トランプ政権、NASA科学予算半減か マスク氏は不快感
【ヒューストン=大平祐嗣】米トランプ政権が2026年度の米航空宇宙局(NASA)の科学予算の半減を検討していると11日、複数の米紙が報じた。科学予算は望遠鏡の開発などに充てられる。足元予算の73億ドル(約1兆円)が39億ドルに減る見込み。米スペースX創業者のイーロン・マスク氏は同日、「困った」とSNSで不快感を示した。
米ワシントン・ポストなどが11日に報じた。天体物理学の予算が約15億ドルから4億8700万ドルに減るほか、惑星科学予算は27億ドルから19億ドルに減る。NASA全体の年間予算は250億ドルで、ロケット開発や月面探査などは今回の削減対象には含まれていないようだ。
ハッブル宇宙望遠鏡への予算は継続される見込みだが、現在準備中のナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡の打ち上げ中止を示唆している。科学分野を担うNASAのゴダード宇宙飛行センター(メリーランド州)は予算カットで深刻な状況になりかねないという。
報道を受けてマスク氏は「Troubling(困った)」とSNSに投稿し、「科学に大賛成だが、残念ながらスペースXは主要な請負業者なので、NASAの予算の議論に参加できない」と続けた。
マスク氏はロケット打ち上げで高シェアを持つスペースXの創業者であると同時に米政府効率化省(DOGE)を実質的に率いている。マスク氏は火星探査を重視しており、費用が膨らんだ有人月面探査計画などへの介入が懸念されていた。
ただ今回はマスク氏が政権の予算削減案に不快感を示した。マスク氏は関税施策を巡り大統領顧問と罵り合いを繰り広げたばかり。トランプ大統領はマスク氏が数カ月で現在の職務を離れる見通しと言及している。
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(更新)- 竹内薫サイエンスライター別の視点
アメリカは、日本よりも(文字通り)桁違いの科学予算があり、その基礎の上に幅広いハイテク技術が乗っている社会構造だと認識しています。基礎(土台)を半分にしたら、その上にある高付加価値の産業も崩れ落ちるわけで、パックス・アメリカーナの終焉を感じます。大勢の優れた研究者が国外に出ようとしていますが、日本はどれくらい受け入れられるでしょうか。
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(更新) - 小玉祥司日本経済新聞社 編集委員ひとこと解説
NASAに限らず、トランプ政権はNIHやCDC,NOAAなどを中心に科学予算を大幅削減しようとしてきました。科学技術力の高さは米国の国力の源泉の一つで、その力を落とすことがいかに米国と世界にマイナスの影響をもたらすかを理解しているのか不安に思います。米国では議会が予算について強い権限を持つので、一期目のトランプ政権では議会が防波堤になりましたが、今回はどこまで議会が防波堤になってくれるのかが注目です。 トランプ政権は月や火星の有人探査には積極的ですが、深宇宙探査や天文学研究といった基礎科学で開発された技術がその後の宇宙開発を推進する力になることも理解するべきです。
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(更新) - 山崎俊彦東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授分析・考察
日本でも予算カット、予算効率化という名目で国家の研究開発費がやり玉にあげられたことがあります。その後、日本の科学技術はどうなったでしょうか。「また余裕がある時に予算をつければいい」というものではありません。一度失われた人材やチーム、技術は二度と元に戻せない状態にまでなるか、そうでなくても復活させるまでに多大なる予算と期間が必要になります。
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