医療搬送用ヘリ事故 国の運輸安全委が佐賀の運航会社を調査
6日、患者を運んでいた医療搬送用のヘリコプターが長崎県の壱岐の沖合で転覆した状態で見つかり3人が死亡した事故で、国の運輸安全委員会は、8日、佐賀市にあるヘリコプターの運航会社を訪れ、機体の整備状況などを調査しました。
6日、長崎県の対馬空港から患者を乗せて福岡市の病院に向かっていた医療搬送用のヘリコプターが消息不明になり、その後、壱岐沖の海上で機体が転覆した状態で見つかった事故では、救助された6人のうち、▽86歳の女性患者と、▽搬送に付き添っていた68歳の息子、▽34歳の男性医師の合わせて3人が死亡しました。
この事故で、国の運輸安全委員会の航空事故調査官2人が、8日、ヘリコプターを運航していた佐賀市の「エス・ジー・シー佐賀航空」を訪れ、機体の運航や整備の状況について調べました。
調査のあと、取材に応じた奥山克也航空事故調査官は、運航会社への聞き取りや整備の記録などを調べた結果について、「機体の不具合につながるようなものは、今のところ確認されなかった」と述べました。
また、機体の回収については、天候の影響もあるとしたうえで、運航会社が近く実施するよう調整していると明らかにしました。
運輸安全委員会では、今後、機体の回収を待って、破損の状況や故障の有無などを確認しながら、事故の原因を調べることにしています。
【救難信号を発信する装置「ELT」作動したかどうか確認さず】
6日、患者を運んでいた医療搬送用のヘリコプターが長崎県の壱岐の沖合で転覆した状態で見つかり3人が死亡した事故で、機体が強い衝撃を受けると自動で位置情報などを知らせる装置が作動したかどうか確認されていないということで海上保安部が当時の作動状況について詳しく調べることにしています。
6日、長崎県の対馬空港から患者を乗せて福岡市の病院に向かっていた医療搬送用のヘリコプターが消息不明になり、その後、壱岐沖の海上で機体が転覆した状態で見つかった事故では、救助された6人のうち▽86歳の女性患者と、▽搬送に付き添っていた68歳の息子、▽34歳の男性医師のあわせて3人が死亡しました。
ヘリの運航会社によりますと、この機体には強い衝撃が加わったり、浸水したりした場合に自動的に救難信号を発信する「ELT」と呼ばれる装置が搭載されていたということです。
しかし、今回の事故で作動したかどうかは確認されておらず、運航会社からの通報を受けて捜索が始まったのは、航跡が途絶えてから1時間ほどがたった午後2時50分ごろだったということです。
海上保安部が当時の作動状況について詳しく調べることにしています。
【「エス・ジー・シー佐賀航空」過去にも機体の事故】
国の運輸安全委員会がまとめている航空事故の報告書などによりますと、佐賀市にある「エス・ジー・シー佐賀航空」では過去にも所有する機体が事故を起こしています。
▽2004年12月には遊覧飛行を終えたヘリコプターが有明海の海上に墜落し、3人が死亡しました。
また、▽2009年5月には試験飛行中の小型飛行機のエンジンが停止し、福岡県みやま市に不時着する重大インシデントが発生したほか、▽2019年7月には茨城県で農薬をまいていたヘリコプターが墜落し、パイロット1人がけがをする事故が起きています。
さらに、▽去年7月には遊覧飛行を終えたヘリコプターが福岡県柳川市の農地に墜落し、機長と整備士の2人が死亡する事故も起きていて、運輸安全委員会による調査が続いています。
【長崎県のドクターヘリ 2日間の運航休止】
6日、患者を運んでいた医療搬送用のヘリコプターが壱岐の沖合で転覆した状態で見つかり3人が死亡した事故を受けて、長崎県は、県が所有する同じ機種のドクターヘリについて、一時、運航を休止し、9日から機体の点検を行うことにしました。
6日、対馬空港から患者を乗せて福岡市の病院に向かっていた医療搬送用のヘリコプターは、壱岐沖の沖合で転覆した状態で見つかり、3人が死亡しました。
長崎県によりますと、県が所有し大村市の長崎医療センターに配備しているドクターヘリは、この事故のヘリコプターと同じ機種で、県では、このドクターヘリの運航を、一時、休止し、9日から機体の安全点検を行うことを決めました。
機体の点検は、9日から2日間行い、今月11日から運航を再開することにしています。
その間、ドクターヘリの出動の要請があれば、県が所有する消防防災ヘリを出動させるなどして対応することにしています。
長崎県のドクターヘリは、2006年12月に運航を開始していますが、これまでに不時着や墜落などの大きなトラブルは起きていないということです。
【長崎県の事情】
離島が多い長崎県では、高度な医療を提供できる病院が島内では限られているほか、船による患者の搬送は天候に左右されることや時間がかかることなどから、ヘリコプターが重要な搬送手段となっています。
長崎県によりますと、昨年度、五島市と壱岐市、それに対馬市などの離島から長崎県や福岡県の医療機関にヘリコプターで患者を搬送したケースは、▽県のドクターヘリが少なくとも107回、▽県の消防防災ヘリが24回、▽自衛隊と海上保安庁のヘリが41回と、少なくともあわせて172回に上るということです。