【トランプ氏が揺さぶるTPPの真実】トランプ氏“論破法”を伝授 TPP・農業分野での矛盾点を突け
これは明らかに、トランプ氏が重視する「フェアの精神」に反するから、「参った!」となる。
そこで日本は畳み掛ける。主要農業先進国に「国内補助金をなくそう」と提案すればいい。TPP参加国で、補助金を全廃したニュージーランドや、ほぼゼロのオーストラリア、潤沢に補助金を使えない日米両国、新興国のTPP諸国が賛同するはずだ。
もちろん、補助金を失いたくない米国農家は反発する。日本の首相はこう発言すればいい。
「米国の農業補助金は自助自立の建国精神に反している。独立のフロンティア・スピリットを失っているのではないか」
あとは、米国の農家や消費者、政治家の間で「農業補助金は必要か」という議論が繰り広げられ、多数決で撤廃の方向に進む。これはまさに、トランプ氏が十八番とする交渉手法だ。極論をぶつけて議論をリードする。彼の演説やディベートを分析してきたが、美点は「交渉巧者をリスペクトする」ことだ。
日本にとって重要なのは、トランプの交渉術に「大人のゲーム」として対抗できる、政治リーダーがいるかどうかだ。 =おわり
■浅川芳裕(あさかわ・よしひろ) 1974年、山口市生まれ。ジャーナリスト。「農業ビジネス」編集長。カイロ大学中退後、ソニーガルフ中東市場専門官(ドバイ)、「農業経営者」副編集長などを歴任。著書に『日本は世界5位の農業大国』(講談社)、『TPPで日本は世界一の農業大国になる』(ベストセラーズ)、訳書に『国家を喰らう官僚たちアメリカを乗っ取る新支配階級』(新潮社)など。