5月の仙台市を皮切りに、6月にスペインのマドリッド、7月に米国のニューヨークで開催された「Pokemon GO(以下、ポケモンGO)」の大規模イベント「Pokemon GO Fest 2024」。7月13日~14日は、世界中のどこでもプレイできる「Pokemon GO Fest 2024:グローバル」が開催される。
2024年のGO Festを、Nianticはどのような思いで開催してきたのか。また、ポケモンGOは2024年に8周年を迎えるが、リリース当初からどのようなコンセプトで機能を強化してきたのか。Nianticのスタッフ UXデザイナー 石塚尚之氏と、ライブイベント APAC マーケティングマネージャー 三宅那月氏にお話を聞いた。
―― まず、日本のGO Festで仙台を選んだ理由について教えてください。
三宅氏 主に2つあります。1つが、東北地方でポケモンGOのリアルイベントをまだ開催したことがなかったので、いずれ開催したいという思いがあったこと。もう1つが気候です。昨年(2023年)は真夏の猛暑日に開催しましたが、快適に過ごせるよう、時期を真夏から5月~7月にずらしました。気象統計を見ると、仙台はこの時期だとギリギリ梅雨に掛からないぐらいです。気温は最高でも25度で、だいたい20度前後に推移するので、歩くにはちょうどいいですね。
―― 確かに午前中少し歩いてみましたが、軽く汗ばむ程度で、倒れるほどの暑さではありませんでした。逆に、春や冬に開催することは考えなかったのでしょうか。
三宅氏 夏以外でどの季節が最適かを考えました。最初から5~7月に限定していたわけではなく、気象データの他に、いろいろな事情を鑑みました。開催するのが世界3都市で、アメリカやヨーロッパの気候も見ながら包括的に考えました。
―― 3カ国、どの地域に参加しても快適になるよう配慮したということですね。
三宅氏 そうですね。これが例えば冬にすると、日本は地域を選べば極寒でない環境で歩けますが、フランスや北欧だと氷点下の中で歩いてもらうことになるので、それは快適ではないですよね。時期を決めるときに会場は決まっていないので、なるべく多くの選択肢を持てるところでこの時期となりました。
―― イベントそのものは、各国を通して3カ月など、決まったスパンで開催されるイメージですか。
Niantic広報 もともと、夏にしていたのは理由があります。夏休みに、みんなで楽しんでほしかったということがあります。どの国もたいていお休みに入るので。
―― 会場に七北田公園を選んだ理由も教えてください。
三宅氏 ポケモンGO最大のイベントなので、それなりの人数の参加者がいらっしゃっていただける面積があること、歩きながら景色に変化がある公園という観点で選びました。あとは自然の中を楽しんでいただきたく、この公園のバランスがいいということで選ばせていただきました。
―― 私が以前参加した横浜のSafari Zoneは、会場が3箇所あってとても広かったですが、七北田公園なら公園の中で完結するので、体力的な負担も少なそうです。
三宅氏 公園で完結するというよりは、GO Festのチケットをお持ちの方は、半日公園を歩いていただいた後かその前に、市街地も歩いていただいて、市街地のゲームプレイを楽しめる構成になっています。ただおっしゃる通り、広すぎず狭すぎという公園なので、お年を召した方も、若い方も、歩きごたえはあるけれど、そこまで足腰に負担を掛けるような公園ではないと考えました。
―― 東北地方の中で仙台市を選んだ理由はどこにあったのでしょう。
三宅氏 初夏の時期に開催するということで、新緑が映える都市がいいと思っていました。その中で、仙台市は「ザ・グリーネストシティー(The Greenest City)」を掲げて、世界で発信しようとしている話をうかがいました。仙台市は文字通り、「杜(もり)の都」と言われていますが、木々が市街地にもきれいに配置されていて、緑が美しくてお花もたくさんある。自然を楽しめて、新緑がすてきな街だったので、こちらがいいと決めました。
―― 仙台駅に降りたところ、ポケモンGOの起動画面で描かれた歴代のイラストが展示されていました。公園や市街地だけでなく、駅での企画も力を入れたのでしょうか?
三宅氏 そうですね。駅以外にも、いくつか装飾を施しているのですが、駅に配置しようと思った背景は、仙台市には新幹線でいらっしゃる方が多いからです。そうした方々歓迎するようなムードを玄関口に出したいという考えがありました。
ポケモンGOで、イベントスペースでの展示は実は初の試みでした。今まで、1つのイベントで美術館的なものを設置したものはありませんでした。ポケモンGOは、もうポケモンを捕まえることだけが魅力ではなくて、例えば毎シーズン変わるローリングスクリーンだったり、ゲーム画面だったり、アートにもこだわりを持って制作陣は、情熱を持って毎シーズン取り組んでいます。
その情熱をもう少し違う形でトレーナー様にも楽しんでもらえないかとずっと考えていました。ポケモンGOをローンチしてある程度時間がたち(2024年で8周年)、アートもたまってきているので、どこかでポケモンGOにフォーカスした展示会ができれば、トレーナー様も喜ぶかもしれないですし、普段あまりポケモンやゲームにご興味がない人も、アートとしてご覧になってお楽しみいただけるといいと思い、実施しました。
―― 駅に着いてからワクワク感が得られるのはいいですね。
石塚氏 去年(2023年)の大阪のGO Festでも、入口の駅からいろいろなデコレーションをスタートさせて、「ああ、来たんだ」という反響が大きかったです。仙台まで来てくださった方々に、「今から始まるんだ」というメッセージを伝えたいのが1つです。もう1つが、普段、仙台駅を使っている方に、ポケモンGOはこんな魅力があるんだよという発信がしたい。その両側面をサポートできればという思いがあります。
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