子供のように英雄を目指すのは間違っているだろうか?


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作:生乾きマナティ
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2話 鍛錬


オリ主くんが転生したのはベル君がオラリオ到着、まあダンまち本編開始からだいたい23年くらい前ですね


神時代

 

それは天から下界を見守っていた神々が地上に降り立ち人々と共に生きる時代。

神々の降臨と共にモンスターに虐殺されていた人類は神々より恩恵を授かり新たな時代を切り開いてきた。

未だ残る悲願はあれど、まさしく今は人と神の時代

そんな時代に男...カイルス・レンフォードは生まれてきた。

 

平凡な家に生まれ平和な街で育ったカイルスは3歳の誕生日を迎えたその日から大きく人生を変えていった。

突然かつて()()()()()()()()()()...いわゆる前世を思い出したカイルスは自身が転生したのだと確信していた。

 

かつての名前も曖昧だがそれでも一つだけ確かな願いが心にあった。

 

()()()()()()()()()

 

ヒーロー...この世界ならば英雄と呼ばれる存在への憧憬が思いが溢れんばかりに芽生えてきたのだ。

前世では英雄などただのおとぎ話であったがこの世界では違う。

ここでは英雄は空想の産物ではない、倒すべきモンスターも力を得るための手段も全てが揃っていた。

 

故にカイルスは走り出した

かつて叶えられなかった夢のために

己の存在を世界に刻むために

 

そんな彼が走り出してから2年の歳月を経ていた。

 

 

♦♦♦

 

暖かな日差しが差し込む昼時にカイルスは一人自宅の裏手で日課である剣の素振りを行う

ブンッ...ブンッ...と訓練用の模擬剣が空を切る音だけが響いていた。

 

「相変わらず精が出るねカイルスくん」

 

けだるげな声でそう話しかけられたカイルスは素振りを止めることもなく視線だけを声の主に向ける。

 

「お疲れ様です、ゲルマンさん」

 

そう言われたゲルマンは、ははっと軽く笑い返す。

 

「お疲れなのは君の方だと思うがね。よくそんな毎日鍛錬を続けられるなぁ、おっちゃんがカイルス君くらいの頃はもっと遊んでばかりだったんだが最近の若い子ってのは根性があっていいねぇ」

 

「いえ、俺なんてゲルマンさん達衛兵隊に比べたらまだまだですよ」

 

「毎日欠かさず鍛錬する奴なんてこの町の衛兵には居ないって。」

 

笑うゲルマンは無精ひげをいじりながら答える。

 

「まあ...あんまり急ぎ過ぎるなよ。()()()()()()って言ってもまだ生まれて5年の小僧なんだからな」

 

そう言い残してゲルマンはひらひらと手を振りながら立ち去っていく。

 

(そう...もう5年...恩恵を貰ってから2年か...)

 

剣を置き切り株に腰かけたカイルスはかつての記憶に思いをはせる。

 

(俺が俺になったあの日からすぐに神様にせがんで眷属にしてもらったな...そんでもってずっと鍛えてきた剣の振り方も盾の構え方もゲルマンさん達に教えてもらえそうなことは何でも教えてもらった。ゴブリンだって...補助はあったけど一人で倒せた...けど)

 

先日眠たげな主神に更新してもらったステータスの紙を取り出す。

 

カイルス・レンフォード

 

 Lv.1

 

 力:G 214 

 

 耐久:H 164 

 

 器用:G 203 

 

 敏捷:H 175

 

 魔力:I 82

 

 《魔法》

 

 《スキル》

 

2()()それだけの年月をかけてもこの程度の成長しかしていない。

 

ゲルマンは言った『そんなに若くてこのステータスは凄いぜホントに』

 

周りの大人は言った『あなたが大きくなればこの町は安泰だ』

 

主神はこう言った『まあ我々が与える恩恵ってそんなに簡単に上がるものじゃないからねぇ~』

 

 

強さに近道など無いのだろう、他と比べれば凄いのだろう

それでも成長が遅いと嘆くのは...強欲なのだろうか?

 

カイルスは頭の雑念を振り払い再び剣を手に取り振るい始める。

剣を振ってる間は何も考えないでいれるから。

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