国立天文台 技術系職員会議 主催
第33回 天文学に関する技術シンポジウム
プログラム
最終更新:2013年9月24日
9月30日(月曜日)
開始 | 終了 | No | 講演者 | タイトル・予稿 |
---|---|---|---|---|
13:00 | 13:30 | 受付 | ||
13:30 | 13:35 | 開会挨拶 | 岡田則夫 国立天文台 技術系職員会議代表 |
|
13:35 | 13:40 | 挨拶 | 泉浦秀行 岡山天体物理観測所所長 |
セッション1
座長: 奥村真一郎
13:40 | 14:00 | 1 | 西山広太 日本スペースガード協会 |
美星スペースガードセンター紹介 岡山県美星町にある美星スペースガードセンターは、地球近傍小惑星および人工衛星・スペースデブリの発見・監視を目的とし、口径1.0mと0.5mの2台の光学望遠鏡を使って、365日体制で観測を実施している。 講演では観測機器と観測手法を中心に、施設と活動の概要について紹介する。 |
14:00 | 14:20 | 2 | 小矢野久 岡山天体物理観測所 |
188cm望遠鏡の改修 開所(1960年)から50年以上も光学赤外線天文学で常に一線級の観測を支えてきた188cm望遠鏡も、老朽化(スイッチ、配線、金属部品等)に伴う故障の多発が目立ち始めた。駆動系と制御系の信頼度、速度、精度を格段に高めるため、高精度のエンコーダを取り付け、モーターの数を減らし、ギヤ系を簡略化した。今回は機械系の改造を主体に報告する |
14:20 | 14:40 | 3 | 筒井寛典 岡山天体物理観測所 |
岡山天体物理観測所の制御ボードについて 現在、岡山天体物理観測所の多くの望遠鏡・観測装置の制御系は清水康廣氏(2010年退職、現在当観測所研究支援員)が1990年代半ばに開発した汎用機器制御ボード(Choas, 現在は第三世代のChaos3)を使用している。汎用性が高く対応するモータの種類も多い。観測所では技術系職員の削減と高齢化が進み、技術継承が容易ではない状態が続いてきいたが、漸くこの制御ボードについては引継ぎ業務が進み始めた。今回は制御ボードの概要及び運営状況について報告する。 |
14:40 | 15:00 | 4 | 青木勉 東京大学天文学教育研究センター木曽観測所 |
木曽シュミット望遠鏡の改修 木曽観測所のシュミット望遠鏡の制御系は1988年に電気系と制御I/O関連の改修が行なわれた。しかし、近年では時計駆動モーター等の故障や新観測装置で要求される駆動スピード等に対応できないなど、多くの問題を抱えている。そこで、今年度機械系も含めた制御系の大規模な改修作業を行っている。今回の発表では、制御系の構成や改修状況について報告する。 |
15:00 | 15:10 | 休憩 |
セッション2
座長: 青木勉
開始 | 終了 | No | 講演者 | タイトル・予稿 |
---|---|---|---|---|
15:10 | 15:30 | 5 | 布施哲治 情報通信研究機構 |
鹿島宇宙技術センター光学望遠鏡による高速移動天体の観測例 鹿島宇宙技術センターでは、従来は静止衛星用であった口径35cm望遠鏡を低軌道衛星の位置観測も行えるように改修を重ねてきた。準備が整った今年1月以降に ISS の撮像を実施、続く2月には地球へ大接近した小惑星 2012 DA14 の観測にも成功した。今回は、観測システムおよび高速に移動する天体の観測実施例を紹介する。 |
15:30 | 15:50 | 6 | 沖田博文 東北大学 |
南極望遠鏡の開発と運用 南極大陸内陸高原に位置するドームふじ基地は赤外線天文観測にとって地球上で最も観測条件が優れた場所であると考えられており、口径2.5m赤外線望遠鏡をドームふじ基地に建設するためのサイト調査と技術開発が行われている。本発表はこれまでの国内実験で得られた低温環境で確実に望遠鏡を動作させる技術と、第52・54次南極観測隊に参加して得られた現地での運用方法について議論するものである。 |
15:50 | 16:10 | 7 | 高橋英則 東京大学・天文学教育研究センター |
TAO6.5m近赤外線分光撮像装置多天体分光ユニットの冷却機構 東京大学天文センターでは、標高5640mのチリ・アタカマ高原チャナントール山山頂に口径6.5mの光赤外線望遠鏡を建設する計画を進めている。本講演では、観測装置の一つである近赤外分光撮像装置SWIMSの概要を解説するとともに、多天体分光ユニットの冷却のために新たに採用した機構(MLI、熱パス等)および性能について述べる。特に熱パスはこれまで使われてきた銀ロウ付けではなくハンダ付けを採用することで、低温での熱伝導率が高くなるという過去の文献を実証した。 |
