完璧超人になるために!


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作:ゼファー@神界書庫
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プロローグ


唐突に始まる新作。



プロローグ

 

 

「かつて、核に挑んだ男がいた。」

 

「男は肉体を鍛え、精神を鍛え、技を鍛えた。だが…それでも届かぬ高みがあった」

 

「しかし、僕は諦めるわけにはいかなかった」

 

「だから修行を重ねた果て…1つ、答えにたどり着いた」

 

「核で蒸発しないためには…自分が核になればいい」

 

真顔でそんな事をいう彼の名は、シド・カゲノー

生粋のバカである。

 

「頭湧いてんのか。」

 

付き合わされている俺の名はレイ・アルト

目付役である。

 

どう考えたらそんな発想に至るのだろう。

しかし奴は成し遂げた。

影の実力者として、「最強」と呼ぶに相応しい力を持っていた。

 

これは、そんな影の実力者を補佐する、苦労人を描いた物語。

 

 

 

 

 

「欲はチカラなり。」

 

 

それが、僕の座右の銘だ。

欲はチカラなり。人は欲が原動力だ。働くのも勉強をするのもトレーニングをするのも。

全ては欲に行き着く。

 

お金が欲しいという欲を満たすために働く。

テストで良い点を取りたいので勉強する。

スポーツで勝ちたいからトレーニングをする。

 

全ての行動は何かを成し遂げるためだ。

 

 

僕には成し遂げたい事がある。

キッカケは覚えていない。物事ついた時からの目標だ。そのための努力は惜しまなかった。その結果彼は完璧超人だった。成績はオール5、テストも常に満点。身体能力も高く、出来ないスポーツもなく、人気者でもあり、非の打ち所がない人間だった。そんな彼だが、一つだけ手に入らないものがあった。

それは、魔力だ。

 

 

「俺が目指した完璧超人はこの程度じゃない。もっと圧倒的且つスマートだ。」

 

その結果行き着いたのが魔力の獲得だ。

未知なる力を手に入れれば届くはず。

僕が憧れ目指した完璧超人に!

 

 

〜数年がたったある日〜

 

 

 

「おはよう西野さん。」

 

「おはよう、主人(アルト)くん」

 

 

彼女はネームドキャラの西野アカネさん。

現役女子高生でありながら女優としても活動している。

 

当然クラスメイトもアカネが女優をしていることを知っている。アカネと主人の仲が良いことが知られれば、ありもしない噂が広まってしまうかもしれない。それは避けたかったが、俺はほぼ完璧超人!

その点は抜かりない。

 

 アカネさんは幼い頃から子役として活躍していた。しかし中学に入ったころにストーカー被害にあい、芸能活動を休止していた時期がある。

 

 あの事件があってから、彼女は仮面を被るようになった。

 

 

僕は今高校三年生になった。

あれから地獄のような修行の末、魔力はまだ獲得していないが、ありとあらゆる技術を身につける事に成功した。剣道、空手、柔道に合気道、etc……

その過程で気になる奴がいた。

彼の名は「影野実」同じクラス友人だ。

どこにでもいる、特徴がないのが特徴のような奴だが、俺の目は誤魔化せない。

入学してすぐに声をかけ、友好関係を形成した結果、僕は完璧超人、彼は影の実力者。

向かうところは違えど進むべき道は同じ!

と言う感じですぐに意気投合した。

あいつは強い、多分俺の次にはな!

 

 

「影野くん今日時間ない?」

 

「ごめんね、今日はピアノの練習があるから。」

 

「そっか、せっかくいい情報手に入れたのに。君におあつらえ向きの。」

 

「詳しく聞こう。」

 

俺はニヤリと笑うと、とある筋から手に入れた誘拐の情報を彼に渡した。

 

 

「それ本人に伝えなくていいの?」

 

「いいよ、その方が都合がいいしね。」

 

「君も大概だよね。」

 

 

 

その夜…

 

予定通り西野さんが誘拐された。

何故知っているのかって?

その理由はこいつだ。

 

「僕はなんでも知っている。そう、僕に知らないことなんてない、抜き打ちテストの日程だって、持ち物検査の予定、テストの答案だって知っている。」

 

コイツは、同じ高校の奇才である、鳩元流斗(はともとりゅうと)だ、俺たちの協力者であり、その担当は諜報活動。

面白いことや危ない事、そういった事を探らせたら横に出るものはいないだろう。

暴走族の拠点や、ヤクザの事務所など、ボコっても問題にならない奴らの情報を売ってくれる。

そう、情報は買っているのだ。

報酬は奴らのバイクや刀や銃など、つまりはロマン主義者なのだ。

買っているのは情報だけではない。

逃走経路や監視カメラのハッキングなどのオプションも付けている。

ガッツリ犯罪である。

しかし、彼なしでは俺たちの目標には届かない。

そのため、通報したりはしない。

 

 

さて話を戻そう。

 

 

場所は廃工場で人目にはつかない。

天井から中を覗き込んで確認する。

誘拐犯はチンピラに軍人上がりの二人のみと前情報通りだ。元軍人!相手には丁度いい。

俺とミノルはインカムをつけ、目出し帽を被り、

 

「行くぞ、スタイリッシュ暴漢スレイヤー。」

 

「ああ、パーフェクトヒューマン。」

 

そういうと、俺は足元の天窓を思いっきり踏み抜いた。

ガシャン、と。倉庫にガラスの割れる音が響き渡った。

 

「誰だッ!!」

 

 

 月明かりが差し込み、割れたガラスの上に立つ一人の男を照らし出す。

 

