とある原石の神造人形(エルキドゥ)   作:海鮮茶漬け

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リアルでストレスが溜まったので小説の執筆にそのフラストレーションをぶつけます。



104.玉入れ実況

 魔道書の原典。

 魔術を記した書物にして、文章・文節・文字が一つの魔法陣として起動する。原典を破壊しようとする者に半永久的に迎撃を行うため、破壊することができずに封印するしか手を打つことができない。

 さらに、半自動的に魔力を大地から魔力を吸い上げて稼働することから、人類が滅んだ後も世に残り続け、消滅することはない世界にとっての異物。

 

 

 

「元々、魔道書と魔法陣は根本的には同じなんだにゃー」

 

「全然違うだろ。魔道書ってのは厚い感じの本にびっしり書かれたゲームのアイテム的なヤツで、魔法陣ってのは丸書いて中に星を書いたお決まりのヤツだろ?」

 

「……それはダビデの刻印だよ馬鹿野郎。それが単品ではなく円形陣の一部として使われたのは中期からだ。最初期は単なる円だった」

 

 そう言うと地面に円を書く。ほえー、フリーハンドなのに綺麗な円。

 

「それよりいいのかい?身体の治療をしなくても」

 

「君の能力では体力を必要としてしまうようじゃないか。オリアナの術式が分からないうちにそんな事をすれば、最悪戦線復帰が厳しくなる。なら、少なくともオリアナの迎撃術式に当たりが満足にできていない間はやるべきじゃない」

 

 ステイルが辛そうな顔をして言う。ダメージで少しイライラしているのが見てとれた。おそらく、こうしているのも土御門の解析を待つ間の、暇潰し感覚で魔法陣を教えているのだろう。

 

「続きを話すぞ。五芒星や六芒星は、追加効果に使われているものだ。ベースとなる円の効果を増やすためにソロモンやダビデの刻印などを重ねて描いているという訳だよ。

 さらに後期になると円の外周に力を借りたい天使の名前を書くようになるんだ。欲しい力の種類に質と量。この適量が正しくないと術式は失敗することになる。そして、その力をどう使うかの記述を書いていくと、こんな風に本のページのようになる訳だ」

 

 なるほどね。つまりは菓子作りと同じか。分量間違えたりすると焦げたりするんだよなー。他にも混ぜすぎるとめちゃ固くなるし。グルテンが出まくるのが原因らしいんだけど、もはや石だわあの強度。とても食べられる材料から生まれたとは思えないよあれ。

 要するに魔術を起動するための術式のレシピって訳ね。

 

「よく分かんないんだけど……オリアナは今回のために原典を用意したってのか?」

 

「……それができるかはかなり怪しい。仮にあらかじめ用意していたとしても、こんな場面で安易に使うような物じゃない。

 だが、オリアナが原典を書いたというのも信じられない話だ。錬金術師アウレオルス=イザードも原典の著者として知られるが、最速筆と言われた奴でも三日は掛かる代物だ。それを逃亡中にオリアナがすることなどできるものか……?」

 

 ステイルが腑に落ちない表情で唸っていると、土御門が何の気なしに言った。

 

「別に本を丸々作り出す必要はないんじゃないかにゃー。必要なのは魔道書の自動迎撃術式なんだから、適当な殴り書きでもいいんだろ」

 

「名付けるなら『速記原典(ショートハンド)』ってところかな。そんな事ができる人物が居るとは僕にはとても思えないけどね」

 

 ここで名前が決まったのか速記原典って。相変わらず洒落た当て字だよなー。流石は鎌池先生。

 それはそうと、オリアナって実はめちゃくちゃスゴい魔術師なんじゃね?何で運び屋なんてしてるんだろ?峰不二子にでも憧れたりしたのかな?

