アプリ売上が突然死した話
X(Twitter)でよく「今月の売上は何百万でした!」的なポストが流れてきますが、詳細がわからないと毒にも薬にもならない情報だし、人は成功談よりも失敗談からのほうが学べる事が多いので、自らが体験した(今も継続中の)失敗談を公開しようと思います。
40歳からゲームを作り始めてもうすぐ9年になりますが、一番売り上げが良かったのはゲームを作り始めて5年目、2021年の頃でした。4本目にリリースしたスマートフォン向けRPG「DarkBlood」が結構ダウンロードされていて、特にGoogle Playでは毎日3桁ダウンロードされていました。
広告を打ったり積極的に広報をしたわけではなかったのですが、英語以外の言語に対応させたことが功を奏して、南米やヨーロッパ、ロシアやアジア圏でダウンロードされるようになったことが大きかったようです。
https://www.asobuild.net/game/darkblood-1
また2019年には、中国のパブリッシャーと契約して中国市場(TapTapなど)での公開が始まると、全体の売上げのおよそ半分を占めるほどになりました。
こんな感じで売り上げが順調に伸びていたので、2020年に法人成りして、これから人も雇って事業拡大していくぞ!と息巻いていたのです。
それはある日、突然に
DrakBloodの売上は主にGooglePlay、それも海外でのダウンロードで、好調な月は5桁ほどダウンロードされていたので、このまま行けば100万ダウンロードも夢じゃないな。なんて思っていた矢先のこと、GooglePlayConsoleを開いてみて目を疑いました。
「あれ、ダウンロード数が10分の1になってる・・・」
実は、これまでもダウンロード数はだいたい1年周期でピークを迎え、また徐々に落ちていくの繰り返しでした。なので、また数日もすれば持ち直してくれるだろうと呑気に構えていたけれど、数ヶ月経っても上昇の気配はなし。
売り上げが減った原因は、ストアの訪問数が10分の1ほどに落ちたことによるダウンロード数の激減でした。なのでGooglePlayのワード検索の仕様が変わったことも考えられたので、説明文などを変えてみたけれど変化は無し。
もう一つ考えられるのはアプリの不具合。ダウンロード数が増えていくと中にはアプリが途中で落ちたとか、広告が流れずゲームが進められない、といったトラブルもちらほら見られるようになったので、その都度対応していきました。それでも全く変化はなし。
そんな折、ありがたいことにGoogleから#WE ARE PLAYの九州エリアに選出していただきました。
https://play.google.com/intl/ja/console/about/weareplay-japan/
代表作品としてダークブラッドを取り上げてもらっていますが、皮肉なことに絶賛売上げ減少中だったので、東京で開催されるGooglePlayのイベントに招待された際に、担当者の方に直接事情を話して問い合わせることができました。
数日後、GooglePlayの担当者の方から来た内容は『2022年9月にAndroid Vitalsの値が「不正な動作のしきい値」を超えたため、ストアでの表示が著しく制限されてしまい、その結果ストアの訪問数が大幅に減ったと思われる。なので、その問題を解決すれば少しずつストア訪問数も元の状態に戻るはず』
ということでした。
基本的にGooglePlayでは1ヶ月以上前の過去(今回は2年以上前)のしきい値超過の詳細を見ることはできません。できれば、しきい値を超えた際に何があったのかを記録できる仕組み(Integrity APIレスポンスをサーバーに送ってログ化)を実装するのがベストです。不正利用や異常なアクセスを自前でログ化しておくことが将来の調査に役立ちます。私はそのような仕組みを取り入れていませんでした。なので手当たり次第怪しいところを修正していくしかありません。
苦労して対応をした結果___
この通り、全く上昇の気配すらなし。
メールで担当者に理由を再び尋ねてみましたが、いまだ返信はない状況です。(#WE ARE PLAYに選んでいただいた作品なのに冷たい…)
もしこの状態から抜け出す方法を知っている、という人がいらっしゃったらご連絡ください。ちゃんとお仕事として正式にお願いしたいです。
あとダークブラッドは中国のパブリッシャーの契約も切れたので「うちならまたヒットさせられる!」と自身があるパブリッシャーさんがいましたら、遠慮なくお声がけください。
泣きっ面に蜂
実はこのタイミングの半年ほど前に、大事件がおきていました。
あれだけ好調だった中国のストアの売上が、ほぼゼロになったのです。
中国市場では毎月5桁のダウンロードをされていて、2021年末の累計では50万ダウンロードに達していたのですが、2022年の1月に突然ストアから削除されてしまったのです。
中国政府の意向で2021年の夏頃から外国産のゲームを締め出す動きがあったのですが、ついに2022年の1月、提携していた中国のパブリッシャーが上海政府に呼び出されて「版号」を取得していないゲームを公開すると罰金を課すと通告されたそうなのです。そのパブリッシャーは170本近いゲームを取り扱っていたのですが、翌日には全て停止したそうです。
こればかりは個人の努力でなんとかできる話ではなく、中国政府の意向なので仕方ありません。とはいえ、中国の売上は全体の半分を占めていた状況だったので、ある日突然ゼロになったのはショックでした。こんなことなら法人化しなければよかったと思いましたが後の祭りです。
つまり中国市場の締め出しで収益は半分になり、さらにGooglePlayの売上も10分の1になってしまったので、実質ダークブラッドの売上は全盛期の20分の1になってしまいました。
その後、ダークブラッドの続編や新作をリリースしましたが、全てのゲームの売上を足しても、全盛期の5分の1ほどです。
そんなに売上が落ちて、どうやって暮らしているの?と思われるでしょうが、もともと建築の仕事をしていたので、店舗設計の図面を引くアルバイトをしたり、あるゲーム制作チームのお手伝いなどをして食いつないでいます。(メタバースの新規事業も立ち上げましたが、収益の柱にはなっていません)
この記事を読まれている方で、リリースしたゲームが売れていて順風満帆にやれている人もいるでしょうが、やっぱり人生一寸先は闇です。
ここからみなさんに学んでいただきたいことは、生存のためのルートはいくつも用意しておくべきだということです。
命綱の1本が切れても奈落の底に落ちてしまわないよう、何本も命綱を用意しておくべきです。僕は予備の命綱が細かったので、死にはしなかったけれど登れず宙ぶらりん状態です。
最後に
そんな感じで非常に苦しい状況ではありますが、再浮上を目指して新たなゲームを日々開発しています。建築の仕事に戻るという選択肢も残されていますが、せっかくチャレンジしたからにはできる限り悪あがきしてみようと思っています。一応自分の中では、50歳を迎える2026年4月までやってみて、上昇の兆しがなかったらゲーム制作は趣味に戻す(お金をかけずに楽しく作る)かな、などと考えてはいますが。
あと最後にPRになりますが、ダークブラッドの続編を大幅にリブートして、PCで遊べるようにした新作「DarkBlood -Reverse-」を6月末にリリースする予定です。
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