ダンジョンに歌声を届けるのは間違っているのだろうか


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作:日緋火灯
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ダンジョンにアイドルを求めるのは間違っているのだろうか


 オラリオ。

 この下界中の人々が集い、栄える世界で唯一ダンジョンを有する迷宮都市。

 種族を問わずあらゆる人、人、人が集うこの場所では自分が恩恵を与える(プロデュースする)に足る子供達がいる。

 そう考えてやまない俺は、とうとうこの地に足を運んできたのだ。

 天を衝く圧倒的な存在感の(バベル)を目の前にして実感する。

 どんな冒険者を育て上げようか、そんな期待感に満ちていると誰かの大声が聞こえてきた。

 

 「自分の【ファミリア】もねえ小娘が舐めた態度取ってんじゃねぇよっ!」

 「は?だから何?あなたたちには関係ないでしょ。しかも私、Lv.2なんだけど?」

 

 怒鳴り声だ。しかも言われている側の女の子は火に油を注いでいる。

 人ごみをかきわけ、騒動の近くまで寄ってみることにした。

 

 「あなた、そんな年になってもまだ一度もランクアップできてないんでしょう?劣等生だから」

 「こん野郎言わせておけば……!!」

 

 煽られている冒険者は怒りが今にも爆発しそうになっている。

 オラリオの冒険者はその仕事柄野蛮な人も多く、トラブルも絶えないと聞く。

 目の前の冒険者も例に漏れず、荒々しい口調で額には血管も浮き出そうだ。

 こんな人はこの迷宮都市(オラリオ)にはいくらでもいる冒険者で。

 おそらくこれは日常風景で、慣れなきゃいけないのだろう。

 しかし自分はなぜかこの場所から離れることができなかった。

 

 「その辺にしとけ。相手はまだガキだろう」

 「逃げるの?私は別にいいけど」

 

 すさまじい目つきで睨みつけながら去る冒険者。

 そのまま同じくどこかへ去ろうとする女の子。

 しかし、俺はそれが見逃せず、引き留めた。

 本当になぜかわからないけれど。

 この子はきっと自分の思う最高の冒険者になってくれる。

 そんな気がした。

 

 「……何ですか?悪いですけど私忙しいんです」

 「あなたに話があります。少し場所を変えましょうか」

 「変えなくていいです。いまここで聞きます」

 「では、率直に」

 

 「あなたをプロデュースさせてください」

 

 目の前の女の子が、少しだけキョトンとした顔になる。

 

 「ぷ……プロ……?」

 「あなたに恩恵を授けて、私の【ファミリア】に加入してもらうんです」

 

 女の子はすぐに納得した顔になり、すぐに表情を固めた。

 

 「ファミリアの勧誘ですか。……お断りします」

 

 そう言うと、ダッ!と説得する暇もなくオラリオの街へと消えていった。

 さっきの会話の内容的にはLv2の眷属だ。所詮一般神(いっぱんじん)である俺にはとても追いつきようがない。

 ……しかし、断られてしまった。

 やはり一般的な子供達は【ファミリア】、神の眷属となるのは重大事項で、簡単にはいかないものらしい。

 受け取ることのできる恩恵はどの神も変わらないのだが、もう既に【ファミリア】に加入している場合鞍替えするのは容易なことではないのだろう。

 しかしさきほど女の子は【ファミリア】未所属のようなことを言われてはいなかっただろうか?

 少し気になってくる。

 どちらにせよ、名前すらわからないのでは探りようがない。

 あの少女への興味は一度棚に上げ、改めて『ギルド』へオラリオの新規ファミリアを旗揚げすることを男神(ウラノス)に報告しようと足を運びだした。

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