マイナンバーカード活用で不正転売がゼロに。ハロプロなどのライブチケットで実証実験
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人口に対する保有枚数率が78%に達した「マイナンバーカード」だが、民間企業の活用事例も徐々に増えてきている(2025年3月28日時点)。 【全画像をみる】マイナンバーカード活用で不正転売がゼロに。ハロプロなどのライブチケットで実証実験 デジタル庁と、「モーニング娘。’25」などが所属する芸能プロダクション・アップフロント、電子チケット発券システムなどを開発するplaygroundは、マイナンバーカードを活用し、チケット不正転売防止と業務効率化を目的とした実証実験を、実際のライブイベントで実施した。 実証実験の会場となったイベントは、3月21日に開催された「モーニング娘。小田さくらバースデーイベント ~さくらのしらべ14~」と、3月29、30日に開催された「Hello! Project ひなフェス 2025」の2つ。 そのうち、3月29日の様子を取材した。マイナンバーカードが民間イベントでどのように活用されているのか解説しよう。
本人認証電子チケットは「不正転売なし」
対象となるイベントでは、チケットの一部を、購入時にマイナンバーカードによる本人認証と顔情報の登録を経た電子チケットとして販売した。 具体的には、電子チケットの抽選販売申込時に、デジタル庁の「デジタル認証アプリ」とマイナンバーカードを利用した本人認証と、顔情報の登録を実施し、その双方が完了したアカウントのみ抽選対象とした。 これにより、1人が複数アカウントを利用したチケット抽選応募や、購入したチケットの本人以外の利用を排除し、チケットの不正転売を防止できるか検証した。 今回、この方式で販売された電子チケットの割合は以下の通り。 「モーニング娘。小田さくらバースデーイベント ~さくらのしらべ14~」全2公演:2000人分のチケットのうち約28%「Hello! Project ひなフェス 2025」全4公演:約2万2000人分のチケットのうち約13% 今回、マイナンバーカードによる本人認証と顔情報登録を経て販売された電子チケットでは、不正転売は一切確認されなかったという。同時に、抽選応募についても、1人が複数アカウントを利用した応募は確認されなかったそうだ。 一方、取材した「Hello! Project ひなフェス 2025」では、上記以外の方法で販売された紙チケットのうち約300枚が不正転売されていることを把握していたという。 このことから、主催者のアップフロントプロモーション、電子チケット発券クラウドシステム「MOALA Ticket」を運営するplaygroundともに、「(認証済み電子チケットは)不正転売防止に大きな効果があった」とコメントした。
待機列とシステム開発の両面で業務効率化
今回の認証済み電子チケットは、抽選時に顔情報の登録も必須としたが、顔情報はイベント会場入場時の本人確認に利用されている。 チケット購入時には専用のQRコードを発行し、入場時には顔の横にQRコードを表示したスマートフォンを掲げてもらい、入場ゲートのスタッフが入場者の顔とQRコードをタブレットで同時に読み込むことで、本人確認とチケット確認を実施している。 この確認フローにより、イベント運営時の省人化や業務効率化につながるかどうか検証された。
平澤寿康[フリーライター]
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