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八代亜紀さんの私的写真入りアルバムの販売強行はリベンジポルノではないのか? #エキスパートトピ

伊藤和子弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ副理事長

2023年に亡くなった歌手の八代亜紀さんのヌード写真入りベストアルバムが発売されようとしていますが、故人がこのような形でヌード写真付きアルバムを不特定多数に販売することを同意していたのか、死者の尊厳を踏みにじる行為ではないか問題になっています。

20代の頃にプライベートで撮影されたヌード写真を本人の許諾なく死後に発売することは、リベンジポルノに該当し、違法となる可能性があります。販売に関連するすべての事業者は、合法性を確信できない限り、極めて慎重な対処をすることが求められます。

ココがポイント

“封入特典”として、プライベートで撮影された一糸まとわぬ姿の写真をプリントしたものが準備されている
出典:ピンズバNEWS 2025/3/16(日)

アルバムの紹介文には「Nディレクターによってポラロイドカメラで撮影されたフルヌード写真2枚が掲載されています」と明記
出典:週刊女性PRIME 2025/3/19(水)

《また当社は問題と成っている写真などすべての所有権を有しており売買契約書もございますので》と主張
出典:女性自身 2025/4/11(金)

故人のヌード写真を公開するという行為には強い反発が起きており、4月9日には中止を求めるオンライン署名が立ち上がった
出典:ハフポスト日本版 2025/4/11(金)

エキスパートの補足・見解

2014年に制定された通称「リベンジポルノ防止法」正式名称「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」は、衣服の全部又は一部を着けない人の姿態を、「第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者」や、「私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者」は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する、と規定しています(第3条)。

この例外は、撮影をした者(本件ではN氏)、撮影対象者(本件では八代さん)及び撮影対象者から提供を受けた者(本件では販売会社)以外の者以外の第三者が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾した場合ですが、八代さんが果たして、亡くなった後にこのような公開をされることを許諾していたといえるか?問題となります。

リベンジポルノ防止法は、撮影対象者が亡くなっているからと言って犯罪成立が免除されるとの規定はありません。本罪は告訴が必要とされる親告罪ですが、本人が亡くなっても遺族による告訴が認められます。

亡くなったからと言って人の尊厳は貶められてよいものではありません。

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弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ副理事長

1994年に弁護士登録。女性、子どもの権利、えん罪事件など、人権問題に関わって活動。米国留学後の2006年、国境を越えて世界の人権問題に取り組む日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、事務局長として国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中。同時に、弁護士として、女性をはじめ、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動している。ミモザの森法律事務所(東京)代表。

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