16:10 | 16:30 | 8 | 宮田隆志 東京大学天文学教育研究センター |
アルミ金膜鏡の異種金属接触腐食 アルミを超精密加工し表面に金などをコートしたアルミ金膜鏡は多くの装置で利用が進んでいる。しかしアルミはイオン化傾向が大きい「卑金属」であり、「貴金属」である金などとの間で異種金属接触腐食を起こしやすい。実際、東京大学で開発している中間赤外線装置の鏡で腐食が見られている。我々はこれまで企業や腐食研究者の協力のもと、原因追及や対策について検討を進めてきた。本発表ではこれらを紹介する。 |
16:30 | 16:40 | 記念撮影・休憩 | ||
16:40 | 17:30 | 特別講演 | 綾仁 一哉 美星天文台 台長 |
美星天文台の活動について |
17:30 | 18:30 | 会場移動 | ||
18:30 | 20:30 | 懇親会 |
10月1日(火曜日)
セッション3
座長: 伊藤哲也
開始 | 終了 | No | 講演者 | タイトル・予稿 |
---|---|---|---|---|
08:30 | 08:50 | 9 | 佐藤直久 先端技術センター |
ALMA BAND8受信機の量産 ALMA BAND8受信機グループでは、受信機を製作しALMA観測所へ出荷を続けてきたが、8月現在で規定の出荷台数まであと数台となった。発表では受信機の量産について、これまでの経過、問題点、改良点、現在の進捗等を報告したい。 |
08:50 | 09:10 | 10 | 岩国幹夫 ALMA Band8受信機量産 |
ALMA Band8 OMTの評価及び特性改善 ALMA Band8受信機に使用し、直線2偏頗を分離するOMT (Ortho-Mode Transducer) の特性評価を報告する。 OMT内の導波管の詳細加工寸法評価、業者指導、部分的仕様変更、測定設備改善等を行い不良率を改善した。 今回はこれら特性の評価方法及び特性改善のための取り組みに関して報告する。 |
09:10 | 09:30 | 11 | 高橋康夫 ALMA BAND8 |
ALMA BAND8ビーム系測定装置の改善 ALMA望遠鏡のBAND8のcorrugated hornとOMTの組立から常温ビーム系測定試験(出荷前の冷却試験の前に行う)の測定装置、測定プログラム、測定方法およびその改善について紹介する。 |
09:30 | 09:50 | 12 | 田村友範 先端技術センター |
試験データから見たBand8 受信機カートリッジの量産に関する考察 ALMAの受信機カートリッジは、開発において数多くの技術課題を克服するだけでなく、一方で量産する73台のカートリッジ全ての性能がALMAの厳しいスペックをクリアすることを要求されていた。カートリッジ及びコンポーネントの大量の試験データを通して見たBand8受信機カートリッジの量産に関して考察したい。 |
9:50 | 10:00 | 休憩 |
セッション4
座長: 岩下浩幸
開始 | 終了 | No | 講演者 | タイトル・予稿 |
---|---|---|---|---|
10:00 | 10:20 | 13 | 高橋敏一 先端技術センター、ALMA-Banb4 |
ALMA-BAND4カートリッジの出荷状況 我々が開発,製造を担当しているALMA-BAND4カートリッジは、当初の予定の73台までの製造,試験,出荷完了に目処が付く状態まで漕ぎ付いた。 主に、ここ一年間に改良された事、様々な問題とその対処についてと、 できれば統計的なまとめなども報告したい。 |
10:20 | 10:40 | 14 | 中村光志 チリ観測所 |
コンピューターの性能を活かしきる方法 ~仮想化技術とベクトル演算の活用~ 近年のコンピューターの高性能化・大容量化により、多くのコンピューターはその能力をフルに活用されていない。原因として、コンピューターに与える仕事量が性能向上に追いついていないこと、アプリケーションがCPUのベクトル演算機能などに対応していないことが挙げられる。 仮想化技術とCPUのベクトル演算機能を活用することで、より少ないコンピューター(コスト)でより多くの処理を行わせる方法を紹介する。 |
