静寂に連れられた白兎はオラリオへ行く。


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作:如月悠
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胡散臭い神


はいども!二話目でございます!

後、1話目で言い忘れていたというか、勘違いさせてそうなんですよね。ベルの魔法【トゥエルノ・ユスティーツ】なんですが、実際には付与魔法であって付与魔法じゃなくて、変幻自在なんですよね。意味がわからないと思いますが、今後その説明が出てくると思うのでその時にまた、解説します!後一応アイズの【エアリアル】より魔法としても威力も上です。

ま、置いておいてごゆっくり〜。


迷宮都市(オラリオ)の朝は早い。朝早くダンジョンに潜るものや、仕事を全うする者がいたりするからだ。そしてここ、【アストレア・ファミリア】も例外じゃなかった。

 

「ひっぐ…えぐっ…。お義母さん……」

 

「泣くなベル。…すまなかった、私はただ、少し散歩をしていただけなんだ。…すまない。」

 

なくベルにそれをあやすアルフィア、何故ベルが泣いているかと言うとベルは今日、悪夢を見てしまい。それでうなされ起きたらアルフィアが居ないことに気づき号泣して、それで帰ってきたアルフィアに抱きついたのだ。

 

「どこにも…行かない?…ひっぐ……」

 

「嗚呼、私はどこにも行かない。安心しろベル。私はお前の傍にいる。」

 

そういうとベルは涙を拭いて、寝間着から着替えてアルフィアと一緒に下に行く。

 

「あら、おはよう。アルフィアにベル。」

 

下に着くとアストレアが二人に気づきおはようという。そして、周りを見ると大体のメンバーがいることに気付く。少し遅かったか?と思うアルフィアであった。

 

「おはようございます!アストレア様!」

 

「おはよう。アストレア」

 

「ええ、ご飯は出来ているから座って食べましょう?」

 

そう言われ、アルフィアとベルは椅子に座る。

 

「おはようベル!」

 

「おはようございます、ベル。」

 

「アリーゼさんにリューさんおはようございます!」

 

皆がベルとアルフィアに挨拶をすると、ほとんどのメンバーが座ったが1人来ていないことに気づいた。

 

「あれ、輝夜さんは?」

 

「まだ寝てるのでしょう。輝夜はいつも遅いですからね」

 

「ふーん、そうなんだ。」

 

ベルの疑問にリューが答える。そしてその時ライラがすごく悪い顔をした。

 

「なぁ、兎ぃ?」

 

「な、なに?ライラさん」

 

「いやよぉ?輝夜を起こしに行ってくんねぇか?」

 

「なんで僕?」

 

ライラが話しかけたと思ったらいきなり、輝夜を起こしにいけと言うのだからベルは困惑。

 

「ベル驚くわね!」

 

「また、悪いことを考えているのですか?」

 

「またって何よ!?」

 

アリーゼとリューが小声でそんな会話をしているがベルは聞こえていない。

 

「いいじゃねぇか、お前この後暇だろ。」

 

「うぐっ…否定できない。」

 

「さっさと行ってこい。」

 

「はーい。」

 

そういうとベルはトコトコと歩いて輝夜の部屋に起こしに行く。そして、寝起き輝夜を知っている面々はライラに引いた目を向けた。

 

「輝夜さーん!ご飯ですよ〜?」

 

ライラの策略で輝夜の部屋まで来たベルは部屋をノックした。けれど輝夜から返事はなかった。

 

「うーん、まだ寝てるのかなぁ…。」

 

何回ノックをしても返事がないので、失礼だが入る事にした。怒られたら謝るつもりで、

 

「失礼しまーす。輝夜…さん……?」

 

輝夜の部屋に入ったベルはお酒の匂いがしてアルフィアの元に帰りたくなったが、何とか抑えて部屋に入り輝夜がベットに寝ていたので近づいた。

 

「……は?…待て待て待ておかしい。なんで!?」

 

ベットに少し近づき、だんだんと見えてなかったものが見えるようになり、ライラが悪どい顔をしていた理由が分かったような気がした。なぜなら、

 

「ん……ぁ?……ベルか…。てことは朝か、」

 

「…………/////」

 

