近況報告
4月12日(土)に大阪で開催されたハーベスト春期聖会は、感動的な集いとなりました。約260名の参加者が一堂に会し、神に賛美と祈りと礼拝を献げることができました。東京での春期聖会の予定は、4月20日(日)午後2:30~、4月21日(月)午前10:30~、となっています。引き続きお祈りをお願いします。
このところ、トランプの高関税政策が気になっていました。日米ともに、一般のメディア(リベラル系)はトランプ叩きに熱心ですが、表面的な現象しか見ていないと、トランプの意図が理解できなくなります。事態は極めて流動的ですが、この段階で、筆者なりの見解を記したいと思います。
グローバリズムとの戦い
(1)最も大事な視点は、トランプの高関税政策が「グローバリズムとの戦い」であるというものです。グローバリズムとは、「世界を一つの市場」と見なし、安価な労働力と規制緩和を通して利益の最大化を追い求める思想です。グローバリズムは、アメリカの製造業を空洞化に追い込みました。その結果、労働者階級は職を失い、アメリカという国自体が経済大国の座から引き下ろされることになりました。
(2)アメリカに最も大きな打撃を与えたのは、中国です。アメリカ国内の製造業は中国に流出しました。その結果、利益を上げるアメリカ企業が出ましたが、反動として、国内における雇用喪失と中産階級の衰退が進みました。トランプの高関税は、「安価な海外製品による国内市場の侵食」を抑え、自国生産に切り替える政策です。つまり、「グローバル企業の論理」に対抗する「MAGA運動」(自国重視)の動きと言えます。トランプの高関税政策は、戦略的産業(鉄鋼、半導体、エネルギーなど)を保護育成し、「国益」を優先する姿勢を示したものです(鉄鋼・アルミニウムへの関税は2018年に実施されたトランプの主要公約の一つでした)。
中国共産党との戦い
(1)トランプの高関税政策は、クリントン時代以降の過去25年にわたる対中国政策の誤りを修正するためのものでもあります。1990年代末、クリントンは中国をWTO(世界貿易機関)に加盟させ、恒久的な正常貿易関係を認めました。これは建前上「中国を西洋化し自由化するため」とされましたが、実際には国際的な大企業(グローバリスト)が中国の安価な労働力を求めていたことが真の動機でした。当時の中国は経済が弱く、国際社会で孤立していました。ところがWTO加盟後、中国は「世界の工場」として急成長し、経済力と軍事力を増強しました。一説によれば、2001年のWTO加盟以降、アメリカからの投資額は数兆ドルに上り、中国共産党の強大化を助ける結果となりました。
(2)クリントン時代から始まった製造業の中国へのアウトソーシングは、何をもたらしたのでしょうか。この政策は、ウォール街や一部のエリート層の利益につながりました。彼らは中国投資で莫大な利益を得ましたが、一般の労働者は失業や経済的困窮に直面しました。工場は閉鎖され、地域社会は荒廃しました。NAFTAなどの自由貿易協定も米国の衰退に拍車をかけました。トランプの高関税政策は、こうしたエリート層が享受していた恩恵を断ち切り、中国依存経済からの脱却を図る戦いでもあります。
(3)グローバリズムでは、「経済的相互依存」が平和をもたらすとされてきましたが、現実には中国の軍事拡張が進みました。トランプは経済政策を「国家安全保障」と結びつけ、中国への技術流出や軍事資金の供給を断つ狙いを鮮明にしました。これは、グローバリズムの「楽観論」への挑戦です。「アメリカ・ファースト」の立場から見ると、高関税は「国家を守る盾」であり、「グローバル資本主義の支配から脱却する戦い」と理解されます。トランプは、価値観を共有する国々と連携し、「新たなサプライチェーン」を構築しようとしています。トランプの意図を理解し、アメリカと歩調を合わせる国もあれば、中国との連携を深める国もあります。しばらくの間、トランプ流の「ディール」(交渉)が続きます。
日本にとって「決断の時」
(1)高関税政策は、日本にも大きな影響を与えます。米国の意図に反するような政策は非現実的であり、危険でもあります。日本は、①米国が意図する新サプライチェーンへの参画と、②国内産業の立て直し、という2点を強調すべきだと考えます。つまり、トランプが提示している新しいパラダイスを災禍ではなく好機と捉えて、「ジャパン・ファースト」の政策を実行するということです。グローバル経済中心から、内需中心に切り替えるということです。すぐに思い浮かぶのは、米国にも益となるプロジェクト(石油資源の共同開発)を提案することや、防衛産業や農業の育成に資金を投入すること(日本の危機管理体制の強化につながる)などです。
(2)日本の政治家には、「ジャパン・ファースト」の政策が欠如しているように思えます。過剰な自国中心主義は災禍をもたらしますが、健全な自国中心主義は、結果として世界平和に貢献することになります。トランプの新政策は、日本人の内に健全なナショナリズム(保守主義)を誕生させるきっかけとなる可能性があります。
終末論と高関税政策
(1)トランプの高関税政策や「アメリカ・ファースト」は、短期的には「世界統一政府」(いわゆる終末時代の反キリストによる支配体制)の実現を遅らせていると言えます。どれくらい遅らせているかは、今後の展開によって決まります。この遅れは、「遠のいた」と言い切るほどのものではなく、「最終的に予告されている流れの中の、一時的な逆流・抵抗」と見るべきです。
(2)終末時代には、①世界規模の統一経済(黙13:16~17)、②世界規模の統一政府(ダニ7:23~25、黙17:12~13)、③反キリストによる支配(黙13:1~8)が実現すると預言されています。グローバリズムは、この「世界統一政府」に向かう現代の潮流です。そのための下準備が、国境を越えた経済統合、文化の均質化、思想統制(ポリコレ・LGBT・SDGsの強制)などの動きです。
(3)トランプの高関税政策や「アメリカ・ファースト」戦略は、このグローバル統合路線に明確に逆らう動きです。①国境の強化、②国家主権の尊重、③自国経済の優先、④国際協定(パリ協定やTPPなど)からの離脱などは、自国中心主義という文脈の中で理解すれば、極めて的を射た政策だと言えます。「国家の独立」を再主張する政策は、終末時代に向けて進む「国家の溶解と統合」に対する防波堤となっています。
(4)しかし、逆流は最終的な潮流を止めることができません。私たちは、今起きている「遅延」を「神によって与えられた恵みの時間」と理解すべきです。その時間に果たすべき役割は、福音の伝達です。一人でも多くの人が救われるように、祈り励みましょう。この猶予期間は無限ではなく、やがて神が定められた時が満ちると、携挙が起こり、世界は大患難時代へと進むでしょう。
感謝。中川健一
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