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阪神・才木浩人 最高のフォークボールで大谷翔平に雪辱を

3月16日、阪神は「世界一」のチームに挑みます。大リーグでワールドシリーズを制したドジャース、そして大谷翔平選手。その試合、先発に指名されたのが才木浩人投手です。

「フォークボールで三振を取りたい」

闘志を燃やす背景には、2年前に味わった悔しさがありました。

(大阪放送局 阪神担当 山内司)

“1番になりたい”思いが原動力


(写真)去年の「プレミア12」でベネズエラ戦に先発

昨シーズン、阪神の投手陣の「柱」となったのは間違いなく才木投手でした。勝利数はチームトップ、リーグでも2位の「13」を積み上げ、防御率は1点台。去年11月に行われた国際大会「プレミア12」でも好投し、日本代表デビューを果たしました。しかし、飛躍を遂げたシーズンにも本人は満足していませんでした。

(才木投手) 「シンプルに1番になりたい。そこに向けて、どれだけパフォーマンスを上げていけるかだと思っている。去年はタイトルを1つも取れていないので、今シーズンは取れるものはすべて狙いたい。圧倒的な1位が欲しい」

片ひざをついて・・衝撃のホームラン


(写真)WBC強化試合の阪神戦  大谷選手のホームラン(2023年)

「トップ」に強くこだわる才木投手には、忘れられない悔しい記憶があります。大谷翔平選手との対戦です。

2年前、WBC=ワールドベースボールクラシックを控えた日本代表と、阪神の強化試合でした。才木投手は阪神の先発として、日本代表の3番だった大谷選手を打席に迎えます。投げ込んだのはそれまで公式戦で一度もホームランを打たれたことがなかったフォークボール。

低めに投げ込んだ勝負球を、大谷選手は片ひざが地面についた状態でバックスクリーンに運んだのです。

「マジで悔しい、やばい」

登板直後、才木投手はロッカールームで身をよじるようにして悔しがりました。

(才木投手) 「めちゃくちゃいいところに落ちたフォークボールを、初見で、あんな簡単に運ばれたのが本当に悔しい。でも、さらなるレベルアップを目指すきっかけになったし、本当にいい経験だった。もう一度対戦できる機会があるなら、その時はリベンジしたい」

めぐってきたリベンジの機会


「大谷選手だからしかたない」

周囲からはそんな声も聞かれる中で、才木投手は「しかたないというのは自分が完全に格下だと認めていることになるし、一生超えられない」と悔しさに向き合い続けました。

そして、成長を遂げた才木投手に、2年越しとなるリベンジのチャンスがめぐってきます。藤川監督から、3月16日に行われるドジャースとの試合で、先発に指名されたのです。去年、ワールドチャンピオンとなったチーム。その中心にいる大谷選手は2年連続でホームラン王、そしてMVP=最優秀選手に輝いています。最高のチーム、そして最高のバッターに再び挑むことになりました。

フォークボールを“理想の軌道”に


リベンジのカギは、大谷選手に打たれたフォークボールです。実は、得意とする決め球ではあるものの、昨シーズンはバッターに見極められる場面が増えてきていると感じていました。

(才木投手) 「空振りも取れていないし、三振もそこまで取れなかった。決めたい時に決まらない、バットに当てられるシーンが目立った」

その理由を、才木投手はボールの「軌道」にあると話します。

(才木投手) 「回転が変な感じにかかって、スライダー気味に落ちていくボールが多かった。きれいにまっすぐ落ちないので、バッターからしても分かりやすい。理想は、リリースしてからバッターに向かっていくまではストレートと同じ軌道で、バッターの手元でストンと落ちるフォークボール」

求めるのは、余分な横回転をかけず、まっすぐに落ちるフォークボール。キャンプのブルペンでは1球1球、回転の方向を機械を使って確認していました。

フォークボールは2本の指で挟むように握りますが、どちらかの指に力が偏っては軌道がぶれてしまうため、繊細な感覚が必要です。軌道がまっすぐになれば、おのずと落ちる幅も大きくなり、より空振りを取れる確率も高まります。“理想のフォークボール”を求めて、感覚を研ぎ澄ませ、投げ込みを続けました。

最高のバッターに最高のボールを


2月23日に行われた中日とのオープン戦、才木投手はことし初めての実戦に臨みました。

相手の主軸、細川成也選手に投げ込んだフォークボールは、まさしくストレートと同じ軌道から、バッターの手元で鋭く落ちました。途中まではストレートだと思わせて空振りを取る、狙いどおりの投球。一方で、別のバッターにはフォークボールに当てられたり、見逃されたりする場面もあり、才木投手自身、「もっと精度を上げる必要がある」と話していました。

(才木投手) 「すごく楽しみにしているので、自分が出せる力をすべて出して、思い切って勝負していきたい。最後の決め球はフォークボールじゃないですか。そこでしっかり決めきることができるか、精度が大事になってくると思う。三振を取ってリベンジしたい」

「1番じゃないと意味がない」

そう言い続け、進化を続けてきた才木投手。そしてあの対戦から成長したのは、大谷選手もまた同じです。「最高」のバッターを相手に、「最高」のフォークボールを投げ込めるのか。常にトップだけを見据える、2人の勝負を楽しみに待ちたいと思います。