「ん?何故顔が赤くなってる。」

 

「……気づかないんですか?……」

 

輝夜がベルに気づき起き上がり、何故かベルが顔が赤いことに気づき聞くと、ベルから(≖_≖)ジトーって見られている。そしてようやく気づく。

 

「あぁ、ベル。私はいつも寝る時は裸か下着だ。」

 

「なんでッ!!!?」

 

そう、ベルが赤面していた理由、輝夜が裸で寝ていたからだ。今までベルはアルフィアとばかりで輝夜とあまり一緒にいることが少ない。だから知らなかったのだ。

 

「五月蝿いぞ。ベル」

 

「いやいや、輝夜さんのせいでしょ!?」

 

あろうことかこの姉、見せつけるように佇んでいるのだ。確かに綺麗だけど!と心で思っているベル。それに気づいたのか輝夜はいつもの悪戯をする時の目になる。

 

「おやおや〜?兎様はもしかして、見とれているのですかぁ?可愛いですねぇ?」

 

「なぁ!?っ……////」

 

ベルは輝夜に可愛いと言われ、輝夜が裸なことも重なって耳まで真っ赤になる。

 

「クスクス、嗚呼、ご飯でしたね。今着替えるので先に行っといてくださいな。」

 

「は、はい……。」

 

いじり倒され、ヘロヘロになりながら下へ戻っていく。ベル、それをみてまた不敵に笑っている輝夜。

 

「はぁ〜。ほんとに……輝夜さんはー!」

 

少しの怒りを口にしながら廊下を歩く。そしてみんなの所に着くと、何かに気づいた。

 

「あれ、お義母さんは?」

 

それにノインさんがこっちに来て説明してくれた。

 

「えっと……バベルに用があるって…」

 

「えっ……。」

 

それに少し寂しくなっていると今度はアリーゼがこっちに来て言った。

 

「アルフィア、今日一日居ないらしいわ。」

 

「っ……え…。」

 

更なる事実にベルは立ち尽くすしか無かった。今日は色んなところに行こうと思っていたのにと、

 

「だからベル!今日は私達と一緒にいましょ!楽しませるわ!」

 

「アリーゼ…今日は巡回(パトロール)があるはずです。それはどうするのですか?」

 

「ベルだって【アストレア・ファミリア】なんだから、いつかは参加しなきゃ行けないのよ?」

 

「確かにそうですが……。」

 

「だから問題ないのよ!ベルはどうしたいの?アルフィアを待ってる?私達と行く?」

 

「……行く。」

 

アリーゼに抱きつきそういった。少し泣きながら、その様子を見て皆が可愛いとか言っているが無視する。ベル

 

「はいはい、ベル。早くご飯食べちゃって?」

 

「はい……アストレア様」

 

アストレアに言われもう一度椅子に座ってさっき食べれなかったご飯を食べ始める。

 

「むぐむぐ……おいひぃ…」

 

「そりゃー良かったわ。沢山食えよー兎」

 

「……そういえばライラさん、わかってて輝夜さんの部屋に行かせた?」

 

「あー?知らねぇーなぁ?」

 

「ムー!」

 

「睨むなよ…悪かったてば。じゃあこいつやるよ。昨日安かったから買ったやつだ。」

 

睨むベルに居心地が悪くなったのかベルに飴ちゃんを渡すライラ。ちなみに味はブルーハワイ、おいしいよね。

 

「ありがとう、ライラさん。」

 

ちゃんと貰うベル。

 

「むぐむぐ……いつも優しかったら良かったのに…ライラさんは…」

 

「んだよ。いつも優しいだろうが!」

 

「何処が?僕相手にポーカーでボコボコにしてきた癖に!このアホ!」

 

「だと!?もう手加減しねーぞ!?この兎!」

 

「僕だってもう負けないから!」

 

「言うじゃねーか!また泣かしてやる!」

 

「あーはいはい、もういいから。」

 

喧嘩するベルとライラの間に割って入り喧嘩を止めるアリーゼ。ベルに早く食べるように促す。

 

「むぐむぐ……ご馳走様でした。」

 

「はい、じゃああっち持っててね。ベル」

 

