LGBTQ運動はフェミニズムの最終戦略


寄稿 全国教育問題協議会・常務理事 山本豊

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 平成27年(2015年)東京都渋谷区は、同性婚カップルを「結婚に相当する関係」と認めるパートナーシップ証明書を全国で初めて発行した。条例は、証明書を持つ同性カップルがアパートへの入居や病院での面会など不利益にならない配慮を求めている。渋谷区についで世田谷区も行政支援を開始した。その他、横浜市、那覇市、宝塚市もその動きが出ている。その動きをバックアップするのが朝日新聞で、「多様な愛、認める街へ」との見出しで、元タカラジェンヌの女性同士のレズビアンを大きく報道、手放しで礼賛していたが、大きな違和感を持った。

 

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▲朝日新聞21年4月7日付の記事

 

同性愛者などの性的少数者(LGBTQ)への配慮は大切だが、それを同性カップルとして「結婚に相当する関係」を認めることは全く次元の違う話だ。

現憲法24条では、結婚を「両性の合意」に基づくとし、同性婚は認めていない。にも拘らず、平成27年7月には日本の同性愛者455人が憲法14条の「法の下の平等」を掲げ、「同性カップルが結婚出来ないのは不合理な差別だ」として、日弁連に人権救済の申し立てを行うなど、性的少数派の人権侵害を大義名分にして同性婚論議が本格化する予想をしていた。

あれから6年、いま立憲民主党が令和3年の衆議院選挙の目玉政策の一つとして、LGBTQ問題を取り上げるようだ。NHKの政党代表討論会、党首討論の中で出されて来ているので同性婚LGBTに関する問題について根源を探って見た。

一、 同性婚推進論の三つの主張

1.現在の法制度は、同性カップルに不利益である。
今の法律では、相続や老後の財産整理では特に相続問題で今のままでは何年連れ添ってもただの同居人でしかない、二人が円満に生活するために同性婚を認めて欲しい。

2.同性婚カップルでも子供を育てている人もいるから同性カップルを法律で保護して欲しい。

同性カップル女性の場合に、第三者の男子から精子提供して妊娠出産する場合や、男性同士のカップルが用紙を育てるケースがある。その場合、法律上は一人の母、一人の父でしかなく、社会生活の様々な不便に直面する。特に深刻なのは親権者死亡や、カップルが解消した場合で、子供の幸せの為にも同性婚が容認されることを願っている。

3.国際的にLGBTQは人権問題として捉えている。
生まれながらに自由かつ平等な人権保障を実現すべき時期に来ている。「異性婚」しか認めない現行の結婚制度は、憲法24条2項の個人の尊厳に違反している。

二、 同性婚が子供に及ぼす影響

1.欧米を中心に同性婚を認める国は増えつつあるが、同性婚や同性愛者を重大な犯罪として処罰する国もある。東アジアで認めた国や地域はない。

2.同性愛の親に育てられた子は、経済的、社会的、情緒的問題を抱えている割合が高い。

3.血のつながりの欠如が、子供を情緒的不安定にさせる最大の要因であると考える。

4.普通の夫婦間でさえ、非配偶者間の人工授精(AID)で生まれた人々の中には、自己のアイデンティティーについて深刻に考える人が多い。自分の父親は誰なのか?同性のカップルの子供の場合は他人を親としてみることが、はっきり子供に分かり、自分という存在に疑問を感ずるという。

5.同性婚をよく考えれば、親の希望のみによって、子供をこの世に拉致することになるのだ。

三、LGBTQ問題は、家庭崩壊の為のイデオロギーの具体策

結婚とは、子供や社会の利益の為に、カップルによる性行為、出産、子育てが責任をもってなされるように社会が承認する制度である。結婚は、単なる男女の性関係ではなく、男女の共同体として、その間に生まれる子の保護、育成、共同生活の維持が中心である。つまり、単なる受精や個人の契約ではなく、次の世代を生み出す枠組みなのだ。だからこそ、社会は男女の婚姻関係を特別なものとして保護しているのである。

この問題は、人権問題として推進者は主張しているが、男女差別撤廃、男女共同参画社会基本法を実現した、フェミニズム論者によるイデオロギーの実現を目指す戦術が含まれているように思われる。結婚制度の本質を無視し、「多様な愛」などという、いつも甘い言葉に惑わされてはならない。