「あなたの年金申請は認められません」うつ病女性の涙 精神・発達障害で不支給が2倍増?ナゾを追った
つまり、厳しい判定医に書類が回れば不支給となり、そうではない判定医であれば支給される―という事態があり得る。 また、「精神科医でも発達障害には詳しくない」といったことは珍しくなく、専門ではない医師が審査している可能性もある。ところが、判定医の名前は非公開。専門分野や経験年数も明らかにされていない。 判定医に申請書類が渡される前には、年金機構の職員が「事前判定」をしていて、職員の意向が影響を及ぼしている可能性もあるが、どのような内実なのかはほとんど分からない。事実上「ブラックボックス」だ。そのため「恣意的に判定される恐れがある」との批判が以前から絶えない。 ▽判定基準は半世紀以上変わっていない もちろん、支給の可否や等級を決めるための判定基準は定められている。ところが、基準の基本的な部分は50年以上変わっていない。その結果、どうなっているか。障害年金の受給者のうち、大半を占める2級の基準を見てみると、次のように書かれている。
「病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるもの。家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるもの」 だが現実には、病院や家の中でしか過ごせないなどという2級の受給者は少ない。作業所に通ったり、企業で働いていたりする人がたくさんいる。障害者を取り巻く環境は半世紀前とは大きく変わっているのに、基準は古い考え方のままだ。 そのため、この基準を持ち出されて「あなたの障害はここまで重くないですよね」として、不支給にされるケースも時々ある。 弁護士や社労士らでつくる「障害年金法研究会」は以前から、こうした古い基準の見直しなど制度改正を厚生労働省に求めてきた。3月下旬にも、障害者団体と合同で厚労省に申し入れ書を提出した。 今年は5年に1度の年金制度改革の年に当たるが、高齢者の老齢年金がメインで、障害年金は事実上、何も変わらない。研究会の藤岡毅弁護士は記者会見してこう訴えた。
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