6日投開票された秋田県知事選で、陸上自衛官としてイラク派遣の経験もある無所属新人で元県議の鈴木健太氏(49)が初当選した。自衛官出身の知事は、現職では宮城県の村井嘉浩知事(64)に続いて全国で2人目。妻も元自衛官だ。鈴木氏は「自衛隊での経験を県政に生かしたい」と話している。
神戸市出身で、大学受験の浪人中に阪神大震災を経験した。京都大法学部を卒業し、「震災のときの自衛隊がかっこよかったから」と平成12年に陸上自衛隊に入隊。幹部候補生学校(福岡県久留米市)での厳しい教育を経て、第16普通科連隊(長崎県大村市)に赴任した後、東ティモール国連平和維持活動(PKO)やイラク復興支援活動に派遣された。イラクでは迫撃弾が頭上を飛んだこともある。
国も家族も大事にしたいと、18年に退職し、幹部候補生学校の同期だった妻、志乃さんの実家がある秋田市に移住。猛勉強して司法書士となった後、自民党から県議選の秋田市選挙区に出馬した。3度の選挙でトップ当選2回、2位当選1回。若手の実力者として自民県連青年局長、政調会長や副議長を歴任。自民を離党して、人口減少対策などを掲げて知事選に出馬した。4人の子供がいる。
産経新聞の取材に応じた鈴木氏は「陸上自衛隊は大部隊を運用、指揮、統率する組織なので、リーダーシップ教育を叩き込まれた。どこまで部下を指導すべきか、どこからは任せればいいか分かっているつもりだ。上に立つ者が偉そうにせず、身を律しなければいけないことも十分理解している。まずは職員とのコミュニケーションを図りたい」と述べた。
また、「東ティモールでもイラクでも死と隣り合わせだったので、多少のことでは動じない。災害が起きても、長年培った防災や危機管理に関する知識や経験で県民の生命と安全を守りたい」と抱負を語った。(渡辺浩)
秋田県知事選、元県議・鈴木健太氏が初当選 相乗りの元副知事ら2人破る