 

「でも、どうするんだ?これでステイルは魔術を使えなくなっちまったんなら、『理派四陣』だかなんだかでの探知はできなくなったんだろ?土御門も魔術を使えないみたいだし」

 

「なら、使えるようにするだけだぜい。言っちまえばその迎撃術式を破壊してやればそれで終わりだ。()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「は!?」

 

「……」

 

「上やん、何を驚いているんだ?俺達は刺突杭剣(スタブソード)を見付けなくちゃならないんだぞ?もし失敗したとするならそれは戦争の始まりと同義だ。なら、身体がどうなろうが少しでもまともな状態になることは必須条件だろう。

 なんたってオリアナを止めても、リドヴィアと取り引き相手がまだ居るんだからな。不安要素となるものは全て破壊しなくちゃならない」

 

「だけど、それだとステイルがまた倒れることに「……馴れ合うなよ上条当麻」……ッ!」

 

 ステイルが上条を睨み付ける。その迫力に上条は二の句が継げない。そこに居たのは間違いなくプロの魔術師だった。

 

「僕はあの子の世界を守ると決めている。そのためならこの程度は許容範囲なんだよ。……それより土御門。分かっているな」

 

「ああ、学園都市においてインデックスの身の安全を確約できるよう手配する。インデックスの強制送還なんて真似はさせない」

 

 その言葉を聞いたステイルは土御門が新しく書いた『占術円陣(せんじゅつえんじん)』の上に躊躇なく止まり、再び魔術を使った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……天野、ステイルに治癒能力を頼む。完治させなければ戦闘に復帰できるはずだ……」

 

「了解したよ」

 

 血塗れになった土御門からそう言われ、変身した状態でステイルの背中に右手を添える。

 症状が重度の日射病に近いものだったため、外傷を治すよりかは体力を減らさずに済んだのが功を奏し、おそらく数分もせずに立ち上がることもできるはずだ。

 

「──それにしても術式とやらを組むだけで拒絶反応が起こるとはね」

 

「……大きなものか小さなものかは問題じゃない。能力者が魔術を使うという事自体が既に大きなリスクを孕んでいるんだ。

 ……俺の能力が肉体再生(オートリバース)じゃなかったら、間違いなくとっくの昔に死んでるんだにゃー……。まあ、このせいでステイルにも負担を掛けちまったのは面目次第も無いがな……」

 

 身体を能力で回復させながら死に体で俺の質問に答える土御門。

 えーと、あの、ごめんね?今の適当な一人言だったから、そんな無理して答えなくてもいいんだけど……。

 

「それで上やん。術式の場所は?北西の三〇二メートルの位置に何がある?」

 

「──くそッ!マジかよ本当に北西なんだな土御門!?」

 

 上条が携帯を見て急に取り乱す。その携帯の画面には中学校の校庭が表示されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから、ステイルを人目の付かない場所に放置して、止血をしたあと新しい体操服を入手しなければならない土御門は時間が掛かるため、既に上条はオリアナを追って行った。

 この話し方で分かる通り俺は上条に付いていかず、土御門の側で待機している。

 

「本来なら上やんと一緒に会場付近へ先に行ってもらうとこなんだが、俺の怪我も治りきってなくてな。ぶっちゃけ空間移動(テレポート)で運んでもらえると助かる」

 

「それが一番効率的のようだし僕に不満はないよ。それに、僕はこの髪色だと潜入は向いていないから、この先は君達に任せるしかないみたいだしね。この程度の事は喜んでするとも」

 

 まあ、そんなことを言いながら事件に介入する機会が減って、ちょっと安心してたりしてるんだけど。まあ、土御門の金髪が地味に見えるほど目立つ緑髪だし、これで潜入なんかしたら後々バレるに決まっているよな。

 

「(このままアッシー君になれないかなー…………なれないよなぁ……)」

 

「──よし、こんなもんだろう。それじゃあ頼む。すぐに向かわないとまずい事になるかもしれない」

 

「まずい事って?」

 

「向かいながら話す。今は一分一秒無駄にできない」

 

 それもそうかと思いながら土御門を連れて空間移動を開始する。上条が相手だと幻想殺し(イマジンブレイカー)に打ち消されてしまうが、土御門ならば問題はない。

 あと、大した話ではないが自分以外の人間と一緒に空間移動してヒヤヒヤしてしまうのは、空間移動能力者(テレポーター)のあるあるネタだと思う。

 

「──つーわけだ上やん。選手として乗り込んで術式を破壊するしかないって事ですたい」

 

『いやいや、中学生に混ざるとか普通にバレないか!?まさか、何か裏技的な対策をお持ちで?』

 

