電車内で女性に痴漢をしたとして、県迷惑行為防止条例違反の罪に問われた東京都の会社員男性(37)の判決公判が9日、さいたま地裁で行われ、仁藤佳海裁判官は男性に無罪(求刑罰金50万円)を言い渡した。
起訴状などによると、男性は昨年3月、東武東上線朝霞駅から朝霞台駅へ向かう電車の中で、女性の尻を服の上から触ったとして現行犯逮捕され、同7月に在宅起訴された。公判では、女性が自分の尻を触る男性の手を捕まえたとする際の状況などが争点となった。
判決で仁藤裁判官は、女性が被害に遭ったことは信用できるとする一方、女性の供述から「犯人の手に触れて直ちにその手をつかんだものではないことがうかがえる」として、つかんだ手が犯人以外のものだった可能性を指摘。男性の犯行と断定するには、「合理的な疑いが残る」としている。
さいたま地検の片山巌次席検事は「上級庁と協議の上、適切に対処したい」とコメントした。