10:40 | 11:00 | 15 | 安井孝 チリ観測所 |
オフライン系ホスト群の効率的管理について チリ観測所(三鷹)のComputing担当分野において、所有および管理の機材が増えてきて効率よく運用・管理することが必要となってきた。 手始めにオフライン系シスアドグループが管理者となっているマシン(ホストやその他の機材)をどのようにして管理するか、月次報告の定常化を進めていくこととなったが、その考え方や整理のし方、手法について発表する。 |
11:00 | 11:20 | 16 | 鈴木駿策 水沢VLBI観測所 |
VDIF Software Library の開発 VLBI観測において、汎用PCで8Gbps記録を成功し、空いた時間に各種計算を行いできるだけリアルタイムで観測の内容などを見ることもできる様にした、プログラム群を開発した。 |
ポスターセッション
11:20 | 12:00 | ポスター 12件 | 1-16,P1,2 |
セッション5
座長: 大島紀夫
開始 | 終了 | No | 講演者 | タイトル・予稿 |
---|---|---|---|---|
13:00 | 13:20 | 17 | 岩下浩幸 野辺山宇宙電波観測所 |
新IF系安定化対策 45m電波望遠鏡観測装置として開発の進んでいる新受信機システムと新デジタル分光計を結ぶ、新IF系の安定化対策に付いて報告する。 報告内容は、アナログIF系に安定化対策を施さなければならなくなった経緯、安定化対策案の検討手法、実際の測定と回路変更に伴う改善結果等について報告を行う予定である。 |
13:20 | 13:40 | 18 | 半田一幸 野辺山宇宙電波観測所 |
45m電波望遠鏡新観測システム用超高速AD変換装置の開発 45m電波望遠鏡では新観測システム用に超高速AD変換装置を導入した。これは受信機からのIF信号をデジタル信号に変換する装置であり、後段につながるデジタル分光計に入力するため重要な役割を担っている。デジタル分光計は16系統の信号を入力することができ、周波数帯域幅2GHzの信号を分光することができる装置である。本講演では超高速AD変換装置の概要、機能を述べ今後の課題について報告する。 |
13:40 | 14:00 | 19 | 田澤誠一 ハワイ観測所 |
2013年度主鏡蒸着作業報告 すばる望遠鏡主鏡の蒸着作業が2013年7月末から3年ぶりに行われた。主鏡の蒸着作業は今回で7回目となる。過去に行った蒸着作業の経験を踏まえ、作業の手順は高いレベルで確立されているが、まだまだ改善すべき課題が若干ある。本発表では今回の主鏡蒸着作業の結果、および今後の課題について報告する。 |
14:00 | 14:20 | 20 | 岩田生 ハワイ観測所 |
すばる望遠鏡MOIRCSアップグレード計画 すばる望遠鏡の近赤外線撮像多天体分光装置MOIRCSについて、(1) 検出器のH2RGへの交換 (2) 面分光機能の追加 の二つの機能向上を目指したアップグレード計画を進めている。計画の概要と現状などについて紹介する。 |
14:20 | 14:40 | 21 | 仲谷善一 京都大学飛騨天文台 |
飛騨DST常設型新AOの開発Ⅱ 第31回天文学に関する技術シンポジウムにおいて「飛騨DST常設型新AOの開発Ⅰ」にて、新AO開発の概要を報告したが、今回、装置のハードが完成したので紹介する。 DSTは垂直分光器と水平分光器の2台の分光器を有しており、それぞれの分光器に置いてAO有り、無しの観測を行いたいという事で、4つの観測モードが必要であり、一部の鏡を可動さて光路を切り替える必要がある。 今回の発表では、この可動鏡の機構について重点を置いて報告を行う。 |
14:40 | 14:50 | 休憩 |
セッション6
座長: 佐藤直久
開始 | 終了 | No | 講演者 | タイトル・予稿 |
---|---|---|---|---|
14:50 | 15:10 | 22 | 石崎秀晴 重力波プロジェクト推進室 |
エラスチカばねの開発II 大型低温重力波望遠鏡(KAGRA)の防振機構を構成する要素のひとつであるエラスチカばね開発の現状を報告する。昨年はPET樹脂を用いたトイモデルを示して概要を説明したが,本年は実物で使用する材料(BeCu)による実証モデルの構成と動作,ならびに,実現に至る試行錯誤について報告する。 |
15:10 | 15:30 | 23 | 野口本和 先端技術センター |
