Taj 多事
Taj 多事
2009
そういえば,今日は子供の日ですね.味噌餡の柏餅が食べたいなー.インドは熱くて,脳みそが味噌餡になっちゃいそうです.こちらは,まったくの平日で,今朝もいつもの「オジさん」のリキシャに乗ってオフィスに到着.8時25分着席.大通りに出る所で,バイクと軽く接触.いつもはおだやかな「オジさん」も,なんだこの野郎と言わんばかりの顔つきになったが,すぐにいつもの笑顔に戻って,バイクの運転手と一言二言.とにかく,何事もなくてよかってです.今日の天気予報は40℃を切っている.それだけ,なんとなくホット(hot?)する.
そういえば,日曜の夜,セナさんがスイカを差し入れてくれた.インドの人は,スイカにもマサラをかけるそうだ.ようするに,カレー味のスイカってわけ.日本人は,塩をかけるんですよと教えてあげると,「へー,変わってるねー」・・・何もかけないスイカがたいそう美味でございました.
そういえば,金曜日にパチャウリ所長の雷がまた落ちた.今度は,すごいぞ.1月に遅刻が目立つから,10分遅刻した者は半日の無給休暇を取ったものとするという御触れが発せられた.まずは,いまだ遅刻が目立ち,御触れも実行されていないないので,これを徹底するようにとの御達し.小生も,いまだに9時半始業なのか,10時始業なのか判断がつかない.最近は10時という結論に到達しつつあるのだが,9時半だったら,パチャウリ所長の怒りもごもっとも.
もう一つがすごい.新年度に入ると同時に昨年度の実績が出て来たようで,契約した仕事の多くが達成されずに予定した収益をあげられなかったようだ.個々の能力に問題があるのではなく,根性の問題だと一喝.そして,所員全員に「My Pledge」(直訳すれば,「私の誓い」)なる誓約書にサインをさせたのである.
「私は,自分が携わる活動に一切の遅れをきたさぬよう, 自分の能力と資質を最大限に発揮します.私は,職業人としての能力が最高の水準に達するように努力し,科学的かつ組織的な方法に基づく作業過程を進展させ,かつそれに従い,時間を厳守し,定められた時間内にプロジェクトを完了し,要請されたときにはいつでも更なる努力を惜しまないことを誓います.I will do every thing within my capacity and resources to see that no scheduled activity that I am associated with is delayed.
I shall strive to attain the highest level of professional competence, develop and follow work processes based on a scientific and systematic approach, maintain punctuality, and complete the projects within the stipulated time frame, putting in additional efforts whenever required.」
すごいというか,なんとも独裁的で,少々ぞっとしてしまう.「自分の能力と資質を最大限に発揮し, 職業人としての能力の最高の水準に達するように努力し,科学的かつ組織的な方法に基づく作業過程を進展させ」というところは,言われなくても意識の中になければ,職業人としての研究者とは言えないだろう.学生じゃあるまいし,そんなことを言われてしまうのが情けない.そして,何よりも若い人達が,何の躊躇もなく,よく内容を読んでいるのかどうか疑問を抱いてしまいかねないように,まるで荷物の受取のように簡単にサインしてしまう光景を見て,そちらの方が恐ろしい気がしてならない.
IPCCが地球温暖化の啓蒙活動を評価されてノーベル平和賞を受賞して以来,IPCCの議長を務めるパチャウリ氏が所長であるTERIの仕事は急増したそうである.仕事量の増加に対応して研究員も増加したようではあるが,どうみても仕事量の増加の方がより多いようだ.そんな中で,仕事が十分にこなせないというのは当然のような気がする.それでも,無理矢理にでも量をこなせば,質が低下するのは必至だし,結局,将来の仕事の減少を招き,ますます収益の減少につながるだろう.
TERIの’I’は,Instituteで,研究所を意味する.研究という営みが,われわれの知識に関して,新たな科学的な知見を加えることだとすれば,すべてが予定通りに進捗するなんてことは,とても考えづらい.TERIの活動を見るに,(1) LaBL(10億人に明かりを)など環境および持続的発展に関する実際の活動,(2) 調査((1)の活動に伴う調査も含む),(3)政府などの委託業務に関する報告書の作成,で大方のTERIの活動は構成されているように見える.(1)と(2)の活動から得られたデータが,(3)で吟味され分析されて,新たな知見を付け加えるのが望ましい姿だあろう.しかし残念ながら(1).(2)と(3)は十分に連携がとれているようには見えない.(1)と(2)の活動にはコストがかかるので,(3)の活動から収益を稼ぎ出すのがTERIの現状のスタイルだ.(1),(2),(3)が連携していない状態では,(3)は既存の研究結果の寄せ集めになりがちで,それも委託者の都合の良い引用ばかりをしがちで,さらに時間に追われれば追われるほどその傾向は強まる.
小生が見るに,若い人達のインプットがあまりに少な過ぎると思う.アインシュタインですらインプットなしにアウトプットは出て来ない.政府の5カ年計画などには詳しいが,それを吟味するための道具に関するインプットが少な過ぎる.こなさなければならない仕事が多すぎて,インプットに充てる時間がとれないというのも事実かもしれない.しかし,昼休みの開始時間と業務終了時間については,パチャウリ氏の神の声がなくても時間厳守が徹底されているから,次の朝ゆっくりと出勤してくるまでには,時間がたっぷりあると思うのだけど.帰宅後のインプットに忙しくて朝は遅刻してしまうのかな.幸いなことに,小生と仕事をしている若い人達は,どんどん吸収したくてしょうがない人達のようである.こういう若い芽を潰さないように,研究と委託作業を明確に分け,適性に応じて分業することが必要ではないだろうか.
それでもなぜ小生はTERIを選んだか.どうやら大学の方がもっとひどいらしいのだ.インドでは,大学教授というのは,日本とは大違いで,給料も名誉も最高の職種だそうだ.ということで,なったとたんに隠居生活に突入してしまう人が多いらしい.セナさんの娘さんが通うデリー大学でも,2/3は休講で,気が向いた時間に,正規の時間割とは全く関係なく突然授業が設定されるそうだ.実際に,世界で活躍しているインド人研究者は,インドの外で研究活動を行っている人が多い.これでは,質の高い研究者が国内で育つわけもない.やはり,パチャウリ氏のような協力なリーダーシップが必要な所以であろうか.
5/5のデリー天気予報 最高気温38℃、最低気温26℃、晴れ
5/5のデリーの天気 最高気温37℃、最低気温26℃、平均気温32℃
5/5の東京の天気 最高気温19℃、最低気温15℃、平均気温17℃
そういえば(2)
09/05/05