2018年6月20日(水)

列車内痴漢に無罪判決 捜査初期から供述に食い違い、地裁「勘違いの可能性、払拭できず」

さいたま地方裁判所=さいたま市浦和区高砂

 JR宇都宮線の列車内で女性の体を触ったとして、埼玉県迷惑行為防止条例違反の罪に問われた、さいたま市桜区、中国籍の会社員男性被告(32)の判決公判が20日、さいたま地裁で開かれ、四宮知彦裁判官は「女性の勘違いや思い込みに基づく可能性を払拭(ふっしょく)できない」として、無罪(求刑・罰金30万円)を言い渡した。

 判決理由で四宮裁判官は、体を触られたとする女性=当時(20)=の供述について、「仮睡状態や目覚めた直後だった可能性が払拭できず、通常は自らの身に何が起こっているかを正しく認識することは困難」と指摘。触られた感覚やその際に見た被告の左手の状態、直後に被告の左手をつかんだという供述が、「捜査初期から重大な食い違いがあり、二転三転している」とした。

 被告が座席に置いたバッグが接触した可能性もあるとした上で、「唯一の直接証拠である供述の信用性に疑問が残り、他に犯行を裏付ける的確な証拠もない」と述べた。

 男性は2016年4月15日午前6時ごろ、JR浦和~さいたま新都心間を走行中の宇都宮線下り列車内で、隣に座っていた女性の尻などを着衣の上から触ったとして在宅起訴されていた。

 さいたま地検の古谷伸彦次席検事は「判決内容を精査し、適切に対処したい」とコメントした。

back button icon