第六話:
あの逃走からしばらく経った。特訓はまだ続いているが、今は少しずつ成果が出てきたから色々試しているところだ。
あれから色々試せるだけ魔力を扱ってみたがどうやら魔力を体外の操作をするには、魔素と呼ばれるものも操作しなければならないみたいだ。
何でもこの魔素は、魔法を起こすのにも利用される力で空気中に漂っているようなものらしい。
この魔素を使って魔法は、発動する。おそらくだが触媒のようなものなのだろう。
そして、この魔素だが俺の感覚だと魔力の操作によってこの魔素も反応はするがどうやら元に戻ろうとする力も強いのだ。
魔石成長を感知能力に特化させてみてようやく魔素の動きを何となくだが感知できるようになって、魔力を球体にするのを試したが上手くいく時は、魔素が魔力に馴染んで変換?同化?していたが失敗した時は魔素が元に戻って、拡散していった。
ちなみに『魔力暴発』は、この魔力との同化が急激に解かれた事で暴走して起こった現象のようだ。…というか一回やらかした。
その時は、すぐに『バリア』を二重に貼って対応したがそれでも瀕死の重症だった。
…原因は魔力を大量に使って無理に魔素の同化をしようとしたからで、制御しきれずに同化?が急激に解かれて暴発したからだ。
因みにこの間抜けな実験の結果、命懸けで魔力による細胞活性化による再生をやって、なんとか成功させた。
だが、この再生だがかなり消耗が激しい。体力は大した事ないが問題は魔力だ。俺の膨大な魔力が目減りするくらいの魔力を使う。
おそらくだが種族的なものが影響しているのだろう。かなり強引な方法なのも影響しているのかもしれない。
…何度もやったら体が再生に適応するのかな?
いや、その為に何度も自傷するのもあれだしそもそもそんな時間があるならダメージを受けないように戦う。
そもそも、これはあくまで緊急の回復手段だ。もしも戦闘中に四肢を欠損した時に使う緊急手段だ。
……名前は『緊急回復』でいいな。よく考えればそんなに能力名は凝るものでも無い。
ドーム型はバリア。板型はシールドで統一しとこう。
それから他にも魔力を体に巡らせて強化する『身体強化』と魔力で体を覆う事で防御とかを上げる『魔力防御』の二つだ。
この二つは本当に扱いやすくて、手軽な強化手段だし、魔力消費も限界まで強化しないならそこまで多くない。
…だが最初は本当に大変だった。何せ維持するのに集中しないといけないから動きは遅くなるし、併用は難しいし、一撃もらったり集中が切れればすぐに強化も切れるし。
何とか練習を続けて、動きながら維持できるようになったがそれでも併用は厳しいから、交互に切り替える訓練をしている。
他にも魔力で爪をコーティングして切れ味も強化したり、足とかに一瞬強化をして加速するなんて方法も見つけたが…まだ、併用や実践に使えるほどじゃない。
…まぁ、要練習だ。特に併用できるようになりたい。似た技術の方法ならやりようはあるが、それ以外は併用も難しい。
それと魔石集めは順調だ。できる限りやりやすい相手を見つけて、訓練したりしながら魔石を集めている。
それと冒険者から情報も集めている。独り言や仲間同士の会話ばかりだがそれでも獲れる情報は大きい。
取り敢えず分かっていることは、今は原作の十年以上前だということだ。
というか。ダンジョンで話す内容のほとんどが、情報共有とダンジョンから出た後の話と、下らない下世話ばかりだ。
それでも中には他の冒険者についての情報があったのだが。まぁ、出るは出るはゼウスの女関係、ヘラの暴君具合、ファミリアの問題行動に妬み嫉妬。
他にもかつてオラリアにいた強豪ファミリアの情報もあったが…。最も多いのはその二つだ。
…それとどうやら俺の情報が出回っているらしい。幸いな事に賞金はないから、そこまで必死じゃないがそれでも俺は「秘獣」と呼ばれる希少種の変異種だ。
もし俺の宝石を手に入れれば、元からとんでもない価値のあるのだから。それこそ億万長者になれるであろう金が手に入るだろう。
まぁ、狙ってくるのは小物が多いから何とか隠れられている。
魔素を認識する為に感知能力を上げたのが功を奏した。魔導師ならほぼ確実に魔法を使うか、感知もしやすいし、そうでなくても音なんかで場所がわかる。
さて、最近だとこのあたりのモンスターは張り合いが無くなってきた。
まだ、火力が足りなくて倒すのに時間がかかりすぎるクリスタルタートルやそもそも場所的な不利なアクアサーペントなんかの群れを除けば大体勝てる。
……流石に大軍で来られたら逃げるしかないが。
さて、そろそろ休憩は終わりだ。そろそろ特訓を再開しよう。次の修行はバリアとシールドの併用使用訓練だ。