彼等は黒いスウェットの上下を着て、黒いワークブーツを履き、一人は顔には黒い目出し帽をかぶっていて、もう一人はピエロのような仮面を付けていた。

 

 

 全身黒ずくめの不審人物達。一見すると誘拐犯の仲間にしか見えない。

 

 コツ、コツ、コツ、と。

 

彼等はブーツを鳴らしながらゆっくりと歩み寄る。

 

「誰だてめぇら!!」

 

 大男が叫ぶ。

 

「俺か――? 俺はただの……スタイリッシュ暴漢スレイヤーと」

 

「通りすがりのパーフェクトヒューマンだ。」

 

 

彼らは堂々とそう言った。

 

「すかしてんじゃねぇ! やれ!」

 

 大男が叫んだと同時に、背後から忍び寄った共犯の男が目出し帽の男にナイフを振り下ろした。

 

 完全な不意打ち――しかし、ピエロの仮面を付けた方が白刃どりで受け止める。

 

「――なッ!?」

 

「月の光で影ができていた――素人だな」

 

 そう言って、彼はそのままナイフの側面に蹴りを叩き込みへし折り、拳を叩きこむ。 黒い衣装と暗い室内のせいもあって、その拳はほとんど見えなかった。

 

 鈍い音が響き、共犯の男は膝から崩れ落ちる。そして、彼はピクリとも動かなくなった。

 

「顎を正確に打ち抜いたか。流石だな。」

 

「この程度か、誘拐犯ども。」

 

 大男がアカネから手を放し立ち上がる。コキコキと首を鳴らし、目出し帽の男を睨んだ。

 

「だが、残念だったな。俺は元軍人でねぇ。」

 

そう言って手に持っていた銃を捨て、ナイフを取り出す元軍人

 

「ああ知っているよ弾かれ者が。手を貸そうか?スタイリッシュ。」

 

「問題ない。俺にはこれがある。」

 

そういって、両手にバールを持ちだす。

 

「バールはいいぞ元軍人、丈夫で携帯性も高く、職質されても言い訳できるかもしれない。そして、トンファーの様に使うこともできる。」

 

そう言いながら、軍人相手のナイフを躱しながら殴りあうスタイリッシュ暴漢スレイヤー。

暗い倉庫が火花に照らされる。

そしてバールは弧を描きナイフを弾いた。

 

「やるな!スタイリッシュ暴漢スレイヤー!しかし!」

 

元軍人が徒手空拳の構えを取り、2、3発拳て距離を測った後、回し蹴りを放つ。

 

あまりの体格差に少しずつ押され始めている。

 

 

「確かにてめぇは強い。それも実戦慣れしてやがる。だがな、一つ大きな弱点がある。てめぇの身長はせいぜい170ってとこか。体重も60そこそこだろう。だが俺は194の115だ。フィジカルが根本的に違うのさ。例えバールを持っていても、俺は頭さえ守っていればいい。だが、てめぇは違う。俺の攻撃を一発でも喰らえば終わりだ。それが体重差ってやつだ」

 

 得意げに語る大男を、目出し帽の男は静かに見返した。

 

「道理だな。今の俺では元軍人一人に手こずる。これが現実だ……だったら、本気を出すとするか」

 

 目出し帽の男の表情が変化する。

 

「!なんだと」

 

「俺はバールに可能性を見出した。まるでトンファーのような形状と、その重量、頑丈さ、携帯性、全てにおいてポテンシャルが高かった。そして夜な夜な騒音を撒き散らす暴走族を殴り続け、一つの結論に辿り着いたのだ……」

 

そう言って次の瞬間トンファーのような持ち方から、シンプルな鈍器としてバールを使い始める。

 

 

「俺がバールで暴走族を殴り続けて辿り着いた結論はな…バールはトンファーとして使うより、普通に殴った方が強いってことだッ!!」

 

「結論鈍器としてつかうのかよ。」

 

男は咄嗟に腕でガードするが、純粋な鈍器の前にガードなど意味をなさず鈍い音と共に呻き声が聞こえる。

 

「グッ、う、腕が…」

 

「折れただろう?コレがバールのポテンシャルだ。角の方で殴るのがコツだ。衝撃が集約されるからな。」

 

そう言って一発また一発と殴る。

 

俺は後ろで素人を縄で縛り、誘拐されていた少女を開放していた。

 

 

「怪我はない?」

 

「ええ、特に。」

 

「そりゃよかった。」

 

 

「終わったぞ、パーフェクト」

 

「こっちもだ、…殺したのか?」

 

手には血塗られたバールが握られていた。

 

「いや、殺してはいない。だが、もうまともに生活は出来ないだろうな、腕と足の骨を全て砕いておいた。」

 

まさに暴力こそパワーな方法だな。

 

「今回の感想は?」

 

「駄目だ……元軍人にこの程度じゃたどり着けない……もっと力を……」

 

 彼は窓の外に浮かぶ月を見上げて、

 

「I need more power……」

 

 と切なげに呟いた。

 

 その姿はまるで、どうしても届かない月に手を伸ばしているかのようだった。

 

 現実に抗うかのように彼は頭を振って振り返る。

 

無駄にカッコつけるな、コイツ。

 

 

「さて、今後帰り道には気をつけるようにな。」

 

 

 そう言い残して、彼らは立ち去っていった。

 

 呆然と彼らの後姿を見送ったアカネは、しばらくしてようやく彼らが自分を助けてくれたことに気づいた。

 

「スタイリッシュ暴漢スレイヤーにパーフェクトヒューマン……彼らはいったい……」

 

 静かな倉庫に、アカネの呟きが響いた。

 




次回の予定は未定
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