ダフネ・ラウロスが強くても(エリート戦士ぐらい)いいじゃない


メニュー

お気に入り

しおり
作:れいが
▼ページ最下部へ


3/3 

ウチはサイヤ人の誇りとか気にしないから


ウチはダフネ・ラウロス。

第一級冒険者の実力を知るために、アイズ・ヴァレンシュタインと手合わせをさせてもらった。

剣を使う彼女に気遣われて、どうしようかと悩んでからこっちは自前と称してスピリッツソードで使うことにしたわ。

久しぶりに振るったけど受け止めたり回避してた辺り、実力はかなりあるんだなっていうのがウチの感想だよ。

終盤、彼女を投げ飛ばして次の手を考えてるとフィン団長に止められた。

制限時間になったって言ってたけど・・・実際にはまだ3分経過してないっていうのは自分でもわかってたから、多分あれ以上やると危険だと思ったんでしょうね。

フィン団長はウチに何者かって聞いてきたから、ウチはウチって答えておいた。

それから本当にロキ・ファミリアに入団するのか自分自身の気持ちを確かめるように問いかけられて・・・

ウチはロキ・ファミリアへ入団することを決めた。


 試験終了後、ウチら入団希望者はフィン団長の執務室へ向かうことになった。

 

 ・・・なったんだけど、ウチは別で1人だけ廊下で待たされてる。

 まぁ、恩恵も刻んでないのに第一級冒険者とほぼ互角に戦り合ってたからには、詳しく聞かれるのは当然よね。

 

 暫くして、先に話し合いを終えた入団希望者が執務室から出て行ってウチを呼ぶ声が聞こえた。

 

 執務室にはフィン団長以外にロキ様、エルフの綺麗な女の人、ドワーフのおっちゃんも居た。

 

 「待たせてすまなかったね。だけど、君に関しては少し長話になると思ったんだ」

 「そうでしょうね。何となく察してましたから、お気になさらず」

 「ははは、ありがとう。さて・・・まずは紹介しよう、副団長のリヴェリアとガレスだ」

 「よろしくのう。あの時見ておったが、これまたとんでもない新人が来おったなぁ」

 

 見た目通りちょっとジジ臭いガレスのおっちゃん・・・は失礼か、ガレスさんが述べた感想に対してウチは褒め言葉として受けとくことにしたわ。

 一方で、なんかリヴェリア副団長がウチのことをジッと見つめて何かを探ってるのを感じた。

 

 何か不都合なことをしたつもりは・・・あー、アイズを投げ飛ばしたんだった。

 第一級冒険者としてのプライドを傷付けさせたとか言われたらどうしよ。

 

 「2人から試験でのことは聞いたのだが・・・どこか別のファミリアに所属していたのか?」

 

 あ、そっちの方ね・・・てっきりアイズに恥をかかせたことを怒られるのかと思ったわ。

 

 「いえ、入団するのも恩恵を刻んでもらうのも初めてですよ。ね?ロキ様」

 「え?いきなりうちに振られても困るんやけど・・・」

 「だって神様なら嘘を見抜くんですし、ウチが本当のことを言ってるって証明してもらわないと」

 「あ、そゆこと。ママ、ダフネは嘘ついとらんで」

 

 ん?リヴェリアさんが名前でラストネームがママっていうの?

 って思ったら違うみたい。スナックの感じで呼んでる訳でもなくて、ただ母親っぽいからって理由で呼んだのね。

 まぁ、それはそれとしてリヴェリア副団長は信じてくれたけど、次はフィン団長が困った様子で話し始める。

 

 「アイズと互角・・・いや、あのまま止めなかったら、君が勝っていただろうね。

  期待大と言ったところだけど、その反面心配事も増えそうだよ」

 「間違いなくギルドを含め、オラリオ中のファミリアがうるさくなるじゃろうな」

 

 フィン団長とガレスさんがそう言ってるってことは、やっぱりアイズの知名度の高さはオラリオに住んでる誰にでも知られてるんだね。

 はぁ・・・手加減なんてできないとはいえ、投げ飛ばすんじゃなかった・・・

 

 「それは追々考えとけばええやん。まずはダフネちゃんのことについて話し合うや」

 

 ・・・意外とおふざけしてるイメージだったのに、フォローはしてくれるのね。

 そこは神様としての慈悲があるのかな。

 

 「ダフネ、君は・・・ヒューマンじゃなくて獣人でいいのかな?」

 「見たところ、尻尾は生えているが耳は・・・人間のものだな。それならハーフか?」

 

 フィン団長とリヴェリア副団長は、ウチが背凭れの隙間からユラユラさせてる尻尾を見てそう問いかけてきたけど、そうじゃないのよね。

 

 「どっちでもないですよ。ウチはサイヤ人って種族だから、尻尾はその特徴と思ってください」

 「サイヤ人?はて、聞いたことがないのう・・・」

 「絶滅寸前だから知らなくても仕方ないですよ。ウチを含めてもう6人くらいしかいないんですから」

 

