サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」導入に向けた関連法案の修正案が、8日の衆院本会議で自民、公明両党や立憲民主党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。平時から通信情報を監視し、「基幹インフラ」に対する攻撃の予兆があれば攻撃元のサーバーに侵入、無害化する権限を警察と自衛隊に付与する。政府は参院での審議を経て、今国会での成立を目指す。
能動的サイバー防御は2022年末の国家安全保障戦略に明記された。政府は24年6月に有識者会議を設置。同会議の提言を受け、今年2月に法案を閣議決定した。
「基幹インフラ」に指定された電気や鉄道、金融など15業種の事業者が被害を受けた場合、政府への報告を義務付けたほか、新設される第三者機関「サイバー通信情報監理委員会」が運用を監督。通信監視や無害化措置などの実施状況を国会に報告する規定を盛り込んだ。
政府は国内間の通信は対象にせず、メール本文のようなコミュニケーションに関わる情報は監視の対象外としている。ただ、政府による恣意(しい)的な運用への懸念などから、衆院の審議では立憲と日本維新の会が法案修正を要求。「通信の秘密」の尊重規定や、国会報告の具体的項目を盛り込んだ修正案を自民、公明、立憲、維新、国民民主党などが共同提出し、4日の衆院内閣委員会で可決された。
8日の衆院本会議では、れいわ新選組や共産党などが反対した。【竹内望】
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