PEファンドで働いてる人たちはどんな出自だろうか。多くのファンドではメンバーの名前と顔写真、経歴を乗せているので大体の傾向がつかめる
業界全体ベースとなるが、学歴については東大と慶應で全体の6割程度、それに京大、一橋、早稲田と続く。この5大学だけで8割近くになるのではないか。それ以外に旧帝大と一部の私立大学となる
MARCHクラスはほとんど見かけないがいないわけではない。ただし前職が総合商社での事業投資経験者や証券会社で部長、執行役員を張っていたキレキレの経歴の持ち主に限られる
これに海外MBAがチラホラ見受けられる。特に外資PEだと海外MBAホルダーは半数近くになるのではないか
続いて職歴だが、やはり外銀や日系の投資銀行、戦略コンサルや総合コンサルが目立つ。これにFAS出身の会計士、USCPAがチラホラ、そしてまれに弁護士がいたりもする
中には証券会社時代に取得したのか米国証券アナリストであるCFAや日本の証券アナリストホルダーもいる
PEファンドにあるのは人と投資先の株式しかない。そのメンバーの経歴や投資実績が信用を形作っている。だからある程度映える人をとらなければならないのだろう
もちろん新卒で採用しているところはない。ある動画では、PEに行きたいならゴールドマンサックス、マッキンゼー、三菱商事に入るべきとも言っていた。なるほど、この3社に入れば、有名どころの外資PEであるカーライル、ブラックストーン、KKRなども狙えるかもしれない
さて、PEファンドのビジネスが安く株を買い高く売る。その間に投資先のバリューアップを図るということは何度も言ってきた。そう考えるとあの資格保持者はいないのかと疑問に思わないだろうか
そう、中小企業診断士である。国内で唯一の経営コンサルタント資格である。実務経験も兼ね合わせればPEファンドから引く手数多のはずである
中小企業診断士ホルダーのPEファンドメンバーについて路地裏は寡聞にして知らない
なぜいないのだろうか?その考察を始めると長くなるので一旦ここでまでとしたい
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VCとPEでは投資対象、EXITなどが全く異なるため、求められるスキルも大分違ったものとなる
PEは成熟した会社を安く買い、高く売ることで利益を得る。また、既存の企業からノンコア事業を切り出すカーブアウトを行うケースもある
大抵はより成長が見込める同業他社への売却であるが、一部IPOによるEXITもありうる。これらのトランザクションにはM&Aや会計、税務の知識が不可欠である。また、投資先の経営権を持ち、ハンズオンで支援を行うため、経営コンサルティングの経験も必要である
したがって、PEではインベストメントバンカーや戦略コンサル、業務コンサル出身者が好まれる。また組織再編がらみでストラクチャーの検討も必要なため、FAS出身の会計士、税理士も採用候補に入る
一方、VCでは投資先のスタートアップ企業においてまだビジネスモデルが確立していなかったり、事業計画がなかったりする。そのため、ファイナンスや会計の業務経験はあまり問われない。むしろ、最先端のテック業界の知見や好奇心を持つ者が好まれる。戦略コンサルや企業経験がある者も含まれる
意外だったのは転職エージェントもVCに入社していることである。スタートアップ投資成功の秘訣は事業と経営チームの目利きである。多くの人財を見極めてスタートアップへの転職をサポートしたエージェントの経験が生かせ易いのかもしれない
ではVCとPEどちらを目指せばいいのか?これは嗜好によるところが大きい。あたらしいビジネスやビジネスモデルに興味があるならVC、合理的に利益を追求したい、複雑なストラクチャーに興味があるならPEではないか
待遇面だけで割り切るならばPEの方が給与がいい。これはファンド預かり資産に2%を乗じたファンド運営費が給与の原資となるため、投資サイズが大きく預かり資産も大きくなるPEの方が高くなる
もちろん給与だけがすべてではない。PEは有体に言えば転売屋なところがある。あまり対象会社のビジネスに興味を持っていない(もちろん興味がないと投資できないが、投資対象として金が産めるかどうかという意味において、興味があるかもしれない)。
新しいビジネスを大きくしたいと考えるならVC、ファイナンスやストラクチャを用いて金稼ぎがしたいならPEという傾向は当たらずとも遠からずと言った印象である
ファンドは投資対象によりさまざまなものが存在するが、株式を投資対象としたファンドの場合、上場株式または非上場株式かの違いで分類できる
非上場株式を投資するファンドはプライベートエクイティファンド、PEファンドに分類される。PEファンドと対照的に論じられるのがスタートアップに投資するベンチャーキャピタル、VCであるがこのVCもPEファンドといえる
もっともVC、PEの違いは投資先のステージによるものだ。VCはスタートアップ、PEは成熟した会社が投資対象となる。したがって投資手法や投資方針も全く異なる
VCはスタートアップの著しい成長に期待して成長資金を供給する。もちろんそのスタートアップの成否には高い不確実性が伴う。そのため1~5億円程度の小口の資金を多くのスタートアップに供給する。多産多死型の投資である
しかしそれでは投資先に十分な資金を提供できないことから通常複数のVCが同一の条件で投資することが多い
PEファンドは成熟した中堅中小企業を対象とする。しっかりとした事業基盤と安定した業績、キャッシュフローを生むが、後継者不在、先行きがじり貧で何らかの変革が必要な企業がPE投資に適している
投資資金は数十億~数千億に達することもある。手堅いリターンを求め、投資額も大きいことから年に1,2件程度しか投資しないファンドも多い
追加投資が必要な場合は、リスク管理の観点で他のPEとの共同出資というケースもあるが、投資先の意思決定や業務執行を迅速に行う体制が必要なため、PE1社のみの単独投資が多い
VCは成長資金の供給、PEは変革を目的としている。そのため、VCは現経営陣の方針を尊重することから議決権比率も5~20%程度しか獲得しない。一方でPEは投資先の構造改革を伴うことが多いため、議決権の過半を抑えてガバナンスの変更が一般的である
また投資先の成長を実現するために、VCの投資はPEと異なりLBOファイナンスを用いることはめったにない。投資先の成長のために多額の投資を行う一方で、その大半をLBOファイナンスで調達して投資先に負担させては本末転倒だからだ
投資実行後の投資先への関与もVCはPEに比べると限定的である。取締役を派遣することもあるが、ビジネスマッチングや経営人材の紹介などにとどまり、PEほど経営への関与は強くない
知り合いのベンチャーキャピタリストは、投資するまでは経営者はすり寄ってくるが、投資資金を得た後は手のひらを返したように全くこちらの言うことを聴かなくなる。僕らにできることはせいぜい毎日神社に行って、早く投資先がIPOしますようにって祈ることくらいですよ、と自嘲気味に言った
こうしてみるとVCはPEよりも友好的で投資先にやさしいかもしれない。しかし、VCにも投資先に対する闇は存在する。それについては次の機会に譲りたい