「あなたの年金申請は認められません」うつ病女性の涙 精神・発達障害で不支給が2倍増?ナゾを追った
障害年金の審査は、東京にある年金機構本部が一元的に行っていて、地域の違いは影響しないが、愛知県の白石さんのほか、福島県の菅野峻太さん、群馬県の萩原秀長さん、兵庫県の松岡由将さん、大分県の飯塚泰雄さんに依頼した。 ▽年金機構は「適正に判定している」 この5人の社労士が2023年1~12月に扱った新規の支給申請は全体で1430件。うち不支給と判定されたのは2.9%だった。2024年1~7月では申請917件のうち4.7%となり、1.6倍に増えていた。 精神・発達障害に限ると、23年の不支給割合は2.2%だったが、24年は4.4%で2倍に増えた。一方、知的障害の不支給は23年がゼロで、24年も1件だけだった。 専門の社労士が代行せずに一般の人が自分で申請しているケースを含めると、全体の不支給割合はもっと高い可能性がある。 年金機構は2019年度分から不支給割合などの統計を例年9月に発表している。23年度までの統計では、ここまで大幅に不支給割合が増えたことはない。
なぜ24年はこんなに増えたのか。年金機構に問い合わせたが、「9月に統計を発表するので、増えたかどうか自体、答えられない」という趣旨の回答だった。「審査方法などは変更しておらず、基準に基づき適正に判定している」と答えた。 ▽判定は「ブラックボックス」 結局のところ、不支給が増えた理由はよく分からない。では、そもそも障害年金の審査はどのように行われているのか。 まず、申請は主治医の診断書などの書類を市区町村役場や年金事務所に提出する。書類が年金機構本部に送られ、機構から委託を受けた判定医が書類で審査する。言い換えれば、その障害者本人に会ったこともない医師が障害の程度や支給の可否を決めるということだ。 年金機構によると、機構本部の判定医は今年1月現在、140人いる。ただ、例えば障害者Aさんの申請書類を見るのは、基本的に1人の判定医だけだ。医師も人間。判定の厳しさには個人差が出ざるを得ない。特に、数値などで判断できない精神障害や発達障害では、ばらつきが出やすい。
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