 そう答えたらリヴェリア副団長とガレスさんはもとい、フィン団長は特に驚いてた。

 小人族以上に少ないんだからそうなるのも当然か。

 

 でも、ウチはサイヤ人の誇りとかそういうのは気にしてないし過度に同情してほしくないから気にしないでほしいところね。

 

 「先に言わせてもらいますけど、ウチは種族の復興ためとかそんなのは関係なくオラリオに来ました。

  サイヤ人が居なくなることに対して寂しくない、っていうのは嘘になりますけど・・・ウチはウチなりの想いがあってここへ来たと覚えておいてほしいです」

 

 本心を交えながらハッキリとそう言って、3人にウチの気持ちが伝わることを願った。

 

 すると、フィンは自身に何かを言い聞かせて頷いてからウチを見据えてきた。

 

 「わかったよ、ダフネ。僕は君と真逆で種族の復興を掲げているけれど・・・

  そこまで吹っ切れているのなら、君の意思を尊重しよう」

 「ああ。同情は少なくとも不要だということもな」

 「入団するからには、ワシらを頼るようにな。1人で全部を背負いすぎないことじゃ」

 「せやせや。フレイヤんとこと違って、ここは団結力こそがモットーなんやからな!」

 「・・・はい。ありがとうございます」

 

 なるほどね。だからこそ、最大派閥にまで大きくなれたってことか。

 個々での成長差はあるにしても、それを助け合って補う・・・それがロキ・ファミリアの強みなのね。

  

 3人はウチを受け入れてくれるけど、団員の皆はどうかわからない。

 でも、ロキ・ファミリアの一員としてやっていけるように頑張らないとね。

 

 それからファミリアについての行事日程や組織体制とかを教えてもらって、本拠の案内は後でしてもらうことになった。

 

 あ、そうだ。一応、聞いてあれにおいた方がいいよね。ロキ・ファミリアなら余裕だと思うけど。

 

 「質問があるんですけど、ここの食糧事情ってどうなってますか?」

 「ん?そうだね・・・新鮮な食材を除いて、最低でも食糧庫には1週間分の食料を保存しているよ」

 

 ・・・え?ちょっと待って?・・・1週間分だけ?

 

 「それは所属してる団員の食事量から計算して?」

 「そうだ。人数が人数なだけに3食分を用意するにはそれだけ必要となるんだ」

 「一時期はティオナの馬鹿が3日分も平らげ折って、ワシもロキも酒を我慢せざるを得なくなったこともあったのう」

 「あれはほんっまにしんどかったわぁ・・・って、あれ?ダフネ、どないしたん?頭痛いん?」

 

 ・・・痛いです。完全に誤算でした、はい・・・正直、1ヶ月分はあると思ってました・・・

 

 「フィン団長。これはサイヤ人だから仕方ないとしか言えないんですけど・・・

  ウチ、めちゃくちゃ食べるんです」

 「あぁ・・・そうなのかい?まぁ、育ち盛りなのもあるだろうから、遠慮しなくても」

 「いやいや、ウチが食べる量はホントに最低でも・・・人一人が食べる1週間分でして」

 

 微笑ましそうにしていた3人とロキ様の笑みが消えて、空気が一瞬にして凍り付いたのを感じた。

 そりゃそうよね。3日分なんて可愛いもんってことになるんだから・・・

 

 それなら・・・結局、自給自足に戻るしかないわね。

 

 「だから、ウチが食べる分はどうにかします。作るのは得意なので」

 「どうにかとは・・・まさか実費で買うというのか?それはいくらなんでも無理があるぞ」

 「いえ、オラリオの外で調達すればタダですから、心配いりませんよ」

 「そうは言うても1食につき1週間分やろ?いや~厳しいって無理せんときや」

 「本当に大丈夫ですよ。ウチ1人のために食糧事情を変えてもらうなんてちゃんちゃらおかしいですから」

 

 ウチは何とか説得して、自分の食事は自分で用意するってことで話はついたわ。

 リヴェリア副団長は最初こそ、ロキ様に同調していたけど最終的にはファミリア全体のことを考えた結果ウチの提案を渋々だけど飲んでくれたから助かった。

 

 お酒が大好きらしいガレスさんはすごくホッとしてたわ。隠れていたけどロキ様もね。

 

 「それじゃあ・・・ロキに恩恵を刻んでもらった後、皆との顔合わせをしてもらうよ」

 「簡単に名前を言うだけでええから、気楽にやってや」

 「わかりました」

 

 話し合いはそれで終わって、ウチは連れられてロキ様の部屋に向かった。

3/3 



メニュー

お気に入り

しおり

▲ページ最上部へ
Xで読了報告
この作品に感想を書く
この作品を評価する




【安眠特化ASMR】初めての彼女は無気力ダウナー系が気持ちいい。【CV.土屋李央】 [だらだらボイス]
  バイノーラル/ダミヘ ASMR 同級生/同僚 制服 耳かき 日常/生活 無表情