京都府立大学下鴨キャンパス(京都市左京区)の校舎の約半数が耐震不足に陥っていることに、学生や教員が懸念を強めている。耐震化率は約52%と全国の大学の半分程度と極端に低く、壁にひびが入ったり、天井に穴が開いたりと老朽化も進む。府立大では体育館が一時、京都府が300億円以上を投じる京都アリーナ(仮称)の候補地として脚光を浴びたが、その陰で校舎建て替えの議論は進まず、予算計上のめどは立たない。学生らは「日々、命の危険を感じている。早急に対策を講じてほしい」と訴えている。

 「よく見るとあちこちにひびが入ってますね」。2020年に退職し、共同研究員として勤務する中島正雄名誉教授(70)は亀裂だらけの校舎内の廊下を歩きながら、ため息をついた。直径10センチほどの穴が開いた天井もあり、「3年くらい前からそのまま。時々、えたいの知れない液体が落ちてくるんです」