「はーい、アストレア様。」

 

食べ終わり、部屋に戻って護身用の短剣を持って二人の元に行き巡回(パトロール)にいく三人。

 

× × ×

 

 

「さあ、有言実行よ!巡回(パトロール)だわ!悪さをする人間を取り締まるんだから!」

 

「昨日の今日だ、同じ場所を襲撃などないと思いますが……私達は工業区から順に回って行きましょう。」

 

「はい、リューさん!」

 

三人は本拠を出て巡回(パトロール)を行っていた。

 

「……街に活気がない。ここが『世界の中心』と謳われるオラリオだと、誰が信じるだろうか。」

 

街を見てリューがそう呟いた。それにベルも俯く

 

「道行く人はみんな暗い顔、開いてるお店も万引き防止の鉄格子……治安の悪さが人々の心を荒らして、生活にも影響を与えてる。」

 

「ええ。闇派閥(イヴィルス)が何かしでかさないかと、誰もが常に怯えている。人々の笑顔を守れてないことが歯がゆい……」

 

街を見渡したリューが言った。

 

「これでも随分とマシになった方っていうのが、またね。それこそリオンと最初に出会った頃の方が酷かったわ。」

 

「そうなんですか……?」

 

「(あれももう、3年前になるか……私はあの時アリーゼに助けられ、アストレア様の眷族になった。)」

 

思い伏せるリューをなんのその、アリーゼはリューの黒歴史(出会い)をベルに言う。

 

「そうよ!リオンはリオンですごい偏屈だったしね!仲間外れにされた野良猫みたいな目をしてて、本当に面倒だったわ!」

 

「ええええ〜!リューさんにもそういう時があったんだ。」

 

「ア、アリーゼ!あの時の私は里を出たばかりで、情緒不安定になってて……へ、偏屈だったというわけでは!」

 

出会いを言われリューは必死に弁解するがアリーゼはそれでも止まらず言い続ける。

 

「私、あの時のことは今でも覚えてるわ!リオンったら人攫い(ジュラ)から助けてあげた私に、『自己満足のために私を助けたのなら、見返りなど要らないはずだ。キリッ』とかいうんですもの!」

 

「アリーゼぇぇぇ……!」

 

「ふぇ〜、リューさん……」

 

ドヤ顔でアリーゼはリューの過去を言っている。その暴露にベルも困惑している。

 

「フフーン!私はリオンやベルの弱味をいっぱい握っているんだから!」

 

「なんで僕も!?」

 

「……でもね、リオン。あんたは少しだけ勘違いをしているわ。」

 

「えっ?」

 

ベルのツッコミも無視してアリーゼは思っていたことをリューに伝える。その時

 

「あ!【アストレア・ファミリア】だぁ〜!」

 

「そうよ、正義の味方【アストレア・ファミリア】よ!そういう貴方はこの前の事件で逃げ遅れた女の子、リアちゃんね!」

 

「うん!おねえちゃんが助けてくれた、リアだよ!」

 

そう、笑顔のままクマのぬいぐるみをもった小さな女の子がアリーゼと話している。その時母親らしき人が来て言った。

 

「嗚呼、冒険者様、あの時は本当にありがとうございました!なんとお礼を言ったらいいか……」

 

「私達は『正義』に従っているだけよ。だから気にしないで!いつだって、私達はみんなを助けるから!」

 

「うん!いつも助けてくれて、ありがとう!またね!おねえちゃんたち!」

 

リアちゃんが行ってしまって、お母さんもアリーゼ達に一礼して去ってしまった。

 

「……今のは。」

 

「リオン。守れている笑顔はあるわ。たとえ全体から見れば僅かだったとしても、確かにそこにある。」

 

「アリーゼさん……」

 

「みんなが笑顔になってないからって、私達が守った人を忘れちゃうのはダメ。自分を卑下するのは、ダメよ。」

 

優しく、そう行ってくるアリーゼ、確かにその通りだ。心の中でそうつぶやくリュー。

 

「『正義』の成果は存在する。あとはこれから増やしていくだけ。そうでしょう?」

 

「……はい、アリーゼ。貴方の言う通りだ。歯がゆく思う暇なんてなかった。」

 

