」
 選手たちも手を抜いているわけではない。MF三好麟大がナイスプレーをするとコールリーダーが「みよしりんたー!」とTHE BLUE HEARTSの「リンダリンダ」風にけしかけると、サポーターたちは「麟大麟大麟大ぁ!」と大合唱。やっぱり選手の名前やかけ声のパターンを知っていると楽しめるね。
MF三好麟大(みよし・りんた)

MF三好麟大(みよし・りんた)


「猛牛」現る
 ただでさえ劣勢なのに、栃木シティが猛者を投入してきた。ピーター・ウタカ2016年のJ1得点王だ。それは後で知ったのだが、のっしのっしとピッチに入ってくる様は羊が走り回る牧場に放たれた猛牛のように見えた。ゴール裏からでも明らかにガタイの良さが分かる。当たり負けしない様子に高知サポも思わず「強いわ」と漏らしていた。
栃木シティのピーター・ウタカ、存在感が別格だった(春野陸上競技場)

栃木シティのピーター・ウタカ、存在感が別格だった(春野陸上競技場)


三度目の正直
 それでも高知Uも後半はセットプレーのチャンスが増えてきた。「三度目の正直、決めてもらいましょう!」とコールリーダー。惜しくもゴールはならなかったが悔しがる声援になってきた。水戸ホーリーホックから戻ってきた内田優晟と交代した東家聡樹がピッチを去る際も「東家!(ドドドン)トシキ!(ドドドン)」とねぎらった。
FW東家聡樹(とうや・としき)

FW東家聡樹(とうや・としき)


 だがさすがに4点目を奪われると全体の統制ではなく心の声が放たれだした。「まだ終わってないぞ」「あきらめるな」「ホームぞホームぞ、ここ!」「前向け前を!」

 ひとしきり声が出きった頃、コールリーダーが選んだのは「熱く戦え」

たーたーかーえー!
オレたちとともにぃー!
気持ち見せてみろぉー!
土佐の男ならぁー!
おおおおー!
おおおおー!
おおおおー!
おおおおー!

たーたーかーえー!
オレたちとともにぃー!
気持ち見せてみろぉー!
土佐の男ならぁー!
おおおおー!
おおおおー!
おおおおー!
おおおおー!

たーたーかーえー!
オレたちとともにぃー!
気持ち見せてみろぉー!
土佐の男ならぁー!
おおおおー!
おおおおー!
おおおおー!
おおおおー!

 それでもまだ5失点目が待ち受けていた。
失点が重なり、いらだちも見せる高知ユナイテッドの選手たち(春野陸上競技場)

失点が重なり、いらだちも見せる高知ユナイテッドの選手たち(春野陸上競技場)


………。
オレたちとともにぃー!
気持ち見せてみろぉー!
土佐の男ならぁー!
おおおおー!
おおおおー!
おおおおー!
おおおおー!

たーたーかーえー!
オレたちとともにぃー!
気持ち見せてみろぉー!
土佐の男ならぁー!
おおおおー!
おおおおー!
おおおおー!
おおおおー!

たーたーかーえー!
オレたちとともにぃー!
気持ち見せてみろぉー!
土佐の男ならぁー!
おおおおー!
おおおおー!
おおおおー!
おおおおー!

 「1点取れ」「意地見せろよ!」。このげきに高知Uイレブンも応えようと必死になっているように見えた。「1点取るだけで絶対変わるき!」

《L.A.》
高知好きなら 跳べ!跳べ! ×4
オオー! ×4

高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
オオー!
オオー!
オオー!
オオー!

高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
オオー!
オオー!
オオー!
オオー!
この日は2000人を超す観客が春野陸上競技場を訪れた

この日は2000人を超す観客が春野陸上競技場を訪れた


あきらめない人がすぐ横にも
 最後の力を振り絞る高知Uのゴール裏。試合時間はもう5分を切っており、ここから6点取ることなど不可能に近い。1点でも取ってくれたらほぼ90分の苦楽を共にしてきた仲間と喜びを分かち合えるのだが…。と弱気になったその時、右目の視界の先に拳が突き出て見えた。本日がホームのゴール裏初参戦の山中さんの右手だ! あきらめずに右手を突き上げている。この人ホンモノだな。そうだ、最後まで踏ん張ろう。

高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
オオー!
オオー!
オオー!
オオー!

