九九を覚えている人なら一桁の掛け算は楽に答えられるでしょう。その一方で、二桁どうしの掛け算は筆算を使わないと答えるのが難しいものです。
しかし、二桁の掛け算でも工夫次第では暗算で答えを求められる場合がありますよ。
問題
次の計算を暗算でしなさい。
43×19
※制限時間は10秒です。
解答
正解は、「817」です。
制限時間内に答えられたでしょうか?
「頭の中で筆算をしようとして混乱してしまった」という人は、ぜひ次の「ポイント」をご覧ください。
今回の問題を暗算するための工夫を紹介していますよ。
ポイント
今回の問題のポイントは、「分配法則を使うこと」です。
分配法則とは、「二つの数を足してからある数を掛けること」と「二つの数にある数を掛けてから足すこと」は同じであるという法則です。
<分配法則>
〇×(▲+■)=〇×▲+〇×■
(▲+■)×〇=▲×〇+■×〇
この分配法則が使えるよう、式を次のように変形してみましょう。
43×19
=43×(20−1)
19を「20−1」で表しました。次に、分配法則を使って、次のように計算をします。
43×(20−1)
=43×20−43×1 ←分配法則で( )の中の数それぞれに43を掛ける
=860−43
このように分配法則が使える形にしたのは、10の倍数の計算を作り出すためです。
一般的に10の倍数の掛け算は計算が楽にできます。「43×20」であれば、「43×2」をした答えの末尾に0を付ければよいだけです。二桁どうしの掛け算とはいえ、計算の労力は実質二桁×一桁と同程度になります。
残りは引き算です。
繰り下がりが起きるのが少々面倒ですので、次のように計算するのがおすすめです。
860−43
=860−50+7
=810+7
=817
二行目では、43の代わりに切りのよい50を引いてから、引きすぎてしまった7を後から足しています(50と43の差は7)。
このように計算すると、繰り上がりを回避できるので暗算がしやすくなりますよ。
まとめ
今回は、二桁どうしの掛け算を簡単にする工夫を紹介しました。
この工夫は、掛け算に「あと少しで切りのよくなる数」が使われているときに有効です。今回でいえば、19は切りのよい20に非常に近い数だったため、分配法則による工夫がしやすかったのです。
掛け算を簡単にする工夫にはさまざまなものがあります。いろいろな問題に挑戦して、どんな工夫ができるのかを考えてみると面白いですよ。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
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