「地震火災」 福岡の備えは?
- 2024年5月21日
「地震火災」福岡の備えは?
福岡県西方沖地震からことしで19年となりました。地震への備えを考える中で忘れてはならないのが「地震火災」です。ことし1月の能登半島地震でも輪島市中心部で大規模な火災が発生しましたが、古い木造の建物が密集した地域で火事が起きると、地震で倒壊した建物が消火活動の妨げになるなど、延焼の危険性が高まります。福岡の備えはどうなっているか取材しました。
住んでいる人が知らない危険性
福岡市東区の箱崎地区に住んで40年以上になる池田吉光さんには、懸念していることがあるといいます。
箱崎地区は道幅が狭くて昔からある木造の建物が多いので、地震による家屋の倒壊と火災を一番心配しています。
表通りから一歩入ると幅が2メートルに満たない道路があちらこちらにあり、玄関が狭い通りにしか接していない家も少なくありません。地区の一部は福岡市が火災リスクが高い「木造密集地域」に指定していますが、池田さんたち住民には伝えられていないといいます。
私たち住民には密集地域の危険区域といった表現はされていないですね。もうちょっと意識できる形で住民側に伝えてくれたら、防災の心構えになるのかなと思いますけどね。
“モクミツ”なぜ公表しない?
通称「モクミツ」と呼ばれる木造密集地域は、実は全国で統一された指定や公表の基準はありません。総務省消防庁によりますと地域によって住宅や地形の特徴が異なるため統一していないということで、現状では各市町村ごとに定められています。たとえば福岡市では面積1000平方メートル以上、木造住宅が60%以上などを基準にしていて、市内30か所の住宅地を指定しているということです。
ではなぜ公表していないのか、福岡市消防局に聞いてみました。
「木造密集地域は万一火災が発生した場合に消防隊の消火活動を円滑に行うために把握しているものなので、現状では消防局のみでの情報共有となっています。木造密集地域を課題ととらえて解消していくとなると、建て替えやセットバックなどにつながっていく可能性があり、消防局以外の部署の管轄になることから、他部署と連携しながら進めていかなくてはならないと思っています」。
一方北九州市では、「地域防災計画」の中に市内の木造住宅密集地域を〇丁目〇番まで細かく載せ、ホームページでも公開しています。八幡東区に自分たちが住む地域のリスクを把握して減らしていこうと動き出した地区があると聞き、取材しました。
リスクを把握して対策する地域も
複数の木造住宅密集地域がある北九州市八幡東区の枝光地区。ここの自治会では今、あるリストを作っています。
「問題箇所リスト」と名づけられたこちらの書類には「屋根が落ちた」「壊れた扉が隣の家に倒れてくる」などといった課題のポイントが地図に明記されています。老朽化した空き家などを中心に、その数130以上。地域の住民が中心となって地震などの際に消防活動に支障を及ぼす可能性がある場所を歩いて回り、ピックアップしました。これらをもとに、持ち主に連絡をとって対応を求めるなど自分たちで対応したり、行政に連絡したりしているのです。
中心部の商店街近くにある空き家は老朽化し、去年屋根が崩落。地震などでさらに崩れると消火活動の妨げになるおそれがあるほか、漏電して火災が起きる危険性もあります。自治会長の宮地久男さんたちは所有者がわからなかったため行政に連絡し、現在は行政が屋根を撤去する応急処置を行って持ち主を探しているということです。
みずから考えて動くことが対策
宮地さんは、リスクが高い地域の住民みずから考えて動くことが「地震火災」対策として有効だと話しています。
「自分たちで対応できるものと、これはやっぱり行政の力を借りないと厳しいというところもありますから、そういう中で優先度を決めて取り組むようにしています。主体的に考えられる地域であったらいいというところからスタートし、防災にも生かされていると感じています。
【取材後記】
自分たちの住む地域のリスクを知ることは重要で、水害や高潮などのハザードマップは福岡市でも公表されています。福岡市と同様の定義で木造密集地域を指定・公表している東京都では建物の不燃化プロジェクトが進められるなど、部署をまたいで対策をとる動きは各地にあります。福岡市にも必要なところに情報を公開して対策に取り組んでほしいと思います。