第466話 凄いぞさっちゃん。

 凄いぞさっちゃん。


 ドラゴンにもネフィス家の通過儀礼とも言える”ドラゴンの試練”を受けて貰ったのだが、さっちゃんの魔力値はあっと言う間に10万近くにまで上昇した。

 そこでピタリと止まってしまったので、ドラゴンでの上昇値は此処が限界なのだろうが、最下級とは言え流石天使と言ったところなのだろうか。


「……流石もなにも、凄いのは私じゃなくてアーバン様だと思いますけど……ドラゴンの生成なんて上級天使でも出来ませんよ? しかもあの強さのドラゴンを簡単に倒せる魔道具まで作れてしまえるし」

 

 さっちゃんが何やらぶつぶつ言っている。

 俺もドラゴンの生成なんて出来ないけど? 生成出来る魔道具が作れるってだけで。その魔道具に使われている魔法陣だって、神様とやらが考えた物をそのまま使っているだけだし。


「魔力値10万って、天使の間だとどれぐらいの強さなの?」


「う~ん……すみません、さっぱりわかりません。この数値の基準はアーバン様がご自身で設定した物ですよね?」


 それはそうだ。

 例え神界で魔力量を数字化していたとしても、例えば火球1発分の魔力をこの世界では10としても、神界では1とか逆に100とかに設定してあるかも知れないしな。


「さっちゃんの元の魔力値が3,000だったから、そこから何となく分からない?」


「う~ん、ちょっと分かりませんけど……多分上級天使には届かないと思います……多分……」


「そっか」


 そもそも天使の階級とか良く知らないけど、深堀りするのは止めておこう。

 聞いておいてなんだけど、そんなに興味ないし。


「ことろで、ネフィス家には馴染めそう? まだ3日目でこんな事を聞くのも早い気がするけど……」


「あ~……皆さん大変よくしてくれるんですけど――」


 さっちゃんが顔を曇らせる。


「けど?」


「その~……私がデッキブラシや雑巾を手に取るとパッと持って行ってしまうんですよね~」


「何で?」


 もしかしてさっちゃんはドジっ娘属性持ちなのだろうか?

 さっちゃんが掃除しようとすると壺を割っちゃうとか?


「天使様にそのような事はさせられません! って、毎回言われてしまうんです。このままじゃ私、本当にただの居候になってしまいます~。折角アーバン様に付けて頂いたサマヨエルって名前も誰も呼んでくれませんし、当然さっちゃんとも呼んでくれないんですよ。毎回天使様って呼ばれるんです。これ、アーバン様に対して人間様って言っている様な物じゃないですか……今朝なんて、ヌゼ様やニーナ様まで、出会い頭に深々と頭を下げて挨拶して来たんですよ? メイドの先輩たちは自分を私のお世話係にして下さいって直訴してくるし……私、本当に皆さんと仲良くなれるでしょうか……不安です~」


 それはちょっと違和感がある。

 さっちゃんは天使族ってだけで別に偉い人ってわけじゃない。本人もそんな素振りは微塵も見せていないし。

 周りが天使族を勝手に神聖視している感じはあるが、それにしたってやり過ぎな気がする。

 

「今朝なんてってことは昨日までそこまでじゃなかったですよね?」


「ええ、まぁ。敬語を止めて下さいって言っても止めてもらえなかったぐらいで……」


「ふむ……」


 だとすれば、”ドラゴンの試練”で魔力量を増やした事に原因があるのかな?

 俺にはさっぱり感じられないけど、なんか天使オーラみたいな物が出てて、それが強化されちゃったとか?


「普通に接してくれるのはアーバン様とメシュエルさんぐらいです~。アーバン様も敬語を止めてくれませんけど……」


「ああ、そうだった。俺はデフォルトが敬語よりなんだよ。そう言えば敬語を止めてって言ってたね。今から気を付けるよ」


「わーい!」


 わーいて。子供かな?


 それにしても、このままじゃさっちゃんの日常生活に支障をきたしそうだな。

 魔法的な物が原因なら、抵抗できる魔道具を作れると思うんだけど……とりあえず原因究明から始めますか。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る