ドイツ保革連立政権が5月発足へ トランプ関税圧力の中、政策合意を発表

記者会見するキリスト教民主同盟のメルツ党首(左)と社会民主党のクリンクバイル党首=9日、ベルリン(ロイター=共同)
記者会見するキリスト教民主同盟のメルツ党首(左)と社会民主党のクリンクバイル党首=9日、ベルリン(ロイター=共同)

【パリ=三井美奈】2月のドイツ連邦下院選で首位になった保守政党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)とショルツ首相の中道左派、社会民主党(SPD)が9日、連立政権樹立に合意した。メルツCDU党首を首相とする新政権が5月前半に発足する見通しとなった。

両派による保革大連立は、2021年まで続いたメルケル政権以来となる。メルツ氏は9日の記者会見で、「われわれは国を前進させるための力強い計画を持っている。欧州連合(EU)に対しても強いシグナルになる」と訴えた。トランプ米政権の関税圧力がドイツ産業界を揺さぶる中、早期政権発足を求める圧力が強まっていた。

発表された政策合意文書には、経済テコ入れに向けた法人減税のほか、電気自動車(EV)購入を促すための減税措置が盛り込まれた。不法移民取り締まりを厳しくし、欧州連合(EU)による対策の強化を目指す方針も明記された。新政権の発足には、それぞれの党内での承認手続きが必要となる。

ドイツでは昨年11月、ショルツ連立政権が崩壊し、前倒し総選挙が行われた。新議会では移民排斥を掲げる右派「ドイツのための選択肢」が第2党に伸長し、SPDは第3党になった。

会員限定記事

会員サービス詳細