高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
オオー!
オオー!
オオー!
オオー!

 試合終了のホイッスルが聞こえた。が、サポーターは歌い続けた。

高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
オオー!
オオー!
オオー!
オオー!

高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
高知好きなら 跳べ!跳べ!
オオー!
オオー!
オオー!
オオー!

高知好きなら………



負けたい選手は一人もいない
 「次勝ってもらわないと、連敗は嫌ですよね、皆さん?」。代表の西森さんが拡声器で締めのあいさつをしだした。「うちらはブーイングをしない人たちなんですけども、選手に思いは伝わると思うんで。チームコールは今日一番の声で選手を送り出してあげてください。じゃないと選手がかわいそう。まあオレらもかわいそうなんですけど」。西森さんがサポーターをほぐしにかかる。ようやくみんながよろいを脱いだようだ。が、西森さんは激しい口調で思いをぶつけた。「負けたくて、ピッチでやってるやつなんて一人もいないんですよ!」。拍手が湧き起こり、そうだそうだ!という雰囲気になった。
栃木シティ戦で、高知ユナイテッドの選手も奮闘した(春野陸上競技場)

栃木シティ戦で、高知ユナイテッドの選手も奮闘した(春野陸上競技場)


選手の気持ちを考え続ける
 「最後までずっと応援していたんで、ほんとに選手の気持ちを考えてる人たちだなって」。ホームのゴール裏デビューを終えた山中さんは、サポーターの様子や試合をゆっくり振り返っていた。選手が整列し、拍手がゴール裏を包み始めた。「ようやった!」「次や次や!」。山中さんも大きな声で叫んだ。「また来るからぁ!」
サポーターに一礼する高知ユナイテッドの選手たち(春野陸上競技場)

サポーターに一礼する高知ユナイテッドの選手たち(春野陸上競技場)


ちょっと早めに店じまい
 この日、ゴール裏から選手に対し、激しい罵声やブーイングは飛ばなかった。ただ、応援団はいつもよりちょっとだけ、横断幕を剥がすタイミングが早まったという。店じまいが視界に入った選手には「そういうことやぞ」と伝わったかもしれない。

これも38分の1
 「まだまだ行くぞ、やれるぞという雰囲気は出せていた。落ち込んだだけじゃなかったのが救い」。コールリーダーの岩崎さんはそう振り返った。「先週の勝ちも38分の1なら今週の38分の1なんで。そう思ってやるしかないです。ただやっぱホームで勝たないと」。

一体となって応援したい
 岩崎さんは最初は何となく見に来ていたが、ゴール裏で応援している人を見て手伝おうか、声出して応援した方が楽しいかなと考えだした。23年の天皇杯(川崎戦)の頃からで、ウルトラスボニートに所属したのは去年からだ。「試合は見たくなりますけど、みんなの表情や声を考え、一体となって応援したい」。そう、コールリーダーはサポーターと向き合っている時間が多いのだ。「後ろ向いて、みんなが全力で声出して戦っている姿を見ると自分も頑張らなきゃなと思います。それを先導している重圧も感じますけど、楽しいっす」。
選手のバスを迎える、コールリーダーの岩崎諒太さん(春野陸上競技場前)

選手のバスを迎える、コールリーダーの岩崎諒太さん(春野陸上競技場前)


100%、感情を表現できる
 ゴール裏の応援の魅力とは? 「先週みたいな勝ちも今週みたいな負けも、みんなで全力で喜べる(残念がる)ところですかね。ゴール決めたらみんなでハイタッチしたり、負けたらしゃあないねって。100%、感情を表現できるところ」。

ゴール裏においでよ!
 今年がJ元年、みんなが新参者という気持ちでやっている。声が出なかったり間違ったところを責めたりする場所じゃない。ちょっとでも声を出したり喜んだりしたい人はぜひ来てほしい―。岩崎さんはそう願っている。

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