国立天文台

国立天文台 技術系職員会議

第31回 天文学に関する技術シンポジウム

最終更新:2011年9月5日 10時30分

プログラムは申し込み締め切り後、こちらで公開します。なお、公開時期は9月中旬頃の予定です。

以下は、8月26日10時35分現在の発表申し込み一覧(順不同、敬称略)です。また、以下の内容は今後変わる可能性があります。

名前 タイトル 予稿
坂本彰弘
(岡山天体物理観測所)
岡山天体物理観測所LCUボード(通称 清水ボード)の継承 I(口頭+ポスター) 岡山天体物理観測所の望遠鏡制御は、清水康廣氏の開発したLCUボードを使用して行われている。
清水氏が退職されるにあたり、技術の継承が必要となり私がその重大な任に就く事になった。
現在の進捗状況を報告し、今後の見通しを報告する。
三上良孝
(ATC)
思い出になった実験(口頭) 今まで、印象に残った実験2、3紹介する。
1.フォトンカウンターの製作
2.光電子増倍管のリニアリティーの測定
3.鏡面からの熱で星像劣化の測定
4.微熱乱流計の製作
小矢野久
(岡山天体物理観測所)
エジプトコッタミア天文台 188cm望遠鏡の光学系改修 Ⅱ(口頭) 主鏡 Axial Support 高さを暫定使用中のプラスティックシートを真鍮のスペーサに交換し、固定点(3個)以外の15個ウェイトを基準値の90kgにした。ニュートン鏡を調整してコマフリー中心をほぼCCD中央にセットした。Hartmann Testを実施し、暫定値では有るが、0.168 arcsecの最小を値得た。Dome Flat 光源の取り付けと遠隔操作を完了。ドームとスカイフラットのデータを取得出来るようにし、主鏡サポートをほぼ完璧とした。
布施哲治
(情報通信研究機構鹿島宇宙技術センター)
鹿島35cm光学望遠鏡の改修プラン(口頭+ポスター) 鹿島宇宙技術センターの研究本館屋上には、静止衛星の監視用に口径35cm光学望遠鏡が2台ある。当初は天体望遠鏡の機能を備えていたが、後の修理作業により「産業用ロボット」となり、恒星追尾すら行えなくなった。今後の低軌道衛星の観測プロジェクトにも支障をきたすため、「天体望遠鏡」に戻す作業と撮像機器のアップグレードの検討を実施している。本発表では、各時代の望遠鏡の仕様や改修プランについて説明する。
内藤 孝
(高エネルギー加速器研究機構)
望遠鏡、干渉計を使ったビーム計測技術(口頭発表) 加速器内を通過するビームの大きさ、形状の計測は、(ある程度)遠方にある微小な大きさの光源点の計測であり、計測技術に天文学と同じ様な技術が使われている。この計測に使われるのはビームを偏向させる時に発生する放射光であるが、天体から発生する光と多くの点で共通するが発散角など異なる性質もある。今回は、3.2keVの波長を使ったX線望遠鏡、可視光領域の波長を使ったマイケルソン干渉計による計測について報告する。
測定限界について経験豊富なみなさんのご意見をうかがえればと思います。
山崎利孝
(ALMAプロジェクト)
ふり返ると40年(ポスター) 約40年間天文台に勤務してきた
定年にあたって、記憶を整理しつつ、やってきたことを、まとめておこう。
準備を始めようとしたばかりで、....
佐藤茂基
(生理学研究所 技術課)
生理学研究におけるプログラム書き込み型ICの利用について(口頭+ポスター) 生理学研究所では実験動物を用いて生理学実験を行っており、私が出向している部門では高次脳機能解明を目的とした研究を行っている。今回、出向部門で開発してきたプログラム書き込み型ICを利用した回路について2例紹介する。
1つ目は行動実験のビデオ画像と同時に記録した脳波のタイミングを合わせるためにPICを用いて製作した画像インポーズ装置、2つ目は脳波測定用アンプの動作を確認するためにAVRを用いて製作した回路である。
沖田喜一
(岡山天体物理観測所)
エジプトコッタミア天文台の観測精度向上について(仮題)(口頭) 昨年に続き、エジプトコッタミア天文台の188cm望遠鏡による観測精度向上をめざし、今年度はニュートン焦点とカセグレン焦点にスカイバッフルを製作し、取付ての観測を行った。
