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米232条自動車関税、対象関税分類番号を発表、適用開始は自動車が4月3日、同部品は5月3日
(米国、カナダ、メキシコ)
ニューヨーク発
2025年04月03日
米国政府は4月2日、自動車・同部品の米国輸入に対する25%の追加関税に関し、4月3日付で公示予定の官報案を発表した。追加関税の対象品目の米国関税分類番号(HTSコード)や適用開始日を示した。
米国のドナルド・トランプ大統領は3月26日、1962年通商拡大法232条に基づき、全貿易相手国の自動車・同部品の米国輸入に対して、25%の追加関税を賦課する大統領布告を発表した(2025年3月27日記事参照)。しかし、同大統領布告では、自動車・同部品の具体的な対象品目は示していなかった。追加関税の適用開始日についても、自動車は4月3日と明示していたが、自動車部品はこれまで明らかになっていなかった。今回発表した官報案の主な内容は次のとおり。
自動車は4月3日に適用開始
4月3日午前0時1分以降に通関する乗用車〔セダン、多目的スポーツ車(SUV)、クロスオーバーSUV、ミニバン、カーゴバン〕、小型トラックに対して、25%の追加関税を賦課する。対象品目のHTSコードは官報付属書1(Annex 1)の(b)を参照。ただし、対象品目のうち、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の自動車原産地規則(注1)を満たす車両については、非米国産部品の価格に対してのみ追加関税を課す(注2)。
自動車部品は5月3日に適用開始
5月3日午前0時1分以降に通関するエンジン・エンジン部品、トランスミッション・パワートレイン部品、電子部品などに対して、追加関税を賦課する。対象品目のHTSコードは官報付属書1の(g)を参照。ただし、対象品目のうち、USMCAの原産地規則を満たす自動車部品に対する追加関税は、追加関税を適用するプロセスが確立されたと商務長官が官報で公示するまで、適用対象外とする。
米国税関・国境警備局(CBP)は4月2日、自動車・同部品の米国輸入に対する232条関税について、輸入業者向けのガイダンスを発表した。外国貿易地域(FTZ)や関税の払い戻し(ドローバック)については、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく対中追加関税と同様の仕組みとなっている(2025年2月4日記事参照)。
(注1)域内原産割合(RVC)が75%以上、エンジンなどの特定重要部品が全て域内原産品、鉄・アルミの70%が域内原産品、付加価値割合が乗用車で40%、小型トラックで45%以上などの条件を全て満たす必要がある。詳細は、2023年8月8日付地域・分析レポート参照。
(注2)輸入者が各車両の米国産部品の価額を商務長官に報告し、商務長官が認証した場合の措置。米国産部品は「米国で完全に調達、生産、または実質的に加工された部品」を指す。非米国産部品の価格は、車両全体の価格から米国産部品の価格を引いて算出する。ただし、商務長官への報告プロセスの詳細は現時点で明らかでない。
(葛西泰介)
(米国、カナダ、メキシコ)
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