雑記ノ文車

磯崎雄太郎

エイプリルフールにずっと考えていたこと

:2025/04/01 火曜日


 語呂合わせで良い日だ。嘘つきの日というクソの理論を押し付けられたくはない。なので良い日という捏造の思いつきも、別段無理強いしない。

 今日は精神科の通院日だった。待合室で待っていると、奇妙な呻き声を上げる人が、合計で三人いた。なにかつらいことがあったのだろう。俺も時々、部屋で頭を抱えてため息をつく。場所が違うだけで、俺も、彼らと同じ。心の病人。

 薬局で座っていると「私比較しないもん」というおばあちゃんが「でもお父さんはよくテレビ見るもんね」とどっかしら比較と言える発言をしていて「どっちじゃ」と思った。

 人に対して無頓着で、無遠慮に心の突っ込みを入れる自分は、冷酷だなと思った昼下がり。

 まあ、機械的に診断すれば俺は繊細さんなんだろうが、そうとも言い切れないところもある。

 他人を気にするくせに、自分の身なりには無頓着だし、別に、俺の行動で誰が何を思うかなんて知ったこっちゃないと思うが、他人の声が妙に気になり始め、苛立ち、皮肉屋気取った突っ込みを叩き込む。

 へんな人間だ、と思う。

 そんな俺を見てもなおにんげんっていいな、と歌える奴がいたら、殴り倒してやりたいと思った。

 あと、比較しないと言い張るおばあちゃんは、えらく調べ物が好きで、スマホや新聞をいじる。無意識に比較材料、ようは、無意識に見下して安心できる格下を探しているようにも思え、そしてそんなふうに他人の行動を規定する自分の浅はかな人間観察に、甚だ呆れた。

 探し物くらい誰でもするだろ。だけどな、ごめんけど明らかな聞こえよがしの独り言は、もう騒音なんだよ。やめろ。不愉快だ。キツく言う。心の中だから。俺は汚い男だ。

 物音は無機質で情報量が少ない。だが人の声には、意味付けされる情報量が多い。だから俺は人の声が嫌いなんだ。

 外食が嫌いで苦痛なのも、それが理由だろう。あと、別段店の飯は値段に見合う味かといえば、そうでもないのだ。コンビニの惣菜弁当で十分と思う。

 薬の待ち時間が長くてたまらない。苦痛と言える。だからこんな日記を書いては心の安定を図っている。

 お静かにお願いします。そんな札を、俺は顔布にして過ごしたい。


 帰り道にふと考える。アドラーの心理学。己の課題と他者の課題は別物である。混同するから悩む。

 その部分だけを切り抜いて流布する連中に、「お前らの拡大解釈と、冷たい人間の増加に相関関係があったら、それはお前らの課題だよな」と問いかけてやりたい意地悪な自分が、心で知ったふうに囁いた。

 まあ。そういう小金稼ぎどもは知らんわぼけと言いながら、屁でもこいているんだろう。奴らは冷たいから。

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