「若ささ。フレッシュでエネルギッシュな若さを思い出せば、俺達ならできる!」

 

『なんかダメな気がしてきたー!?』

 

 急にほのぼのパートに入って多少困惑するが、思い返してみれば『とある』ってこんな物語だったな、と思い出した。ここ最近ずっとシリアスだったから忘れてたわ。

 

「だがな上やん。そうも言ってられない。ステイルに使われた術式は魔術に関係の無い一般人にも牙を剥く可能性がある」

 

『は?』

 

「いいか、冷静になって聞け。オリアナが迎撃術式は『魔術の準備を読み取り、その使用者の生命力を識別して妨害する』というものだ。その()()()()()()()()()()って何だと思う?」

 

『えーと、変な呪文を唱えたりとか魔法陣描いたり、とか?』

 

 ……こんな会話あったっけ?うーん、ダメだ覚えてない。まあ、魔術の基礎的な奴は旧約の序盤でやってそうではあるけど、こんな細かいところまで覚えてる訳無いんだよなー(呆れ)

 

「しかし、それでいいのなら……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『ッ!?』

 

 言霊……?俗に言うフラグとかか?

 おーと……なんかやたらと現実味が出てきたぞお……?(実体験)

 

「とはいえ、言霊の並べ方には法則性があるし使えるワードにも制限がある。それだけじゃ一般人に危害が及ぶことはないが……なら、世界で最も簡単な魔術儀式って何だか知ってるか?」

 

『は、はあ?』

 

 学園都市という科学の街で生きてきた上条には分からないのだろう。もちろん、俺にも分からない。

 俺と空間移動しながら土御門は上条にその答えを伝える。

 

「『触れる』事だよ。特に「手で触れる」事は意味があんのさ。多くの宗教で右と左の価値が異なるのも、元々はそれぞれの役割分担によるものだ。

 新約聖書でご活躍の「神の子」だって、右手で触れることで病や死から人々を救ったと言われてるぜい。もしも、その動作に迎撃術式が反応するなら?

 そして、本格的な魔術師ならともかく素人の一般人が魔術の防壁を持つわけがない。防御力が無い分はその症状はステイルの比にならないと思う」

 

『で、でも、魔術師でもない能力者に魔術が反応するのか……?魔力だって練ることはできないんだぜ?』

 

「いや、オリアナの術式は『魔力に反応して迎撃する』事じゃなく、『生命力に反応して迎撃をする』ものだからにゃー。魔術を使えるかどうかはこの術式には関係がないんだぜい。

 ──要するにその該当する『魔術の準備』をしちまったら、発動する魔術だと思っといた方がいい」

 

『くそったれッ!あの野郎本気でぶん殴ってやる!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(そんなわけで始まりました。大覇星祭の競技、玉入れのお時間です。実はこれを楽しみにしてたー、という方も多かったのではないでしょうか。そして、解説はこの人達に来ていただきました(熱血アナウンサー))」

「(有識者です)」

「(ダンディvoiceです)」

「(どーも老害っすわ)」

「(いやー、お久し振りですね皆さん。こうしてまた同じ光景を見られる事を嬉しく思います。そう言えば有識者さんは何か以前と変わった事があるとか(熱血アナウンサー))」

「(ええ、実は先月に式を挙げさせて頂きました(有識者))」

「(そうだったんですか!?おめでとうございますっ!(熱血アナウンサー))」

「(おめでとう(ダンディvoice))」

「(ほーん、そうなんや(老害))」

「(ありがとうございます。結婚を言うタイミングを逃し続けていたせいで長引いてしまいましたが、ダンディvoiceさんのお陰で無事に想いを伝える事ができ、こうして一緒になる事ができたんですよ(有識者))」

