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マッキンゼー流 クライアントの心を動かす プレゼン資料と伝え方のコツ(全5記事)

マッキンゼーのマネージャーが「資料を作る前」に準備する すべてのアウトプットを支える論理的なフレームワーク

次世代の変革をリードする20~30代のハイクラス向けキャリアアップ支援サービス「MELIUS(メリウス)」のマネジメントセミナーに、元マッキンゼーで現在はMELIUS事業責任者を務める田中直道氏が登壇。ピラミッドストラクチャーを作る際のポイントや、ピラミッドストラクチャーの「縦方向」と「横方向」の考え方などを解説しました。

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ピラミッドストラクチャーを作る際のポイント

田中直道氏:ここまでピラミッドストラクチャーの基礎を説明してきましたが、このフレームワークは一番上に言いたいことを置き、それを下支えする根拠に分解していく構造です。これを作る際のポイントについて触れていきます。

具体的には、「縦方向」と「横方向」の意識が重要です。

まず、縦方向のポイントとして、階層構造が明確であることが挙げられます。サブピラミッドの要素は、必ず上位のメッセージを支える内容になっている必要があります。つまり、下位の要素が上位のメッセージをしっかりと支えるかたちに昇華されていることが重要です。

ピラミッドストラクチャーを作る際の基本は、上の主張が下の根拠によって支えられ、逆に下の根拠から上の主張が導き出せるようにすることです。この行き来がスムーズにできる状態を作ることが重要です。

次に、論理的な整理についてです。「論理整合的に」という言葉がスライドにありますが、具体的には、横方向の粒度を揃えることが挙げられます。同じレベル感の内容を並べる、並列関係を保つ、または時系列に沿って整理するなど、一定の法則性を持たせることが必要です。

また、MECE(ミーシー)という考え方に基づき、抜け漏れや重複がないように情報を整理することもポイントです。

ピラミッドストラクチャーの「縦方向」と「横方向」の考え方

では、これを実際にピラミッドストラクチャーに落とし込んだ例を見てみましょう。

一番上のメッセージとして、「より良いエネルギーへの転換が遅れると、種の滅亡が現実化する」という主張があります。これを支えるための根拠として、「2050年までに危険な気候変動の発生が確実視されている」と「2050年までに深刻なエネルギー不足に陥る可能性がある」という2つのポイントがあります。この2つがあることで、一番上のメッセージを支える構造が成り立っています。

さらに、この「危険な気候変動の発生が確実視されている」という根拠を分解すると、「気温上昇が危険水域に達する可能性がある」や「CO2の排出によって気温が上昇する」といった具体的な要素が出てきます。このように、上位のメッセージが下位の根拠によってしっかりと支えられる構造を作ることが、ピラミッドストラクチャーの基本です。

次に、このピラミッドストラクチャーを基に「何を伝えたいのか」を整理するプロセスに進みます。

スライドにある「エグゼクティブサマリー」という言葉は、いわゆる伝えたいことの骨子やストーリーラインを指します。このストラクチャーを使って最も言いたいことを一言で表現すると、「より良いエネルギーへの転換が遅れると、種の滅亡が現実化する」というメッセージになります。

このエグゼクティブサマリーが、ピラミッドストラクチャーの頂点に位置する最も重要なメッセージです。そして、そのメッセージを支えるための具体的な根拠や内容を、この構造の中に整理していくことで、伝えたいことをより効果的に相手に届けることができるようになります。

私自身も、SlackやWordでメモを取る際に、いちいち図解はしませんが、このエグゼクティブサマリーの形式で階層構造を意識して整理するようにしています。

マッキンゼーのマネージャーが「資料を作る前」に準備するもの

マッキンゼー時代で言うと、まずマネージャーが全体のストーリーラインを作成するところから始まります。

このストーリーラインを基に、各ポイントについてメンバーにタスクを割り振ります。「このメッセージを支えるために必要な情報を調べてきて」とか、「この部分をこういうかたちで説明して」といった具合です。ストーリーラインの作成は、クライアントにメッセージを伝える際の根幹となる作業です。

エグゼクティブサマリーを先に作ってから、「PowerPoint」の資料に落とし込んだり、クライアントに送るメールやメモを書く際も、このピラミッドストラクチャーを基に進めます。基本的に、すべてのアウトプットの土台となるのが、このエグゼクティブサマリー、つまりピラミッドストラクチャーをテキスト化したものです。どんな種類のコミュニケーションでも、このサマリーを作成することがポイントになります。

エグゼクティブサマリーを使った本部長への提案例

例えば、先ほどお話しした冷蔵庫の企画のケースをエグゼクティブサマリーのかたちに落とし込んでみると、以下のようになります。

まず、黒ポチのメッセージだけを見ると、重要なポイントは次の2つです。1つ目は、「家庭用冷蔵庫市場、特に500リットル以上の冷蔵庫において、共働き世帯をターゲットに家事の軽減につながる訴求をした商品を企画するべきだ」と考えられること。

2つ目は、「具体的な打ち手については、より精緻な調査が必要であるが、現時点での仮説としていくつかの方向性が考えられる」ということです。これが全体のストーリーラインの骨子です。

