これは偶然ですが5月4日の今日だけ小説『とある魔術の禁書目録』がアプリで無料で読めるのだとか。
基本的には原作沿いで書いているので、この小説の内容と照らし合わせてみると面白いかも?
「ここまででいい。本来ならお前の力も借りたいが、無意識に練っているお前の魔力から迎撃術式が発動しないとも限らない。今回は不測の事態に備えて待機しててくれ」
そう言い残し、土御門はオリ主を置いて競技場の入り口の方へと走っていく。残ったオリ主は駆けていく彼を見てこのあとの展開を思い出す。
「(確か、どうやって入ろうか考えている上条と入り口で合流するんだけっか。目的地を事前に決めてればそこに向かうのは当然分かるか)」
記憶を思い出しながら一人納得するオリ主。
そして、先ほど土御門を降ろすために中断してしまった話を、自らのサーヴァントに話し出す。
「(それで、吹寄を助ける方法だけど生命力の見極めかたは原作の方法で十分できる)」
『?それが無いからマスターは今まで悩んでいたのではなかったかい?』
そう、生命力に関する情報は『とある』では出てこない。正確にはその言葉は出てくるが詳しい描写などはないのである。
原作に描かれていることと言えば、『能力者が魔術を使えば拒絶反応で重傷を負う』ことだけであり、生命力と言うものがどういう風に身体を流れるなど一切書かれていないのだ。
しかし、オリ主の原作知識はただの文字列の暗記ではない。前世で実際に原作を読んだ実体験に基づいた知識である。
だからこそ、その印象深いシーンを覚えていた。
「(
旧約の最後のエピソードである、『神の右席』のフィアンマが起こした第三次世界大戦で、
オリ主がしようとしていることはこれなのだ。
「(まあ、とは言っても一方通行みたいに、物理法則全てを頭に叩き込んでいる訳じゃないから、本来ならそんなことは逆立ちしても不可能なんだけど)」
一方通行が回復魔術を使用できたのは、物理法則に当てはまらない現象を全ての物理法則から逆算することで、魔術という存在を知らないままに、一方通行は理解不能である魔術の発動の仕方を導き出した。
つまり、この世の物理法則を五割程度しか分からないポンコツに、同じ芸当ができる訳がないのである。
このままでは当然机上の空論でしかないが、オリ主にはその全てをひっくり返す切り札がある。
「(俺の能力である
『いくら同じ身体を複製したとしても、今回の問題を解決するための糸口にはならないんじゃないかな?』
その言葉を聞いたオリ主は笑みを浮かべて、自分の中に居るサーヴァントへ向けて、自分が編み出したその解決法を言った。
「(劣化模倣で既に吹寄をコピーして吹寄の身体は既にストックしてある。
一方通行と同じ様にありとあらゆる数式から不純物を見付け出すような真似をしなくても、比較対象があるならその違いを見付けるだけでいいってことだ)」
比較対象がある。それが一方通行には無いオリ主だけの優位性なのだ。
「(なら、あとの話は簡単だ。あらかじめ、吹寄の身体を解析したあとに、迎撃魔術で生命力が空転した吹寄に触れて、生命力の乱れや空転した影響で起こる差異を元の身体と照合して割り出す。
空転した直後なら、魔術で引き起こされた生命力への干渉の痕跡が分かりやすいはずだ)」
正答と間違いを見付け出すだけならば、一方通行のようにスパコンと同じスペックがない凡人でも実現できる。これがオリ主が見付け出したオリ主だけにしかできない生命力の見付け方だった。
だが、問題は他にもある。
「(あと、残ってる問題は回復方法。これに関しては生命力を治す方法として超能力はまず使えない。俺に分かるのは生命力の把握まで。一方通行のようにその治し方まで見付け出すことはできない)」
一方通行のようにそこから応用に持っていけるような頭はない。いや、それこそ一方通行のように歌でも歌ってしまえば、魔術を使っていることを間違いなくアレイスターは感付くだろう。
つまり、この世界での魔術は使うことができない。
「(なら、やっぱり答えは決まってる。伝説の魔術師であるアレイスターでも知らない異世界の存在。サーヴァントの能力、【スキル】を用いて吹寄を回復させる)」
アレイスターに気付かれずに魔術サイドの力に頼るならば、アレイスターが知識で知らない、神代に造られたエルキドゥの能力に頼るしかない。
【完全なる形】にも魔力が必要なのだが、そもそも考えてみればエルキドゥが表に出たとき、何回か【完全なる形】を発動しているらしい。
なら、アレイスターにはサーヴァントのスキルを見破る術がないか。理由は分からないが何らかの理由で見逃されていると考えるべきだと思う。
要するに、二回も三回もしちゃったならもうしょうがなくね?という、諦めの境地なのだ。エルキドゥが【完全なる形】を使わなかったら死んでたかもだから、エルキドゥは絶対に悪くないし(だだ甘)
【完全なる形】の発動。しかし、それには問題がある。
『でも、僕の【完全なる形】はマスターにしか使えないよ』
そう、今の【完全なる形】はこの身体にしか作用しない。これでは吹寄を回復させることなどできはしない。
──それが、本当にこの身体だけならば。
「(いや、それは正しくは違うだろ?正確には俺という異物のせいで他の人間や動物相手に、能力を通す
その根拠は約三週間前の