手を胸のところに当ててアリーゼを見る。

 

「オラリオに平和をもたらすために、今は少しでも──」

 

その時

 

「あ〜〜〜〜〜〜〜れ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

 

「「「!?」」」

 

さあ、これから頑張るぞ。という時、タイミングが悪いことに情けない悲鳴が響く。

 

「ははっ!いただきだぁ!」

 

「俺の全財産四四四ヴァリスがぁぁあああ!だれか取り返してぇぇぇぇぇぇんっっ!!」

 

そちらを見ると黒い髪に灰色のメッシュが入った神様がスリにあっているようだった。

 

「あれって男神様?神からサイフをブンどるなんて世も末ね!というか所持金が微妙にショボイわ!神なのに!!」

 

「言っている場合じゃないですよ!」

 

「行きます、アリーゼ!」

 

三人はサイフを取り返すべく、スリを追いつめに追いかけていく。

 

「逃げられないわよ!観念してお縄につきなさい!」

 

「ち、ちくしょう!よりにもよって【アストレア・ファミリア】なんて……!くそぉ!」

 

アリーゼ達から逃げようとして曲がり角を曲がろうと走っていたら、どこからともなく現れた人影によってスリはぶっ飛ばされた。

 

「ぐえっ!!」

 

「ダメだよ、悪いことしちゃ。お金は働いて、自分の手でもらわないと。」

 

そこには、短めの薄鈍色の髪に瞳のリュー達と同じくらいの身長をした、美少女がたっていた。

 

「アーディ!」

 

「そうだよ!品行方正で人懐こくてシャクティお姉ちゃんの妹でリオン達と同じLv3のアーディ・ヴァルマだよ!じゃじゃーん!」

 

「いったい誰に自己紹介しているのですか、貴方は……」

 

リューが彼女の名を呼ぶと、誰得かも分からない自己紹介を始めるアーディ、どうやら知り合いのようだ。

 

「や、リオン。今日も綺麗で可愛いね。相変わらずいい匂いするし……抱きついてもいーい?」

 

「話を聞いてください。」

 

「フフーン!私は昨日しっかりリオンを抱き枕にして寝たわ!リオンったら照れちゃって可愛かったんだから!」

 

「私の周りには人の話を聞かない者が多すぎる!!」

 

アーディがリューに対し抱きつくと、何故かアリーゼまで便乗し話を無視して何故かドヤる。するとアーディがアリーゼの後ろで怯えているベルに気づいたのかリューから離れてベルに近づいた。

 

「……ねぇ君。」

 

「……」ビクッ

 

知らない彼女に怯えているのか、いきなりのことで驚いているのかとにかく怖がっていた。

 

「……………可愛いね!」

 

「へ?」

 

ベルが後ずさりするも、それよりも早くアーディがベルに抱きつく。いきなり抱きつかれたことと、あまり知らない者のためベルは硬直(フリーズ)していた。

 

「ちょっ!アーディ!?」

 

リューが突然抱きついたアーディの名を呼ぶが、アーディはどこ吹く風。

 

「君!すっごく可愛いね!とってもいい匂いだし!いいなぁ!抱きついてもいい!?君の名前なんて言うの!?」

 

「!?ぁ……////」

 

やっと、意識を取り戻したがまだ、アーディに抱きつかれていることにより上手く言葉が紡むげなかったベル。

 

「はいはい、アーディ。ベルに関しては後で教えるわ!今はこっちでしょ?」

 

「あ!ごめーん!そうだね!君もごめんね?」

 

「……ん。」

 

さっきのが怖かったのかリューの後ろに隠れるベル。それにアーディはあはは嫌われちゃったかな?と言っている。

 

「冗談は置いていて!さ、おじさん。盗んだ物は返してね。」

 

「くううぅ……」

 

男は項垂れる。そしてアリーゼ達に言う。

 

「……あー、くそっ!もう詰んだ、詰んだ俺の人生!さっさと牢屋にぶち込みやがれ!ちくしょう!」

 

「すごい、清々しいくらいに開き直ったわ!」

 

全てを諦め、開き直った男にアリーゼはそんな声を上げる。

 