では、この「家事の軽減につながる訴求をした商品を企画すべき」という主張を支える根拠について考えます。例えば、冷蔵庫の販売台数は減少していないものの、販売単価が直近で下落している、というデータがあります。

「じゃあ、この平均単価の減少を防ぐために何をすべきなのか?」という点について考えてみます。まず、冷蔵庫の購入者データを分析すると、約50パーセントが週5回以上家で夕食を食べる共働き夫婦であることがわかりました。

さらに、この50パーセントを分解してみると、購入者の85パーセントが夫婦世帯で、そのうち共働き世帯の割合は81パーセントです。この共働き夫婦の74パーセントが、週5回以上家で夕食を食べています。このように、85パーセント×81パーセント×74パーセントという形で計算すると、全体の約50パーセントが「週5回以上家で夕食を食べる共働き夫婦」であることが裏付けられます。

エグゼクティブサマリーの活用で提案を強化する

次に、「共働き夫婦にはどのようなニーズがあるのか?」を把握するためにユーザーインタビューを実施しました。その結果、共働き夫婦の約2人に1人が、「その日に作る料理に必要な食材を買い足すために、週2回以上仕事帰りにスーパーに寄る」という行動をしていることがわかりました。さらに、これが彼らにとって大きなストレスになっているという課題が浮き彫りになりました。

これらのデータを基に、「この課題を解決するためにどうするか」という提案を作成しました。具体的には、共働き夫婦の負担を軽減するような商品企画やサービスを設計し、家事の効率化を支援する方向性を示しています。

こうしたストーリーは、今回の本部長への説明の骨子となりました。

今回は結論ファーストの王道スタイルを採用し、まず「単価の下落が問題である」という前提をしっかりとインプットしました。

また、本部長が着任したばかりで情報が十分に整理されていない可能性を考慮し、共通認識を醸成するために、データやサーベイ結果を基にした基盤情報を伝えました。最後に、ユーザーインタビューの結果を提示し、顧客の具体的なニーズや課題に基づいた提案を組み込むことで、議論の土台を強化しました。

このミーティングの目的は、打ち手の方向性に関する仮説を共有し、それに対して意見をもらうことでした。そのため、エグゼクティブサマリーの中でも2つ目のポイントである「具体的な打ち手」に関して、現時点での仮説を提示しました。例えば、「スマホ連携可能なAI搭載冷蔵庫によって家事効率を高める施策を進めるべきではないか」という方向性を示し、これに対するフィードバックを得ることを目指しています。

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マッキンゼー流 クライアントの心を動かす プレゼン資料と伝え方のコツ(全5記事)

資料は3日前に完成 「伝え方」で差がつく、マッキンゼー流プレゼン準備術

次世代の変革をリードする20~30代のハイクラス向けキャリアアップ支援サービス「MELIUS(メリウス)」のマネジメントセミナーに、元マッキンゼーで現在はMELIUS事業責任者を務める田中直道氏が登壇。「聞き手を理解する」ためのフレームについて解説しました。

資料は3日前までに完成し、「伝え方」に全力投球

田中直道氏:よろしくお願いします。簡単に自己紹介をさせていただきます。私は「MELIUS」というハイクラス向けの人材紹介事業を立ち上げ、その責任者をしている田中と申します。

我々MELIUSは、キャリア実現の1つの手段として転職を捉えており、転職活動だけでなく、スキルやマインドの向上を通じてケイパビリティをアップさせることを目指しています。このような考えのもと、マネジメントセミナーなども行っています。今回のセミナーは6回目で、これまで中間管理職の方や、将来的にマネジメントに携わる予定の若手の方々にも多く参加いただいています。

今回のテーマは、問題解決の最終段階、つまり「中身が出来上がった時に、それをどう伝えるか」というプレゼンテーションが中心です。将来、チームをリードする際に役立てていただければと思います。

今日は座学形式ですが、すでにマネジメントをされている方は現場をイメージして、これからマネジメントを始める方は「田中がこんなことを言っていたな」と思い出せるような内容にできればと思います。

今回は、目の前の人にどのように伝えたいことをコミュニケーションしていくか、これが本題になります。コミュニケーションにおいて重要なのは、「誰に、何を、どのように伝えるか」という点です。このポイントを4つのステップに分解して考えています。

私がマッキンゼー時代に携わっていた案件でも、提案の中身をしっかり作り込む、いわゆるコンテンツの議論が非常に重要でした。ただ、それと同じくらい、「クライアントにどのように伝えるか」という伝え方にも、かなりの時間をかけて議論していました。

例えば、クライアントとの重要なミーティングがある場合、3日から4日前には資料が完成しているのが基本でした。そして、残りの日数は「どうやってコミュニケーションするか」に集中します。

具体的には、資料の構成を最終確認するだけでなく、誰がどのタイミングで発言するか、どのタイミングでクライアントのAさんに話を振るかを細かく設計します。さらに、Aさんに特定の発言をしてほしい場合は事前に根回しを行うなど、準備を徹底していました。