「(ええ!?ダンディvoiceさんが!?そうなんですか!?(熱血アナウンサー))」

「(軽いアドバイスですよ。全ては彼の頑張りあってこそです(ダンディvoice))」

「(いやいや、ダンディvoiceさんが切っ掛けをくれたんです感謝してます!それにダンディvoiceさん、実は仲人もしてくれたんです(有識者))」

「(本当ですか!?流石ですね!(熱血アナウンサー))」

「(彼の背中を押したのは自分なのでそれくらいはと。長い話をするのは得意ではないので少し困りましたがね(ダンディvoice))」

「(ここでダンディvoiceさんの紹介をしていきたいと思います。多くの人はもちろんご存知かと思いますが、ダンディvoiceさんは(かつ)てボクサーだった経歴を持つ方です。その実力はメディアを始め多くの関係者から有望視されていたほどであり、新しい風をボクシング界に巻き起こすだろうとさえ言われていました。

 しかし、怪我をしてしまいプロを断念、その後俳優の道を歩んでいきます。整ったルックスに渋い声で女性人気を獲得。その後は連ドラに大河ドラマと人気俳優の道をかけ上がって行きました。

 女性人気が圧倒的に多くありましたが、それに引き換え男性人気は余り獲得していませんでした。これはメディアがダンディvoiceさんの事をそういう風に取り上げたせいでしょう。

 しかし、それも『紫煙の探偵』で再びブレイクしたことで流れが変わります。最初はこの時代にタバコを吹かすキャラクターなどと、批判も多くありましたが、放送されるとダンディvoiceさんのルックスとタバコが絶妙にマッチしていた事もあり絶賛の嵐。そして、何と言っても重要なのがスタント無しでのアクションシーンが話題を呼びます。鬼気迫る様子とその巧みな体捌きで女性だけではなく、多くの男性を魅了することとなったのです。

 そして、今現在は現役で俳優業をしながらも、ボクシング界人気の一助となればと、こうして実況も携わっていらっしゃいます(熱血アナウンサー))」

「(自分も『紫煙の探偵』から大ファンです!あの『官僚の浮気調査をしている女探偵』という建前で、日本政府の機密を入手しようとしていた女スパイとのシガーキスは憧れましたよ(有識者))」

「(ああ、あの口封じで撃たれてライターすら持てずに、ダンディvoiceさんが演じた『大門(だいもん)真理(しんり)』にタバコの火をもらうところですね。お互いに少し心許していたシーンがあっただけに、あのシーンは衝撃的でした(熱血アナウンサー))」

「(会ったときの最初のセリフが『タバコ吸う男って嫌いなのよ私』でしたからね。まさか、大門が吸っていたタバコの銘柄を買っていたとは思いませんでした。

 その初めての一本が大門とのシガーキスですからね。悲しいやらなんやらで号泣しましたよ僕(有識者))」

「(まあ、あれからタバコが売れてしまってクレームが常に鳴っていたそうです。私が実際に咥えていたのは電子タバコなんですけどね(ダンディvoice))」

「(儂からすればタバコ吸うのが何が悪いのか理解できんわ。別に違法でもあるまいしそんな後ろ指指される事もないやろ。その上喫煙所で吸うことすら白い目で見られる意味が分からん(老害))」

「(解説席が盛り上がってきましたがここで選手達の出場です。凛々しい表情から不屈の精神が伺えます。やる気は充分と言ったところでしょうか(熱血アナウンサー))」

「(これも多くの種目を行う大覇星祭の中で、盛り上がる競技の一つですね(有識者))」

「(しょーもな、たかが玉入れやろ。どこに見所があんねん(老害))」

「(おっと、老害さんはもしかして大覇星祭をご覧になったことがございませんか?凄まじいとしか言い様の無い競技ですよ。──そして、その注目の玉入れが今始まります(熱血アナウンサー))」

 

「(全く、何をそんな大袈裟に……ってなんじゃこりゃああああああ!?!?!?(老害))」

 

「(いやぁ、始まりましたね玉入れ。やっぱり派手な競技です(有識者))」

「(ええ、あの中を潜り抜けるのは至難の技でしょう(ダンディvoice))」

「(いやいやいやいや、おかしいやろあれ!?なんで能力ぶちかましてんねん!玉投げろ玉をッ!!(老害))」

「(あれも玉入れの妨害として正式に認められていますのでセーフです。なんと言っても大覇星祭ですからね(熱血アナウンサー))」

「(でも、三、四メートル打ち上げられてへんか!?死ぬやろあれは!?(老害))」

 

