無線機は壊れていた? 救難信号は国交省や海保に届かず 緊急事態を知らせる機長のコールも確認されず
6日、長崎県の対馬から福岡に向かっていた医療搬送用のヘリコプターが海上で転覆し、搬送中の患者ら3人が死亡した事故です。緊急時にヘリコプターから自動で発信される救難信号が、国土交通省や海上保安庁に届いていなかったことが新たに分かりました。
6日、長崎県壱岐市の沖で、対馬空港から福岡市の福岡和白病院に向かっていた医療搬送用のヘリコプターが転覆しているのが見つかりました。
このヘリには事故当時、患者や医師ら6人が乗っていましたがこのうち、患者の本石ミツ子さんと搬送に付き添っていた息子の和吉さん、医師の荒川渓さんが死亡しました。
亡くなった本石ミツ子さんと和吉さんが暮らしていた長崎県対馬市で、親子を知るという夫婦に聞きました。
■親子を知る夫婦
「昔から親子仲もいいし、和吉さんも悪く言う人はいない。」
「(ミツ子さんは)電動のシニアカーで山の畑で自分たちが食べるくらいの野菜を作って、大根とか玉ねぎとか。帰りに食べんねと置いてもらったりしていました。島は緊急になったらドクターヘリでいかなければいけないから。皆さん一生懸命だったと思いますが、まだ受け入れられないです。」
事故を受け、ヘリを運航していた佐賀市の「エス・ジー・シー佐賀航空」には8日午前、国の運輸安全委員会から派遣された航空事故調査官2人が入りました。
■航空事故調査官
「運航状況や整備状況を調査する予定です。機体の回収を今後どのようにするのかを含めて調整をしたい。」
病院などによりますと、ヘリが、福岡和白病院を離陸したのは6日午後0時半でした。目的地の対馬空港に到着後、患者らを乗せ、午後1時半に離陸しました。この間、病院内にいる「エス・ジー・シー佐賀航空」の担当者がヘリと連絡を取っていましたが、離陸から13分後の午後1時43分、ヘリからの連絡が途絶えたということです。
ただ、海上保安庁の捜索が始まったのはそのおよそ1時間後の午後2時50分ごろでした。捜索活動の開始はなぜ遅れたのでしょうか。
国土交通省などへの取材で、ヘリに搭載され緊急時に自動で発信される航空機用救命無線機の救難信号は、国土交通省や海上保安庁に届いていなかったことが新たに分かりました。
無線機が壊れていたことなどが要因として考えられていて、国土交通省は、救命無線機が正常に動かなかったことで捜索活動が遅れた可能性があるとみています。
また、管制基地では緊急事態を知らせる機長からのコールが確認されていないことも分かっていて、国土交通省では、生存者3人に話を聞くなどして当時の状況について調べを進めています。