年少者の安易な性別変更に警鐘 性転換トラブルも
現行法の規定維持の呼びかけも-自民「女性を守る議連」
▲自民党「女性を守る議連」代表の片山さつき元地方創生担当相
自民党有志議員による「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」が8月30日、党本部で会合を開いた。
① 年少者に安易な性別変更を勧める動きを防ぐほか、②LGBT法施行を受けて、政治色の強い団体や、急進的団体を教育現場に介入させない必要性などが、活発に議論された。
まず、会合では、判断力が未発達な子供に対し、性転換のためのホルモン治療や外科手術を受けさせてトラブルにつながる問題が海外で起きていることを踏まえ、「日本でも同様の事態を防ぐ働きかけが必要だ」とする声があがった。
一方、性別変更をめぐり、性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する場合、性別適合手術を求める現行法の規定が、合憲か否かが家事審判で争われており、9月27日に最高裁大法廷で弁論が行われる。
現行の性同一性障害特例法には、性別変更の審判を申し立てる要件に性別適合手術や18歳以上などの項目が含まれているが、一部のLGBT団体や、日本学術会議が否定的な考えを示している。
議連の会合ではヒアリングも行われ、性別適合手術を経て戸籍上の女性となったLGBT当事者や、女性団体の代表が「手術要件は(女性として)社会に信頼されるため。要件撤廃は認められない」「体が男性のままの母親が生まれる」との意見が出た。
議連共同代表の片山さつき元地方創生担当相は、手術要件について「身体的特徴が分からなくなれば、更衣室など女性のスペースへの立ち入りの判断ができなくなる」と指摘し、同じく共同代表の山谷えり子元拉致問題担当相も「自分さえ思えば性別変更ができかねず、社会の大きな混乱になる」と強調した。議連は近く、現行制度の維持を訴える声明を発表する方針だ。
教員の働き方 ”危機的な状況”
中教審 特別部会の緊急提言
▲中教審(中央教育審議会)特別部会が文科大臣に緊急提言
教員の働き方をめぐり、中教審(中央教育審議会)の特別部会は、「危機的な状況にあり社会全体で取り組むべきだ」とする緊急提言をまとめました。地域など教員以外への業務の分担に加え、標準を大幅に上回る授業時数は見直すことなどを対応策に盛り込んでいます。
教員の働き方や給与のあり方などを議論している文部科学省の中央教育審議会の特別部会は、緊急的に取り組むべき施策を盛り込んだ提言をまとめ、8月28日、部会長を務める千葉大学教育学部の貞広斎子 教授が永岡文部科学大臣に手渡しました。
この中では、教員を取り巻く環境は国の未来を左右しかねない危機的な状況に あるとして、国や自治体、学校に加え、保護者や地域住民、企業など社会全体で一丸となって課題に対応する必要があるとしています。
具体的には、「登下校対応」や「校内清掃」「休み時間の対応」など14の業務について、地域やスタッフなど教員以外への分担や負担軽減を進め、年間の授業時数が国の標準を大幅に上回る1086コマ以上の学校は来年度から見直すこと、学校行事は重点を置くものを選び、準備も簡素化することなどを盛り込んでいます。
また、授業や事務作業をサポートする「教員業務支援員」の全小中学校への配置や、教員の負担軽減が期待される小学校高学年での「教科担任制」実施の前倒し、それに保護者からの過剰な苦情などに教育委員会が対応して学校を支援することなどを対応策に挙げています。
参加した委員からは、「教員の働き方の改善は、子どもたちのためになるという社会の理解が必要だ」といった意見が相次いでいました。
特別部会では教員の働き方や給与のあり方についてさらに議論し、来年春ごろまでに一定の方向性を示したいとしています。
“教員の仕事の適正化”、 地域や保護者にできることも
教員が教員にしかできない仕事に専念できるよう“業務の適正化”を目指して、具体策として示された1つが教員の関わりの度合いに応じて3分類された14の業務への取り組みです。
●1つめの分類は「学校以外が担うべき業務」で、▽「登下校対応」▽「放課後の見回り、補導時の対応」▽「給食費などの徴収」▽「地域ボランティアとの連絡調整」の4つの業務が挙げられています。
この中では、登下校の見守りは地域のボランティアが行ったり、門は登校時間の直前に開けたりして、朝の業務の負担を軽減することや、現金徴収から口座振替に切り替えた例が示されています。
●2つめの分類は「学校の業務だが教員が担う必要のない業務」で、▽「調査などへの回答」▽「休み時間の対応」▽「校内清掃」▽「部活動」の4つの業務を挙げ、休み時間の見守りや校内の清掃は地域住民や支援スタッフとの役割分担を行うといった対応例を示しています。
●3つめの分類は、「教員の業務だが負担軽減が可能なもの」で、▽「給食時の対応」▽「授業準備」▽「学校行事の準備・運営」など6つの業務が挙げられています。
適正化に向けてはこのほかにも▼業務の効率化のため校務に生成AIを活用するため国が方針を示すことも含まれています。
授業時数や行事の見直しを
授業時数や学校行事など各学校で慣例的に続けられてきたものを見直すことも求めています。
全国では、学級閉鎖などに備えてあらかじめ年間の授業時間を多く計画している学校も少なくありません。
週に換算して2コマ以上と国の標準を大幅に上回る学校がおよそ4割になった調査結果もあり、そうした学校は来年度から見直す前提で点検が必要だとしています。
それでも人が、教員不足にどう対応?
持続可能な勤務環境の整備に向けて、国に支援の充実も求めています。
▼教科ごとに教える「教科担任制」。小学校高学年で実施すると、学級担任の授業時数が週に3.5コマほど軽減できる見込みだとして、再来年度までとしていた計画を来年度までに1年前倒すよう求めています。
▼授業や事務作業を支援する「教員業務支援員」をすべての小中学校に配置し、
▼法改正を含めた教員の給与の在り方の議論を待たずに、管理職などに支払われる手当を改善すること。
▼教員のなり手の発掘に向けて企業と連携することや、
▼教員養成に向けて大学に地域枠を設けることなども挙げています。