「お前らみてえな強い連中にはわかんねーだろうな!こんな惨めな真似して食い扶持稼ぐ浮浪者(おれたち)のことなんかよぉ!」

 

男は逆ギレをする。

 

「仕事場も奪われれば店も開けねぇ!いつもいつも事件事件で、どこもかしこも余裕がねぇ!!」

 

それは闇派閥(イヴィルス)の影響もあるのだろう。

 

「職に溢れたヤツなんて、ごまんといるんだ!それもこれも、お前らがさっさと悪党どもを追い出さねぇからだ!」

 

それにはアリーゼ達も顔を俯かせる。

 

「(この男の文句は言いがかりだが……これもオラリオの現実。治安の悪化が、白かった者も黒に染めてしまう)」

 

「そうさ、俺みたいなやつがいるのは、全部お前達のせいだ!俺は、被害者だ!」

 

「それが、あなたの言い分なんですか?」

 

「えっ……」

 

「べ、ベル!?」

 

さっきからリューの後ろで黙って聞いていたベルが男に向かってそう行った。

 

「悪いことに変わりは無いし…貴方が誰かから奪われたなら、同じ事をしちゃダメじゃないかな。」

 

そう、ベルは続ける。

 

「僕も奪われたら悲しい。同じ思いをさせちゃったら罪悪感でいっぱいになっちゃう。それは貴方も同じでしょ?」

 

「はぁ?」

 

「だって、貴方優しいじゃん。でも、そんな善人も悪になっちゃうのは僕は嫌だ。」

 

「何言ってんだ……お前。」

 

「だからさ、誓って。」

 

怪訝な顔をする男に向かってベルは言葉を続ける。

 

「もう悪さしないって、そしたら今回見逃してあげるよ。それは約束する。」

 

「なっ……!ベル、それは駄目だ!」

 

「何でですか?」

 

ベルの提案にリューは反対する。

 

「然るべき報いを受けさせなければ、周囲に示しがつかない!その時々で裁き方を変えては秩序が乱れます!」

 

「えーと、僕はこの人は情状酌量の余地あると思ったんですけど…この人素直だし、ひったくりは悪いことですけど。」

 

そう行って悩む様子を見せる。

 

「だって……被害は無いじゃないですか。こんなたった一つの気の迷いで一人の人生が崩れるなんて…あってはならないと、僕は思いました。」

 

そう行って悩む様子を見せる。

 

「それでも、罪を犯したことには変わりません!ベル!貴方は私達と同じ正義の味方(アストレア・ファミリア)では無いのですか!」

 

「私もベル君の言うことに賛成かな。」

 

「アーディ!?ですか!」

 

ベルの言ったことにアーディが賛成の意見を言う。リューは許せないようだ。

 

「確か……『飴と鞭』って言う言葉あったよね。」

 

「……?それがどうしたのですか?」

 

他の憲兵(おねえちゃん達)が『鞭』なら私達くらい『飴』になってあげたいな。……『鞭』ばっかりじゃみんな疲れちゃうよ。」

 

「……!それは…」

 

アーディに完全に言い負かされているリュー、心のどこかでたしかにと思っているのか。

 

「……うん、決めた。私もベルとアーディの言うことに賛成するわ!」

 

「アリーゼ!?貴方まで!」

 

「ただし、二度目はないわよ?それだけは、肝に銘じておいてね。」

 

アリーゼは抗議するリューをよそ目に男に言う。そして注意する。二度と同じことしないように。

 

「い、いいのかよ……?」

 

「うん、私が後でいっぱい怒られるからいいよ。……あとおじさん、これ。」

 

アーディが出したのは暖かい『じゃが丸くん』だった。

 

「お金は渡せないけど、私のじゃが丸くん、あげる。あ、まだ一口も食べてないから安心してね?」

 

優しい声色でそういうアーディ。

 

「……慈善家気取りかよ……」

 

男はそう言う。そして次に、

 

「ふざけんな、バーカ!!」

 

と共にじゃが丸くんをしっかり貰ってどこかに走って言ってしまった。

 

「と言いつつ、しっかりじゃが丸くん持っていったわね!これであの人は五臓六腑に塩と油が染み込んで、改心するに違いないわ!」

 