「(まあ、そのときはそのときです(有識者))」

 

「(ッ!?(老害))」

「(とはいえ、未だに大覇星祭で大怪我を負ったものがいないことから、裏で何かしらの対処がされているのは間違いないでしょう。…………おや、あれは?(ダンディvoice))」

「(おっと、あれは以前熱い戦いを見せてもらった少年ではないでしょうか?あの彼をまさか、この場で見られるとは誰が思ったでしょうか!?超能力が飛び交う戦場を縫うように進んで行くぞぉ!?(熱血アナウンサー))」

「(あの身のこなし……彼で間違いないでしょう。また、彼の勇姿が見れるとは心躍りますね(ダンディvoice))」

 

「(あんのクソガキィィイイイイ!!!!よよよよよくその生意気な面を儂の前に出せたもんやなあッ!?あ"あん!?(老害))」

 

「(ど、どうどう。落ち着いてください。あのあと調べても卑怯なんてなく、正真正銘の真正面から彼は第一位と戦い勝利したでしょう?それにあの戦いはあそこで終わってますから彼を逆恨みしても仕方ないですよ(有識者))」

「((かつ)て闘していた者同士が拳を交わし合うのはこれはこれで良いものですね。これはどちらかと言うとプロレスの方が近いのかもしれません(ダンディvoice))」

 

「(──なんとその彼が御坂選手を押し倒しました!!なんと思い切った行動でしょうか!(熱血アナウンサー))」

 

「(ふむ、寝技ですか。彼はボクシングだけではなく、プロレスの心得もあるようですね(ダンディvoice))」

「(ここからでは砂煙もあってよく見えませんね。ですが、膠着具合から彼が常盤台のエースを完封していると見ていいでしょう(有識者))」

「(ぐぬぬぬ、あの全身高圧電娘をどうやって抑えたんや……。まさか、本当にまぐれちゃうんか……?(老害))」

「(ですが、御坂選手もすかさず少年を引き剥がします。ここは流石といいましょうか。マウントを取られましたがすぐさま不利な状況から脱しました。どうやら少年も彼女相手では一筋縄ではいかないようです(熱血アナウンサー))」

「(とはいえ、御坂選手赤面していますね。おそらく振りほどく事に余程の力を使ったのでしょう。これが今後にどう影響していくのか気になります(有識者))」

「(ん!?おおっとこれはどういうことだ!?突然レフェリーからストップがかかります。一体どういう事でしょう(熱血アナウンサー))」

「(別段おかしなところは見あたりませんでしたが(ダンディvoice))」

「(僕達からでは見ることができなかったところでハプニングでも起こったのでしょうかね(有識者))」

「(ええっと……、情報に依りますとなんと少年はこの場に乱入してきた部外者であり、選手では無いと言う事です(熱血アナウンサー))」

「(どうやら自らの闘争心を抑えられなかったようですね。若者ならばよくあることです。この愚かさを若さと取るか情熱と取るかは人によるでしょう(ダンディvoice))」

「(はっはっはっは!やっぱりセコい小僧やんけ!チャンプだって次の対戦を待っとるのに、ド新人が何を調子付いとんねん!(老害))」

「(うーん、これは退場となり出場停止処分の可能性も……おや、どうしたのでしょうか突然レフェリーが倒れましたよ。少年が近付きます(熱血アナウンサー))」

「(なんや?一体何が起きた?(老害))」

「(これは……どうやら熱中症のようですね。涼しくなってきたとはいえ、夏ですからね。水分補給を忘れてしまうとこういうことがあります(有識者))」

「(金髪のサングラスをした少年も近寄っていますね。……どうやら重度の症状のようだ。救急車を呼ぶことになりそ───)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 考え事が終わったのか観客席に一人で座っていた少女は、すくっと立ち上がり観客席の最前列にゆっくりと歩いていく。動揺が走る周囲との反応の違いで浮いているが、突然の状況で彼女を注視する者はいない。

 彼女は観客席と競技場との柵に手を掛けながら呟いた。

 

「介入するなら今しかないかな」




時間が無いので考察は次にします。まさか、一日で書き上がるとは……ストレス溜まってるなあ(しみじみ)
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