資料よりも大切なのは「伝えたいこと」を明確にすること

このように、会議を成功させるためにコミュニケーションがどれだけ重要かをお伝えしたいと思います。深い調査や分析、示唆を出すことが重要だと思われがちですが、それと同じくらい、伝え方にも注目することが大切です。

このコミュニケーションという点で、特にコンサルティングファームなどにいると、アウトプットの一例としてわかりやすいのが「PowerPoint」の資料です。ただし、美しい資料を作ることがコミュニケーションの本質ではありません。

極端な話、資料がなくても問題ありません。重要なのは、伝えたいことをしっかり明確にし、それを相手に的確に伝えることです。資料がなければ口頭で伝えても構いませんし、簡単にWordにまとめたものでも十分です。大事なのは、伝えやすく、相手に伝わりやすいメッセージを考え、それを適切な方法で表現することです。

ここからは、先ほどお話しした4つのステップについて具体的に説明します。

まず最初のステップは「聞き手を理解すること」です。つまり、相手をしっかりと理解するところから始まります。

相手を理解する際、まず確認すべきは「聞き手が誰か」という点です。例えば、聞き手の役職や経験年数、持っている前提知識、経歴などを考慮します。また、その人が意思決定者なのか、それとも他の関係者なのか、といった点も重要です。

次に、その聞き手が何に関心を持っているのかを把握します。具体的には、「この案件に対してどのような期待を持っているのか」「どのような所感を抱いているのか」「好むコミュニケーションスタイルはどのようなものか」といった要素を考えます。

ここまでで相手を理解したら、次のステップとして「自分たちが伝えたいこと」を明確にします。つまり、「自分たちはこの場で何を達成したいのか」「どのようなメッセージを伝えたいのか」を考えるフェーズです。最終的には、相手のニーズと自分たちのニーズを統合し、それをどのように伝えるのがベストかを考えます。

本部長向けの報告会というシチュエーション

具体例がないと少しわかりにくいと思いますので、シチュエーションをイメージしながら、「相手を知る」というポイントについて具体的に考えていきたいと思います。今回は、冷蔵庫事業部を例に取り上げます。

とある総合家電機器メーカーの冷蔵庫事業部では、今後の成長の柱となる製品企画を任されています。そして、近々、本部長向けの報告会が予定されています。この本部長は今年度から着任しており、今回が2回目の報告会となります。最初の報告は3ヶ月前に行われており、その際には「集められる情報を整理して次回報告するように」との指示がありました。

こうした状況から、本部長はまだこの分野について十分な知識を持っていない段階であり、情報をインプットして全体像を把握しようとしている意図がうかがえます。さらに、この冷蔵庫事業の性質上、新しい企画を実施するためには相応に長い準備期間が必要です。したがって、報告内容を考える際には、こうした長期的な視点も欠かせません。

また、本部長との接点はこれまで限られており、そのため、どのようなコミュニケーションスタイルを好むのかがこちら側ではまだ十分に把握できていません。これらの点を踏まえて、報告内容を慎重に設計する必要があります。

まずはこのシチュエーションを頭に入れていただきながら、先ほどお話しした「聞き手を理解する」というフレームで整理していきたいと思います。

「聞き手を理解する」ためのフレーム

先ほどの情報を4つの要素に分解して考えていきます。

まず、左端の「誰が聞き手か?」という点ですが、今回の聞き手は新任の本部長です。前回の報告は3ヶ月前に行われており、今回が2回目の報告となります。このようなシチュエーションで本部長を対象にしたコミュニケーションを設計していきます。

次に、本部長がどのような関心を持っているのかを考えます。これは左から2番目の要素にあたります。着任したばかりの本部長は、事業全体の前提情報や現場の肌感覚について、まだ十分に把握できていない可能性が高いです。

また、前回の報告時に「ひとしきりの情報を確認して次回報告してほしい」との指示があったことから、新製品の企画に必要な市場調査や顧客データといったファクトの分析を期待していることがうかがえます。したがって、基本的な内容を復習的に含めつつ、情報をやや厚めに提示することで、本部長の期待に応えることができるでしょう。

続いて、「こちら側として何を伝えていきたいのか」という左から3番目の要素です。本部長に対して、これまでの調査結果を丁寧に共有することがまず重要です。それに加え、冷蔵庫の新製品を企画して実際に市場に出すまでには相当な準備期間が必要であるため、このタイミングで「時間がかかる」という現実を共有する必要があります。

その上で、限られた接点を活かしつつ、どのような方向性で打ち手を進めていくべきかという仮説についても、合意を得ておくことが我々の期待値となります。

最後に、「どのようにコミュニケーションしていくのか」という点について考えます。現時点では本部長との接点が限られており、彼が好む具体的なコミュニケーションスタイルを把握できていない状況です。こうした場合には「王道スタイル」で臨むのが適切です。つまり、結論ファーストで語るという、わかりやすく効果的なスタイルを選択することが重要だと考えます。

人によっては「ボトムアップで説明してくれるほうがわかりやすい」という方もいますが、一般的には結論から端的に伝えるほうが理解されやすい傾向があります。そのため、今回は結論ファーストの「王道スタイル」で進めましょう。このように、まず相手を知るところからコミュニケーションの戦略を立てていきます。

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