日本から技術協力で主鏡調整チームが昨年出向き、ドームフラット光源の設置を行い、試験データを取得したが、薄暮光の空とドームフラット光との比較において、背景光の影響によるばらつきが10%程度あった。今回の影響を取り除くためのバッフルの試験観測では1%程度に抑えることができ、良好に調整された望遠鏡は本格的に稼働開始し、超新星の観測等精力的に観測を進める状況になった。また、昨年の新カセグレン観測装置の製作についても議論を深めてきた。国際技術協力の状況を報告する。
野口本和
(先端技術センター)
CEタンク液面・圧力監視システム(口頭+ポスター) 国立天文台先端技術センターの液化窒素用CE(コールドエバポレーター)は設置から17年が経過した。CE管理運用は一人のCE保安監督者が休日を除く毎日、1日に3回巡視点検し、液量・圧力を記録、同時に写真記録する。常にCEに出向き確認するが一日3回の巡視点検では液の使用傾向に誤差が生まれる、液量低下の警告を発することが出来ず、液化窒素ユーザーに迅速な情報通知ができない、CEの状況確認が迅速に行えないことなど様々な欠点を抱えたまま運用している。このような欠点を補いCE管理を安全かつリアルタイムで行えるCEタンク液面・圧力監視システムについて報告する。
石井 貴子
(京都大学大学院理学研究科附属天文台)
京都大学飛騨天文台SMART望遠鏡による観測とデータ公開(口頭+ポスター) 京都大学飛騨天文台のSMART(Solar Magnetic Activity Research Telescope)は、太陽の活動状態を全体に渡ってモニターし、かつ黒点付近の磁場構造などを詳細に調べることを目的とした望遠鏡である。太陽全面像のデータは、webで公開されている。本講演では、全面像の公開データを中心にSMART望遠鏡について紹介する。
中桐正夫
(天文情報センター)
重要文化財に指定されたレプソルド子午(口頭+ポスター)儀 1880年ドイツ・ハンブルグのA.REPSOLD & SOHNE社で製作され、1881年明治政府の海軍省観象台が購入し、1888年東京大学東京天文台に移管された明治期の近代天文学の黎明期の基幹望遠鏡であったレプソルド子午儀が平成23年6月27日付で国の重要文化財に指定された。この望遠鏡は麻布時代には日本の時刻の決定、経度の決定に使用され、三鷹に移転後は主に黄道帯・赤道帯の恒星の経度観測に1950年代まで使用され役目を終了し、長い眠りについていた。
鶴田誠逸
(RISE月探査プロジェクト)
月面環境模擬試験(3)―検証実験―(口頭+ポスター) 第30回技術シンポで、月レゴリスを模擬したシミュラント上に、月着陸機模擬脚の落下実験を行い、沈み込みの様子を観察したところ、沈み込み量に室温変動の影響が現れた、という報告を行った。その主な原因についてシミュラント中の空気の膨張・収縮が考えられるという報告を行ったが、改めて実験系の検証を含めて確認の実験を行ったのでその結果について報告する。
大島紀夫
(天文情報センター)
中国西部地域での天文観測適地の調査(口頭+ポスター) 我々のグループは、中国側の要請により、中国西部地域で天文観測適地の調査を進めている。すでに、カラス、オマの2か所で行っており、現在は3か所目のアリで進めている。本発表では、これまでの経緯、候補地の紹介と測定結果、現在進めている候補地への機材の設置の様子と今後の予定を報告する。
大島紀夫
(天文情報センター)
堂平観測所で撮影された乾板の収集、整理(ポスター発表) 天文情報センターでは、旧図書庫の乾板整理を進めている。この中には、堂平観測所で撮影されたものも大量にあることがわかった。堂平で撮影された乾板は原簿によると、91cmとシュミットの両方で約7,500枚になるが、閉所時に保管されていたのは1,300枚ほどである。今回、旧図書庫から収集された乾板は5,300枚にもなった。これらの収集、整理、保管について報告する。