山口医院「80年間ありがとう」 閉院に山都町民ら感謝
山都町菅尾で約80年間、地域の医療を支えてきた山口医院が29日、閉院した。前日には地域住民らが医院を訪れ、長年の尽力に感謝の思いを伝えた。 山口家は江戸時代から続く医家で、医院は1946年に開業。86年に山口省之さん(76)が父の跡を継いで院長となり、妻の房子さん(75)が副院長を務めた。専門の産婦人科と小児科に加え、内科などさまざまな診療を担った。後継者の不在や職員の高齢化のため閉院を決めた。 28日には、地元の保育園児や住民ら約60人が駆けつけ、手作りの感謝状や花束を手渡した。省之さんは「患者さんが多い日は、みなさんに迷惑をかけたと思う。こんなに集まって見送ってもらい幸せ」と涙をこぼした。 菅尾保育園の保育士、諸江望さん(39)は、園児の健診時に山口夫妻が一人一人の顔と名前を覚えていた思い出を語り、「優しく診てもらっていた。閉院はさみしいが、これからは家族でゆっくり過ごしてほしい」とねぎらった。(枝村美咲)