「その理屈は分かりませんが…改心してくれそうでよかったですね。」

 

「しかし、やはり、これでは秩序が…」

 

リューがそういう、それを見ていたアーディが真剣な声色で告げる。

 

「……リオン。私はさ、君が言ってることは『強い人』だから言える事だと思う。」

 

さっきおじさんの言っていることはあながち間違ってはいなかった。

 

「おじさんがさっき言ってた事も間違いじゃない。私達が『正義』を言えるのは、私達が力を持ってるから。」

 

「────!!」

 

「だからじゃないけど……リオン、許すことは『正義』にならないかな?」

 

「……わ、わたしは……」

 

アーディの問いにリューは言葉が詰まる。

 

「いやぁ〜、お見事お見事!」

 

その時、先程すりにあった被害者の神様がアリーゼ達に話しかけてきた。

 

「貴方は……先程の神……?」

 

「すごいねぇ、正義の冒険者は。」

 

覇気もまるで感じない。けれど、この声、この顔、ベルには何故か既視感があった。

 

「いやぁ、急に後ろからタックルされちゃってさぁ〜。びっくりしちゃったよ。」

 

「大丈夫ですか、神様?お怪我は?」

 

「平気だよ、可愛い子。財布を取り戻してくれて、ありがとね。」

 

アーディが男神様に話しかける。

 

「俺の名前はエレン。君達は?そっちの子達は【アストレア・ファミリア】って聞こえたけど……」

 

「私は【ガネーシャ・ファミリア】のアーディ・ヴァルマです。よろしくお願いします。神様」

 

「一応私達もしておくわよ!私はアリーゼ・ローヴェル!【アストレア・ファミリア】の団長よ!」

 

「……リオンと名乗らせてもらってます。アリーゼと同じく、【アストレア・ファミリア】です。」

 

三人が挨拶をして、リューの後ろにいるベルを前に出す。

 

「……えっと、ベル・クラネル、【アストレア・ファミリア】です。」

 

「【アストレア・ファミリア】……正義の女神の眷族……」

 

考え込むようにそういった神エレン

 

「……なるほど、な〜るほど。まさに『正義の使徒』だったわけだ。いいね、実にいい、この出会いは。」

 

「……?何を言っているのですか?」

 

「なに、君達に助けてもらって良かったていう話さ。繰り返すけど、ああ、見事だ。本当にお見事。」

 

どこか、モヤモヤするような喋り方をする神エレンに少しの嫌悪感を抱くリュー

 

「何がお見事って、みんなが『正義』を探してるってこと。単なる勧善懲悪じゃない落としどころ……感動しちゃったよ。」

 

4人を見る神エレン。

 

「特に白髪の君……面白いなぁ。」

 

「……僕?」

 

「人に優しく、慈愛と、慈悲に満ちている。けれど確固たる『正義』の答えはなく。純粋だ。ただ、誰よりも優しくありたいだけなのに。」

 

神エレンはベルを見ながらそういった。

 

「こんな時代には珍しい眷族(子ども)だ。だからこそ君がどう考え、どう染まるのか、どんな答えを出すのか……ああ、興味がありまくりだよ。」

 

「(……悪意も敵意もない。見下してもいない。けど、どうにか癪に障る。それでいて、既視感がある。)」

 

神エレンと出会った時から何故か感じていた、既視感。そして、不愉快に感じるこの感覚。

 

「なんだかその言い方、いやらしいわ!ベル、離れて!きっとこの神様も『フヒヒ』とか笑い出す変態よ!」

 

「あ、やめて、本気で傷つくからやめて!俺そーいうモブ神とは違うからぁん!」

 

「神様はみんなそう言いますよね!」

 

神エレンの言い方に何か感じたのか、ベルを庇うように神エレンに言うアリーゼ。そして笑顔で腹を抉るパンチ。

 

「ぐふぅ!イイ笑顔で腹を抉るコークスクリュー・ブロー!!ボーイッシュ元気っ子だと思ってたけど、せては天然だな!」

 

その時、鐘がなった。

 

