中国・高速鉄道で「放置駅」続々 習政権「交通強国」策も曲がり角
毎日新聞
2024/10/7 07:00(最終更新 12/28 19:14)
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中国で建設された高速鉄道の駅が、使用停止となったり未使用のまま放置されたりするケースが相次いでいる。中国は急ピッチで鉄道網の整備を進めてきたが、駅の中には需要やコストを度外視して建設された場所も少なくないためだ。国有鉄道会社の負債総額は120兆円を超えており、新型コロナウイルス禍を経て経済成長に陰りが見える中、「放置駅」は曲がり角にきた中国の鉄道政策の現状を象徴している。
中国内陸部・湖北省鄂州(がくしゅう)市。長江中流域の大都市・武漢市(人口1377万人)と隣接するこの市の中心部から東に10キロほど郊外に向かって進むと出現する巨大な建物が、「鄂州東駅」だ。
駅敷地内には雑草が生い茂り、閉鎖された駅舎は静まりかえっている。時折、ごう音をたてて列車が通過するだけだ。駅の周辺を見渡しても建物はほとんどなく人の気配もない。
中国メディアによると、鄂州東駅は2014年に営業を開始したが、22年に利用停止となったという。
地元のタクシーの男性運転手(50)は「近くには鄂州駅もあるし、高速道が整備され武漢まで車で1時間で行ける。こんな人もいない場所に駅を作って一体誰が利用するというのか」と語る。
中国国内では今、こうした駅が少なくとも20駅ほどあるという。
需要を考慮せずに駅設置
中国メディアが背景として指摘するのは、地方政府幹部にとって高速鉄道駅の設置は自らの業績や地域のイメージアップに直結すると考えられていることだ。需要を十分に考慮せず駅を…
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