仮に、もし俺の身体にしか能力を使うことができないのなら、大地に魔力を通して武器を生成することなど不可能なのだ。
何故これができるかというと、いくら異世界であろうとも大地そのものが変わっている訳ではないため、この身体であってもエルキドゥと大地の親和性で能力の発動が可能というわけだ。
言ってしまえば、今のエルキドゥは滝から水を浴びるために、ダムを作りそこから水を汲み上げて、水から浴びているというかなり
見た目だけでは特に変わっている様子は無いけど、実際はエルキドゥの配慮に成り立っている。
というのも当たり前の話で、もしエルキドゥが生前の力と同じ方法で力をしていれば、インデックスがとっくの昔にエルキドゥの存在を気付いている。
なんとか気付かれずにいられるのは、エルキドゥが俺の身体に気を付けて『無理の無い範囲内で力を大地から得ているから』という、理由があるのだ。
そして、他のことは身体の負荷を鑑みて力を十全に出せないのに、【完全なる形】での回復だけ異常に速いのは、これも俺の身体とエルキドゥが親和性が高いがため。
それこそ、FGOのマシュ=キリエライトのように共通点が無いデミサーヴァントだとしたら、【完全なる形】の力もうまく作用しなかっただろう。
他の生物相手では『親和性』という方法から治すことは当然できなくなる。あくまでも大地からの力で回復力を得ているエルキドゥは、他者の回復は副産物でしかないのだ。
それこそ、この身体でしようとしてもうまくスキルを引き出すことはできないし、強引に行えば俺の魂が壊れてしまう。だからこその八方塞がりなのだが、俺自身がその経路を作りエルキドゥに提供すればそれも可能となる。
「
劣化模倣の
そして、あとの問題が回復領域は回復させようとすると自然治癒力が必要になるから、体力を大幅に食うことになるってこと。
でも、回復させることじゃなくてただ単純に経路を繋ぐことが目的なら、自然治癒力を無理矢理上げる必要は無い。それこそ擦り傷なんかを1/100秒程度の回復にすれば、体力の消耗なんて微塵も感じ取ることができないだろうからな)」
俺の回復領域は相手の自然治癒力を底上げして、無理矢理外傷を治す能力だ。実はそのスピードは俺の自由なのである。
まあ、それこそ傷を完璧に塞ぐまで能力を解くことができなかったら、既に何人かは俺の能力でお陀仏になっていることだろう(主に上条)
そんなわけで今回は回復領域を回復させる目的ではなく、エルキドゥのスキル【完全なる形】を相手に干渉させるための、経路として活用するというわけだ。
『ふむ、なるほど。確かにそれならなんとかなるかもしれないね』
「(よし!俺は吹寄の通常の状態を頭と身体に覚えさせるから、時間が来たら呼んでくれ)」
それから、吹寄制理が倒れるまでオリ主は一人で、誰にも気付かれない作業を黙々とした。
そして、先程の工程を踏むことで吹寄制理の生命力は安定し、熱中症の症状も軽いものへとなった。病院に着く頃には疲労で眠ることはあっても、症状のせいで意識が飛ぶということはないだろう。
全てを工程は驚くべきことに何一つ問題無く綺麗に進み、無事に大成功を納めたのだった。
──それこそ、気持ち悪い程に。
『マスターも僕も初めてにもかかわらず、全てが想定通り行くなんて余りにも僕たちに都合が良すぎる』
今回の試みは言ってしまえば、医者が初めて使う器具で初めて見る手術方法を、全て何のミスもなく完璧に実行し成功させたようなものだ。
『マスターからもしもの時は、自分の魂がどうなってもいいから彼女を回復させて欲しいと、あらかじめ言われてはいたけどマスターはそんなことは絶対に無いとどこかで確信をしていた』
自らのマスターのことを思いながら、その使い魔のサーヴァントはマスターに念話もせずに一人で考えていた。今回のことはそれほどまでに色々と逸脱したものだったのだ。
『マスターは楽観視をしながらもリスクには敏感だ。それこそ、自分の身体ならまだしも、他人の身体で「できそうだからやる」というのはマスターらしくない。
それこそ、他に方法が無いような状況ならともかく、自分の都合で誰かの命に関わるような方法を取るとは思えない』
いつもとは違う自らのマスターの行動と思考にエルキドゥは疑問を抱く。そして同時に、同じ身体を共有しているから気付いた事実へ思い至る。
『
身体を共有する上でエルキドゥはこの身体の構造を当然把握済みだ。それにもかかわらず、全く知りもしない得体の知れない力が加わっていたのだ。
もし、魔術ならば今の状態では全てを弾くことはできないが、されれば気付くこと程度はエルキドゥも分かる。しかし、今回はその兆候に気付くこともできず、今考えてようやく発覚するほど自然に上乗せされていた力。
『…………まさか』
祝福とも言わんばかりの力に思考を誘導し固めるやり方はエルキドゥは身に覚えがあった。それこそ、エルキドゥが活動していた神代の頃には珍しくもない話だ。
そして、自らの主人に試練を与え祝福を授ける存在を、エルキドゥは主人の記憶と言葉から知っている。
そして、何よりもエルキドゥはそれを実体験としてそれを知っていた。必然的にエルキドゥは今回の首謀者に辿り着く。
──君の仕業かい?異界の神よ
申し訳ありませんがまたしばらく書けなくなるかもしれません。時間が空いたら書こうと思いますので、楽しみにしてもらえると嬉しいです