ATC設備管理 先端技術センター(ATC)の設備管理について報告する。 ATCの設備管理は、建物管理、付帯設備管理、薬品、電子部品管理、実験室配分、職員机配分まで多種多様に渡る。設備に関わる管理では危険有害業務にたずさわるための資格が必須など一般業務にはない難しさがあるなどATCの見えにくい部分に光をあてる。 |
15:30 | 15:50 | 24 | 大島紀夫 天文情報センター |
国立天文台天文ミュージアム構想 天文情報センターではかねてより、博物館構想を持っており、検討を進めてきた。博物館としての発足を目指してきたが、委員会での結論は「最新の天文学を中心に最新の機能を有した展示手法を取り入れて」ということであり、構想を一度リセットし、今年度から新たに「天文ミュージアム構想」として進めることにしたので、その紹介をする。 |
15:50 | 16:10 | 25 | 中桐正夫 天文情報センター |
射場天体観測所の機材について 射場天体観測所は神戸市に肥料の商いで財を成した射場保昭氏によって、昭和3年(1928年)に開設された私設天文台である。氏は明月記の「客星」の記事を英文で外国に紹介したことで知られている。射場氏は1934~1936年にわたって天文月報に「望遠鏡並に天体写真に関する私見」という一連の記事を書いている。射場天体観測所の機材一切が1946年に東京天文台に寄贈されたという冨田弘一郎氏の記事があるが、現在の国立天文台にはその痕跡がほとんどない。そのごく一部が川崎青少年科学館で発見された。 |
16:10 | 16:30 | 26 | 伊藤哲也 先端技術センター |
スタートした技術系職員英語研修 2013年度より、三鷹ブランチにおいて技術職員の英語研修の試行が始まった。研修の第一の目的は「自分の仕事内容を英語で説明できること」にある。方法はネイティブスピーカー講師による英語講座と、台内での英語能力試験の二つに分かれている。英語講座は週1回2時間、計20回で2クラス計15名が参加している。また、英語能力試験はTOEICを英語講座受講前後に受験する。準備段階での検討内容や研修の実際を報告する。また、今後の進め方についてもご意見をいただきたい。 |
ポスターセッション
16:30 | 17:10 | ポスター 11件 | 17-26,P3,4 | |
17:10 | 撤収 |
ポスターのみの発表
No | 講演者 | タイトル・予稿 |
---|---|---|
p1 | 久保浩一 先端技術センター |
ALMA-Band4受信機のビーム測定 ALMA-Band4受信機の量産も最終段階に入り、出荷は60台を超えるまでになる、受信機のノイズ性能、ビーム性能の内、懸案であったビーム性能の交差偏波問題にようやく解決の糸口が見えた。 これまでのビーム測定の経過や、今回の新たな対策について報告する。 |
p2 | 三ツ井健司 先端技術センター |
電波カメラシリコンレンズアレイの試作3(720素子) 先端技術センターでは電波カメラの開発を進めている。そのキーデバイスの一つであるシリコンレンズアレイは2010年度から開発を進めてきた。徐々にアレイの大規模化が進み、現在は721素子に至った。さらに反射防止としてスタイキャスト膜の形成も行ったので報告する。 |
p3 | 和田拓也 野辺山宇宙電波観測所 |
環境モニタシステムの設置について 近年、NRO45m望遠鏡は所外からのリモート観測への移行が進み、現地のモニタ機器の設置が求められている。電波観測において大気の状態を測定する事は大事であり、昨シーズン中に大気変化によるポインティングjitterを見積もる電波シーイングモニタ、昼夜問わず雲の存在を確認する為の雲モニタの2つのシステムを導入した。今回は、これらの機器の概略的な説明と試験運用の現状について報告する。 |
p4 | 須藤謙人 茨城大学 |
小型望遠鏡による太陽観測の自動化 地上からの太陽観測は、夜間は当然不可能であり、また天候によっても左右される。そこで、各地に観測網を巡らし、複数での観測を行う観測システムが必要である。そこで必要不可欠となる全自動観測を目的として、現状では小型可視光望遠鏡への太陽導入、追尾、撮像、格納までを、赤道儀と CCD カメラを PC により操作することで自動化を目指している。本講演では自動観測システムの概要と課題および展望について説明を行う。 |
10月2日(水曜日)
8:00 | 13:50 | エクスカーション | 13:20 新倉敷駅到着 13:50 倉敷駅到着 |