「っと、もうこんな時間か。もっと君達と騒ぎたかったけど、そろそろ行かせてもらうかな。用事もあるしね。」

 

「……お一人で大丈夫ですか?お付きの方もいらっしゃらないようですし、せめて送迎を……」

 

「そこまでしてもらっちゃ悪いよ。じゃあ──またね。」

 

それだけ言うと神エレンはアリーゼ達の前から歩いてどこかに行った。

 

「神々は一柱で行動するな、ってギルドが言っているのに。ま、自由神ばっかりだから、他の神様もほっつき歩いてるけど。」

 

「神々など、えてしてそのような存在だとわかっていますが……捉えどころのない神だった。」

 

神エレンの印象を言うリュー。

 

「そうだねぇ、何だかヘルメス様に似てたかも。……あ、そろそろ私も行かなきゃ!またねリオン!アリーゼ!ベル君も!」

 

そう言ってアーディはアリーゼ達の前から走って行ってしまった。

 

「相変わらず、忙しいわね。」

 

「ええ、それも【ガネーシャ・ファミリア】ともなればそれだけ仕事は多くなる、という事ですね。」

 

「大変そうですね、みなさん。」

 

そう言ってベルはアーディの行った方を向いてそういう。そしてアリーゼが言う。

 

「さあ、巡回の続きよ!アーディ達と一緒に、必ず都市を平和に──」

 

「アリーゼ。」

 

「あら、ライラ?そっちの巡回はもう終わったの?」

 

アリーゼ達が動き出そうとした時ライラがどこからともなく現れた。

 

「ああ、終わった。終わって、『別件』だ。『きな臭え動きがあるから網を張れ』だとよ。」

 

「……!指示は誰から?」

 

「決まってんだろ──アタシ、愛しの『勇者』からだ。」

 

「ベル……先に帰っていてくれますか?」

 

「えっ。」

 

誰からかわかったのかリューはベルにそう告げた。危ないとわかったのか、そういった。

 

「ごめんね、ベル。もうアルフィアは帰ってると思うから、後で目いっぱい甘やかしてあげるわ!」

 

「……分かった。」

 

ベルはアリーゼ達にそう言われて本拠に帰ることにした。

 

「アルフィアはもう帰っていますかね。」

 

「帰ってなきゃベルが泣くわ!」

 

「んな事いいからいくぞ。」

 

 

× × ×

【星屑の庭】にて

 

 

「ただいま戻りました……。」

 

「おかえりなさい、ベル。」

 

「戻ったか。」

 

アリーゼさん達に言われて僕は本拠まで帰ってきた。するとお義母さんとアストレア様がいた。

 

「お義母さん……なんで、バベルにいったの?…寂しかったんだよ。」

 

「ベル……すまない。忘れていたことがあってな、今持ってくるから待ってろ。」

 

そういうとお義母さんは何かを取りに部屋に戻って行った。そして戻ってきた。

 

「遅くなったが、7歳の誕生日プレゼントだ。おめでとう、ベル。」

 

「これは……槍?」

 

お義母さんから渡されたのは、碧くそして透明に輝く綺麗槍、そして柄には名前が彫ってある。

 

「それは『蒼星(そうせい)』だ。お前の身長くらいだから扱い易いとは思うが。」

 

槍の説明をしてくれるアルフィア。

 

「ありがとう!お義母さん!」

 

「ああ、こちらこそ生まれてきてくれてありがとうな。ベル」

 

二人会話を微笑んで見ているアストレアが言った。

 

「ベルは冒険者になるのかしら?」

 

「うーん、まだ早いかなって思ってます!」

 

「ああ、最低でも14か10はいって欲しい。体もまだ未熟だからな。冒険者をやるにしてもそれは言って欲しい。」

 

それを聞いてアストレアは少し安心した顔をする。

 

「良かったわ。ベルにすぐ訓練するとか言い出しそうで怖かったのよ。」

 

「さすがにそんな事しない。」

 

「そう、考えがあるならいいと思うわ。頑張ってね、ベル。」

 

そう言ってアストレアはベルの頭を撫でる。それにベルは嬉しそうにした。

 

「はい!頑張ります!」




今回はここまでです!

次回に乞うご期待です!多分?
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